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藤井聡太竜王、2連勝か? 佐々木勇気八段、追いつくか? 10月19日から竜王戦七番勝負第2局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 10月19日・20日。福井県あわら市「あわら温泉 美松」において、第37期竜王戦七番勝負第2局▲佐々木勇気八段(30歳)-△藤井聡太竜王(20歳)戦がおこなわれます。棋譜は公式ページをご覧ください。


 第1局は藤井竜王が勝ちました。


 第2局は先後が替わり、佐々木八段が先手となります。

「番勝負は偶数局が重要」と、しばしば言われます。ここで藤井竜王が2連勝で突き放すか、それとも佐々木八段が勝って追いつくかで、シリーズのゆくえは大きく変わってくるでしょう。

 現在の将棋(小将棋)のルールは、戦国時代に確立されたようです。

 対局地のあわら温泉から30kmぐらい離れたところにある一乗谷朝倉氏遺跡では、かつて使われていた「酔象」の駒が見つかったことでも知られています。


 現地でも酔象の駒に関する話題が多く出ることでしょう。

 藤井竜王と佐々木八段はこれまで7回対戦し、藤井5勝、佐々木2勝という数字が残されています。


 ここまでは佐々木八段がやや押され気味です。しかし佐々木八段の2勝は、藤井四段(当時)のデビュー以来29連勝を止めたものと、藤井八冠(当時)のNHK杯2連覇や史上最高勝率更新を阻止しながら自身のNHK杯初優勝を決めたもの。いずれも、値千金の白星です。

 今年度の公式戦成績(未放映のテレビ対局をのぞく)は、藤井竜王は19勝5敗(勝率0.792)です。


 藤井竜王は直近9連勝中。本局に勝てば「定位置」の勝率8割台となります。

 過去に年度勝率8割以上を複数回記録した棋士は、羽生善治九段(3回)と中原誠16世名人(2回)しかいませんでした。それを藤井竜王は7年連続で達成しているわけですから、異次元というほかありません。はたして、8年連続となるのでしょうか。


 藤井竜王は第1局から第2局の間まで、対局はありませんでした。しかし10月16日に「日本鉄道賞」の祝賀会に出席するなど、相変わらずの忙しさです。



 佐々木八段は15勝5敗(勝率0.750)です。


 佐々木八段は第1局のあと、王将戦リーグで広瀬章人九段、A級順位戦で永瀬拓矢九段に敗れています。10連勝からの4連敗なのは、佐々木ファンも気がかりなところでしょう。

 永瀬九段はA級での対局後、佐々木八段について次のように語っています。

永瀬「勇気八段は本当に、二十年前からなにも変わらずに大人になってしまったという印象があるんですけど(笑)。タイトル戦でもシュークリームばっか食べてるんで。たぶん、お口の方もあまり変わってないんじゃないかなとは思うんですけど(笑)」


 天真爛漫な佐々木八段。第1局ではシュークリーム4連投などが話題となりました。第2局でも両対局者がどのような食事、おやつを選ぶかも注目されるでしょう。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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