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斎藤明日斗五段、千日手指し直しの末、澤田真吾七段に勝利 棋王戦・敗者復活戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月6日。大阪府高槻市・関西将棋会館において、第50期棋王戦コナミグループ杯・挑戦者決定トーナメント敗者復活戦、澤田真吾七段(33歳)-斎藤明日斗五段(26歳)戦がおこなわれました。


 10時に始まった対局は14時50分、71手で千日手が成立。指し直し局は15時20分に始まり、20時10分、109手で斎藤五段の勝ちとなりました。

 斎藤五段は敗者復活戦決勝に進み、12月9日、近藤誠也七段(28歳)と対戦。その勝者が挑戦者決定二番勝負に進み、増田康宏八段(27歳)と対戦します。

 藤井聡太棋王(22歳)への挑戦権を獲得するのは、はたして誰になるでしょうか。

敗者復活戦始まる

 以前におこなわれた準決勝の結果は以下の通りでした。

増田八段○-●澤田七段

近藤七段○-●斎藤五段


 棋王戦の大きな特色は、挑戦者を決めるトーナメントのベスト4から、敗者復活戦が設けられていることです。準決勝で敗れた澤田七段と斎藤五段の2人は、敗者復活戦に回りました。

 また勝者組決勝で増田八段に敗れた近藤七段も敗者復活戦に回っています。

まずは千日手


 10時に始まった対局は澤田七段先手で、戦型は相掛かり。角交換から互いに自陣を整備し合う進行になりました。


 48手目。斎藤五段は飛車を2筋に回り、逆襲を見せます。澤田七段は交換した歩を打って警戒。斎藤五段が飛車を8筋に戻すと、澤田七段が打った歩をまた交換。その動作が繰り返されて同一局面4回目となり、14時50分、71手で千日手が成立しました。

 現在の三十代以下では、東の永瀬拓矢九段と並んで、西の澤田真吾七段は、千日手が多い棋士として知られています。

斎藤五段、敗者復活戦決勝へ

 指し直し局は持ち時間を引き継ぎ、先後を入れ替えて、15時20分に始まりました。

 後手となった澤田七段は、四間飛車に振り、金無双に組みます。対して斎藤五段は6筋の位を取ったあと、仕掛けていきます。

 斎藤五段は角交換のあと、相手陣に角を打ち込みます。その角で飛車を取り、飛車を打ち込んで、着実に攻めがつながる形となりました。

 澤田七段も自陣に駒を埋めて粘りますが、最後は斎藤五段が押し切って、20時10分、109手で終局となりました。

藤井聡太棋王に挑戦するのは誰か?

 藤井棋王への挑戦権争いは増田八段、近藤七段、斎藤五段の3人にしぼられました。誰が挑戦権を獲得しても、初のタイトル戦番勝負登場となります。

 敗者復活戦決勝・近藤七段-斎藤五段戦は12月9日、東京・将棋会館でおこなわれます。

 両者の対戦成績は近藤2連勝。直近の棋王戦準決勝では近藤七段が勝っています。斎藤五段はリベンジなるでしょうか。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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