コンサドーレの2021年をデータで振り返る 来季に向けた懸念点は社長の「引き抜き」
北海道コンサドーレ札幌は明治安田生命J1リーグの2021年シーズンを10位で終えた。
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(愛称ミシャ)が指揮を執るようになって4シーズンが経ったが、この4年間の成績を一覧化すると以下のようになる。
2018年 4位 勝点55 15勝10分 9敗 得点48 失点48 得失点差±0
2019年 10位 勝点46 13勝7分14敗 得点54 失点49 得失点差+5
2020年 12位 勝点39 10勝9分15敗 得点47 失点58 得失点差-11
2021年 10位 勝点51 14勝9分15敗 得点48 失点50 得失点差-2
1年目こそ上位に食い込んだが、2年目以降は常に中位に留まっている。ただし毎年主力を他クラブに引き抜かれる中で、4シーズン通して一度も残留争いに巻き込まれなかった点は一定の評価に値する。
今年のコンサドーレの順位変動は以下の通りだ。
今年もシーズン途中で当時リーグ得点ランキングで首位に立っていたFWアンデルソン・ロペスを中国のクラブに引き抜かれた。
コロナ禍の特別なレギュレーションで、例年より降格枠が多い中でも、一度も降格圏に落ちずにシーズンを戦い抜けたのは、地力がついてきた証と言えよう。
2021シーズンはセットプレーからの得点比率が倍増
昨季と比べてミシャの攻撃的スタイルがどのような変化を遂げているのか、得点パターンのデータを用いて分析する(リーグ戦全48ゴールの映像はこちら)。
2020シーズンと2021シーズンとの得点パターンをグラフ化すると、以下のようになる。
昨季はセットプレーからの得点が全体の17%だったが、今季は35%となり、ほぼ倍増した。
プレースキッカーであるDF福森晃斗の左足の精度に磨きがかかってきたと言える(ただし、直接FKによる得点が福森の札幌加入後、初の無得点に終わったのが気がかり)。
一方で、クロスからの得点が昨季より極端に減ってしまった。J1リーグで屈指のドリブル力を誇るMF金子拓郎とMFルーカス・フェルナンデスを擁しているにもかかわらず、サイドからあげるクロスが得点に結びついていないのは気になるところだ。
成熟してきた新戦術が来季の飛躍に繋がるはず
今シーズンの後半は前線での激しいプレスからボールを奪取して、ショートカウンターで得点をもぎ取るシーンが多くなってきた。
2020年途中からスタートした「オールコートマンツーマンディフェンス」の戦術も、段々と成熟してきた印象がある。
12月に入ってMF金子やMF菅大輝ら若手有望株の移籍の噂が流れたが、残留報道も出始めている。今シーズンの主力の引き留めに成功すれば、来季は飛躍の年になるのではないか? と筆者は予想する。
社長の「引き抜き」が一番の懸念点
ただし、一番の懸念点はクラブの顔である野々村芳和社長の「引き抜き」だろう。今週月曜にスポーツ報知が野々村氏の新チェアマン内定を報じた(記事はこちら)。
広告塔の役割を担った広報活動、新スポンサーを毎年連れてくる営業活動、有力選手を口説いて移籍させるGM的役割、すべてを完璧にこなせる経営者は他にいない。
仮に野々村氏が退任となると、コンサドーレにとってはクラブ史上一番の「戦力ダウン」と言っていい。
新チェアマンの正式発表は来年1月末だ。それまでの動向を固唾をのんで見守りたい。