冷凍食品、商品ごとに明暗が・・・そのなかで2015年 チャーハンが大きく伸長
冷凍食品の2015年の市場
2015年の冷凍食品は、業務用の売り上げは増減を繰り返し、家庭用は昨年より多少増加し、トータルで見ると、減少という結果となった。家庭用においては、弁当類99%、惣菜も98%と減少している。弁当については、男性をも自ら弁当を作り、会社に持参することが話題に上がったこともある。しかし、やはり少子化の波に押され気味と言えるのではないか。そんななか、チャーハンは冷凍食品協会によると、生産量は6,020トン増、110.8%、そして酒類食品統計月報2016年6月では、家庭用の販売額では127%と急激な拡大となった。
ちなみに他の商品に目を転じると、お好み焼き、たこ焼きを合わせて生産量も大幅にアップし、前年比より137.6%という数字を出している。とはいえ、これはお好み焼きとたこ焼きを合わせた数字であり、単品ではわからない。そんななか、米飯は2010年から急激にアップしたためもあってか、ピラフ・チャーハンを合算から、2011年以降は、チャーハン、ピラフと単体での生産量数値となっており、順位も4位にランクインしている。
これほどまでの拡大は、メデイアの露出度を増やしたことも大きいとされる。しかしそれだけではない。
冷凍食品協会にお聞きすると
「確かにメデイアで取り上げられたことも大きいですが、米価が下がっていることで各社、炒め飯に注目したのではないでしょうか」
チャーハンの工場工程を見ると、まさに冷凍食品にぴったり
本来、米は炊きあがり後、急劇に劣化しやすく、冷凍だと難しい。なかでも白飯は、香り、粘りがおいしさのポイントになる。しかし冷凍することで、水分が飛んでしまい、香り、粘りがなくなる。そのためもあってか、需要度は低いのである。しかしチャーハン、ピラフは、むしろ粘りは好まれず、香りについては、違った形でカバーすることができる。つまり冷凍食品に適する商品といえるのである。チャーハンは、各社違いはあるが、基本は冷凍に際し、従来、炒め、冷却し、平たく伸ばしたご飯をほぐしながら冷凍する。バラ化をしながら、冷凍するのだ。そのためほぐす際、ご飯の表面に傷がつき、ご飯は柔らかいことから不利とされているが、既に表面に卵、油がコーティングされているため、おいしさが維持されるのである。その上、通常、2時間以上かかるとされる冷却を急速にすることで、お米のアルファ化は保持している。
昨年、チャーハンをここまで市場を大きく伸ばしたのは、秋以降、さらにバージョンアップしたことが大きいとされる。冷凍する前段階、つまり炒め調理に注目し、シェフの調理を工場で見事なまでに再現したことが拡大要因とされる。
実際、チャーハンを実食してみると、進化が誰にもわかる出来栄えで、いずれの商品も香り、ほぐれ具合も至極良く、各社、懸命に開発に挑んでいることがよくわかる。
やっぱり価格を重視する点
とはいえ、冷凍食品の購入ポイントは、やはり価格と味がポイントになっているようだ。
これは冷凍食品以外の他の商品で同じようなアンケートをかけても、同じ結果となったと思う。そこで注目してもらいたいのは、冷凍食品の健康への効果である。
鮮度を維持できる冷凍食品
出来立てを急速冷却することで、鮮度を封じ込め、自然な仕上がりで提供できる。「究極の鮮度は、冷凍食品なのかもしれない」と、とある経営者が言われたことを思い出す。冷却することで微生物の繁殖を抑えることができ、腐敗防止としての添加物を必要としない。そして冷凍することで塩分量は少なくてもすむ。これらを考えると身体に優しく、技術の発展から美味しさもあり、そして人件費の問題においても救世主になるのかもしれない。