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台風10号は週明けまで関西を迷走…関東など「警報級」の雨いつまで?/北日本も大雨警戒:気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
31日21時の予想天気図(気象庁HP)。台風が西日本を進み、北日本を前線が通過。

台風10号はこの土日の間、関西付近をノロノロと迷走しながら熱帯低気圧になる見込み。
ただ、低気圧になっても暖かく湿った空気が急に消えることはないため、東海や関東などで警報級の雨が長引きそうです。

また北日本を通過する前線付近にも台風周辺の暖湿気が流れ込み、警戒が必要な大雨になるでしょう。

各地で警報級の雨はいつまで続くのか、いつになったら台風は迷走をやめて日本を出て行くのか、気象予報士が解説します。

台風は迷走しながら熱帯低気圧に…カギは次の「気圧の谷」

台風10号の進路図(気象庁HPより)。9月2日にかけて熱帯低気圧に。
台風10号の進路図(気象庁HPより)。9月2日にかけて熱帯低気圧に。

30日21時に四国に再上陸した台風10号は、31日は「ギリギリ台風」の状態で四国と紀伊半島の間の紀伊水道をゆっくりと東へ進む見通し。

その後、紀伊半島に再上陸してからは9月2日(月)にかけて紀伊半島付近をノロノロ迷走しながら熱帯低気圧に変わる見込みです。

台風と気圧配置のイメージ図(筆者作成)。上空の偏西風(青い太矢印)が点線のように南に垂れ下がるタイミング(=気圧の谷の通過時)で台風が乗れると一気に東へ進める。
台風と気圧配置のイメージ図(筆者作成)。上空の偏西風(青い太矢印)が点線のように南に垂れ下がるタイミング(=気圧の谷の通過時)で台風が乗れると一気に東へ進める。

台風がノロノロとしか動けない理由については筆者の記事で何度か解説してきましたが、要因のひとつとしては、台風にとって偏西風が北すぎる位置を吹いているため、なかなか偏西風に乗れずにいます。

少し専門的な話ですが、上空を「気圧の谷」が通過する際には、この偏西風が南に湾曲するように(文字通り「谷」になって)下がってくるので、そのタイミングで台風が偏西風に乗れるかどうかがカギになってきます。

実は31日も「気圧の谷」は通過するのですが、今回は台風が「谷」に届かず、次の「谷」がやってくる9月2日(月)頃を待つことになりそうです。

東日本中心に断続的に激しい雨、東海は線状降水帯も

31日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。
31日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。

31日も台風周辺の暖かく湿った空気が流れ込みやすい東海や関東を中心に激しい雨が降り、また台風の北側の雨雲がやや発達しているため北陸でも激しく降りそうです。
東海については、1日(日)午前にかけて線状降水帯の発生予測が発表されています。

さらに北日本を前線が通過し、北海道でも1日(日)朝までに最大120ミリの大雨が予想されています。

関東甲信ではその後、3日(火)にかけて大雨警報が出る可能性があると気象庁が発表していますが、これについては後述する通り、「警報級」の場所は東北にずれるかもしれません。

大雨の「警報級」の可能性(気象庁HPを元に作成)。
大雨の「警報級」の可能性(気象庁HPを元に作成)。

台風から変わった低気圧が9月2日~3日にかけて東北付近を通過か

週間予報(気象庁HPを元に作成)。
週間予報(気象庁HPを元に作成)。

前述の通り、台風は9月2日にかけてノロノロと迷走したのち、2日頃にはようやく偏西風に乗って東へ移動できそうな見通しになってきました。

偏西風に乗るタイミングによって最後に通過する緯度が変わってきますが、今のところ2日~3日にかけて東北付近を通過する予想で、東北で雨が強まるおそれがあるため今後の情報に注意が必要です。

通過後は広い範囲で34~35度の最高気温が予想されているため、台風のあと片づけや、台風のせいで溜まっていた仕事や移動をする際は、熱中症への対策も忘れずにしてください。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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