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ペットを亡くした人に「泣かないで」はNG!経験者が言わないでほしいと思う言葉3選

松永由美ペットケアアドバイザー|ペットロスカウンセラー

「ペットを亡くした知人に、何と声をかけたらいいのかわからない」と悩む人は多いはず。元気のない飼い主さんに気の利いたことを言ってあげられたら...と思いますよね。一方で、ペットロスは経験者でなければ理解できない苦しみもあり、元気づけるつもりで言った言葉がかえって相手を傷つけたり怒らせたりしてしまうケースも珍しくありません。今回は、自身も愛犬を亡くした経験のあるペットロスカウンセラーが「ペットを亡くした人に言わないでほしいこと」をご紹介します。

言わない方がいい言葉1:「泣かないで」

ペットを亡くし泣いている人に「ずっと泣いていたら、〇〇ちゃん(ペット)が悲しむよ」「泣くとあなたを心配して成仏できなくなっちゃう」「泣かないで」など声をかける人も多いでしょう。筆者も愛犬を亡くした時、夫から言われました。

その人に早く元気になってほしい気持ちはわかりますが、「泣かないで」や遠回しにそれを意味する言葉は飼い主さんに言ってはいけない言葉です。というのも、ペットを亡くした人にとって“泣く”というのは、悲しくてつらい気持ちを吐き出す意味でもとても重要なこと。泣くのを我慢すると、つらい気持ちがどんどん心の内側に溜まっていきます。その結果、ペットロスが重症化して精神疾患につながることもあるのです。

心配になる気持ちはわかりますが、泣きたい時には泣いてもいいんです!思う存分、泣かせてあげてください。


また、「元気出して!」も言わないのが無難です。飼い主さん自身も早く元気を出したい気持ちはあっても上手く感情のコントロールができずにいるので、そんなことを言われてもただ困ってしまいます。周囲の人は飼い主さんを焦らせることはやめて、ありのままの今の状態を受け入れてあげてください

言わない方がいい言葉2:「次の子を迎えたら?」

動物であいた心の穴は動物でしか埋められない部分も正直あります。しかし、飼い主さんからしたら、その子はその子だけ。代わりなんていない唯一無二の大切な存在なのです。それを周囲の人から「次の子を迎えたら?」と言われると、「ものじゃないのに」「そんな簡単に言わないで!」と怒りを抱いてしまいます

ペットを亡くした後に他の子を迎え入れることは、ペットロスカウンセラーの立場からしても賛成です。新しい子を迎えたいと思うのは亡くなった子から命をつなぐ素晴らしいことですからね。

一方、そのタイミングは他人がどうこう言えることではありません。飼い主さんご家族が「そろそろ」と思う時こそがベストタイミング。新しい子を迎えて前に進んでほしい気持ちもわかりますが、「次の子を迎えたら?」は周囲の人は言わずにおきましょう。

言わない方がいい言葉3:「たかがペットで大げさ」

これは実際に私も言われたことがあり、深く傷ついた言葉です。犬や猫、他の動物でも、ペットは単なる“愛玩動物”ではなく、“大切な家族の一員”です。また、家庭によってペットの立ち位置も違い、飼い主さんにとって友達や相棒のような存在の子もいれば、我が子同然で可愛がられている子も多くいます。

「たかがペット」と思う人は動物と暮らした経験がなく、ペットを亡くすつらさも想像がつかないのでしょう。しかし、ペットと暮らしてきた人には「動物が亡くなった時の衝撃は、自分の親を亡くした時と同じくらいつらい」と話す人が多いです。筆者も父親を亡くした経験がありますが、愛犬の死は正直その時以上に立ち直るのに時間がかかりました。


人によって感じ方は違いますから、「たかがペット」と感じる人を否定するわけではありません。ですが、ペットを亡くした人にとってその言葉は鋭いナイフそのもので、言ったところで相手を傷つけることしかできません。思うのは自由ですが、絶対に言わないであげてください。

「〇〇ちゃんは幸せだった」も注意が必要

5年前に亡くなった筆者の愛犬・夏子
5年前に亡くなった筆者の愛犬・夏子

ネットで調べてみると、ペットロスの人にかけてあげたい言葉の一例として「〇〇ちゃん(ペット)は幸せだったと思う」などと書かれていることが多いです。

筆者も愛犬を亡くした際に母から「なっちゃん(愛犬)はあなたと過ごせて幸せだったと思うよ」と言われ、悲しみの中でも少し嬉しく思いました。
しかし、それはきっと私や愛犬のことをよく知る母だったから、そう思えたのだと思います。

と言うのも、私がペットロスカウンセラーとしてお話を伺っていると、その言葉をかけたられた飼い主さんの中には「何も知らないくせに適当なことを言っている」「私たちの何を知っているの?」と怒りの気持ちを抱く人も多かったのです。
「〇〇は幸せだった」と言葉をかけるのであれば、みなさんがきちんと相手やそのペットちゃんのことを理解している必要があると覚えておきましょう。

言葉をかけるよりも、話を聴いてあげて

ペットを亡くした飼い主さんに言ってはいけない言葉はたくさんあります。そのため「結局、何と声をかければいいの?」とかえって混乱するかもしれませんね。

ペットロス経験者の立場からすると、声をかけてくれるのはもちろん嬉しいのですが、それよりも話を聴いてくれる方がさらに心強かったです。ペットを亡くしてつらい気持ちでいる人は「誰かに話を聴いてほしい」と思う一方で、「こんなこと話したら相手が困るかも…」と躊躇してしまい、自分からは話せずにいることがほとんどです。

ペットを亡くした人に話しかける時には、無理に気の利いた言葉をかける必要はありません「つらいよね、よかったら話聞かせて」と声をかけてみてください。ただ耳を傾けてくれるだけでも、飼い主さんは心が救われるはずです。

※記事内容には個人の感想や見解を含みます。
※記事に含まれる内容は執筆当時の情報であり、現在と異なる場合がありますのでご了承ください。

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ペットケアアドバイザー|ペットロスカウンセラー

もとはトリマーでしたが、愛犬を亡くしたことをきっかけにペットロスカウンセラーやペットセラピストなど、動物の健康や終末期に関連する資格を複数取得。現在は、ペット関連メディアへの記事や台本の提供・ペットロスカウンセリング・ペットショップでのお世話スタッフなど、動物に関する活動を多方面で行っています。【保有資格】愛玩動物飼養管理士2級・ペットセーバー・動物介護士・ペット終活アドバイザー・動物健康管理士など。

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