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藤井聡太七冠、銀河戦ベスト4に進出 広瀬章人九段に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月3日。第32期銀河戦決勝トーナメント2回戦▲広瀬章人九段-△藤井聡太七冠戦が放映されました。棋譜は公式ページをご覧ください。(対局日は8月9日)

 結果は160手で藤井七冠が勝利。ベスト4進出を決めました。次戦では佐々木勇気八段-梶浦宏孝七段戦の勝者と対局します。


藤井七冠、角換わりの熱戦を制する


 広瀬九段先手で、戦型は角換わり。藤井七冠が右玉に組んだのに対して、広瀬九段は腰掛け銀。交換された6筋の歩を互いにまた自陣に打ち合ったあと、自陣にスキを作らないよう、慎重な間の取り合いが続きました。

 広瀬九段が矢倉囲いから穴熊に組んだのに対して、後手の藤井七冠は66手目、再び6筋の歩をぶつけていきます。ここで膠着状態は脱して、激しい戦いへと移っていきました。

 藤井七冠は広瀬陣に角を打ち込んで、ポイントを稼いでいきます。対して広瀬九段は自陣の堅さを頼みに、駒損を承知の上で藤井玉へと迫っていきました。

 藤井七冠がリードを保って迎えた終盤。藤井竜王は広瀬九段の最後の反撃をかわし、手番が回ってきたところで、一気に広瀬玉を寄せ上げました。

 総手数は160手。熱戦を藤井七冠が制して、準決勝へと進みました。

 現時点での通算対戦成績は、藤井12勝、広瀬4勝です。

 藤井七冠は2022年度、23年度は早指しトーナメント4棋戦ですべて決勝に進んでいます。24年度はそれを日本シリーズで広瀬九段に阻止されました。広瀬九段は決勝で渡辺明九段に敗れたものの、2度目の準優勝を記録しています。

 藤井七冠は、銀河戦ではこれまでに優勝2回、準優勝1回。次に勝てば通算4度目の決勝進出となります。



将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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