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誰でもフォーミュラカーを運転できる!トムスフォーミュラカレッジ体験記

西川昇吾自動車ライター/自動車系MC

走り好きなら一度は「レーシングカーを運転してみたい」と思うはず。近年はレーシングカーのレンタルサービスなどもあり、その願いは比較的現実的なものとなってきています。しかしすべてがレース専用に設計されたフォーミュラカーとなると話は別で、これまで一般人には敷居の高いものでした。そんななか日本モータースポーツガレージの名門として知られるトムスが一般人でもフォーミュラカーに乗れるサービスを開始!その体験会に参加しサービス開始の狙いを取材すると共に、実際にフォーミュラカーを運転させて頂きました。

取材・文:西川昇吾

トムスフォーミュラカレッジとは?

新たにトムスが開始したサービス「トムスフォーミュラカレッジ」は基本的にお金を払えば誰でもフォーミュラカーを運転できるというもの(身長や運転免許の有無などの条件があります)

運転することができるのは童夢社製のDOME F110と呼ばれるマシン。このマシンは基本的に現在国内で若手レーシングドライバーの登竜門として行われているレースFIA-F4選手権で使われているものと基本的には一緒です。(使用マシンは最新バージョンではなく2018年仕様)

用意されたコースは3段階に分かれています。まず広い駐車場で基本的な操作を学び、加速や減速、旋回などフォーミュラカーの高い運動性能を体感することができるエクスペリエンス・コース(約45分/66,000円~)

その次に富士スピードウェイのフルコースなどでスポーツ走行ができるプラクティス・コース(約30分~/165,000円~)

頂点となるエキスパート・コースは本格的にレース参戦を目指すコースとなっていて、料金などはケースバイケースです。

今回はエクスペリエンス・コースの体験となりましたが、用意するのはフルフェイスヘルメットとグローブ、長袖長ズボンのみ。一般的なスポーツ走行と同じ装備品を用意すればOK!このエクスペリエンス・コースでスタッフが問題なしと判断すればより上のコースへ進むことができます。

もっとフォーミュラカーを身近なものに

今回のサービス開始の経緯を聞くと、「フォーミュラカーへの窓口を作り、フォーミュラカーの体験を身近なものにしたい」とのこと。事実一般車ベースのいわゆる「ハコ」系のレースへの道はある程度あるものの、フォーミュラカーを乗ることができるのは自動車メーカーの育成枠出身のプロ中のプロのみと言っても過言ではありません。お金があってレース経験があって、「乗りたい!」という意欲があっても簡単に乗れるものではありませんでした。

そのような状況の中、名門トムスがこのようなサービスを始めたのは、人によっては「待ってました!」とも言える事態でしょう。

また、この体験はガチガチの競技志向の人以外にも「フォーミュラカーとはどんな乗り物なのか?」ということを味わってほしいという思いもあるそうです。

実際にフォーミュラカーを運転してみた

この時点で既にプロドライバー気分
この時点で既にプロドライバー気分

ではフォーミュラカーとはどんな乗り物なのか実際に体験してみました。各種操作系の説明を受け、マシンに乗り込むとスタッフの方々がマシンを押して移動させてくださいます。「おお!なんだかレーシングドライバーみたいだぞ!」と思える瞬間です。

そして発進させようとすると…エンストしてしまいました。レーシングクラッチを使用するためクラッチミートは結構シビア、半クラッチ気味である程度回転をキープしなければ発進できません。(アイドリングスタートは正直無理だと感じました)

発進にひと苦労
発進にひと苦労

3回目くらいでようやく発進し、アクセルを徐々に開けていくと今まで味わったことのない加速が襲ってきます。高い加速性能を誇るスーパーカーを何台か運転したこともありますが、ここまで「身体が後ろに持ってかれる!」という経験は初めてです。エントリーフォーミュラと呼ばれるカテゴリーに属するマシンのため、160馬力という控えめのエンジンパワーですが車重は600kg程度しかなく、その加速感は市販車と比べモノになりません。

そしてコーナリング。軽量な車重のため過去の経験からは信じられないほど速いコーナリングスピードで曲がっていきます。「慣れてくるとブレーキングのポイントをもっと奥に!」「立ち上がりでアクセルを開けるタイミングをもっと早く!」という風にフォーミュラカーがもつ非日常な運動性能に魅了されていきました。しかし、なれてきたころにコーナー立ち上がりでスピン!

スピンモーションは経験上もっとも速い
スピンモーションは経験上もっとも速い

フォーミュラカーはハコ車よりも圧倒的にロール量が少なく、グリップの限界域を確認するのが難しいと痛感。より身体のGセンサーに神経を注がなければいけないのはもちろん、フロントタイヤの情報からもスライドを予想する必要があると感じました。

そんなこんなで試乗タイムはあっという間に終了。「しっかりとタイヤが暖まった状況なら?」「ダウンフォースが効く速度なら?」そんな風に「もっと!もっと!」と夢中になるマシンであったのが印象的です。このエクスペリエンス・コースでより上の領域(プラクティス・コース)を試したいと感じてしまったので、そういった意味では「商売上手だなぁ(笑)」と感じてしまいました。

レーシングドライバーの凄さを実感できる

終わってみれば激しい筋肉痛とまではいかなくとも「身体を使った」と感じる疲労感が、レーシングドライバーがアスリートであることを改めて認識させてくれます。フォーミュラカーを運転することは誰にでもできても、上手く走らせるのは難しいということを痛感した貴重な経験となりました。2021年7月21日(水)にツインリンクもてぎでスペシャルエクスペリエンスが開催予定とのことなので、気になった方は夏休みの思い出に体験してみてはいかがでしょうか?

<関連リンク>

トムスフォーミュラカレッジ

夏休みスペシャルエクスペリエンス in ツインリンクもてぎ

自動車ライター/自動車系MC

こう見えても1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。現在は、新車情報はもちろん、自動車に関するアイテムや文化、イベントの取材記事も手掛けるほか、車両紹介動画やe-MotorsportsイベントMCを中心に自動車系MCとしても活動中。自動車が好きな1番の理由は「工業製品として個性が豊富なこと」そのため古い車も新しい車もどちらも大好き!愛車はマツダロードスター(ABS無)で、定期的に愛車でサーキット走行をし、ドライビングの鍛錬も忘れない。「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」目指して奮闘中!

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