尹次期大統領が派遣した訪日団に成果はあったのか?
尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が日本との関係改善のため派遣した韓日政策協議団は4泊5日の日程を終え、28日に帰国したが、尹次期政権と対立している与党「共に民主党」や一部メディアでは「訪日成果はゼロ」と批評されている。
協議団は滞日中、50数人の政財界及び学界、マスコミを相手に計22回の公式会談、面談を重ねたこと、中でも林芳正外相との会談に続き、岸田文雄首相に表敬訪問ができたことを大いなる成果と自画自賛していた。
代表団団長の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国会副議長(野党「国民の力」)は昨年11月にも韓日議連朝鮮通信使委員会訪日団を引率して来日していた。この時は林外相にも岸田首相にも会えなかった。文政権の最後の駐日大使となる姜昌一(カン・チャンイル)大使は昨年1月22日に着任してからも今もって外相にも首相にも会えていない。
(参考資料:韓国が不満を抱いている日本の6つの対韓「外交非礼」)
これまでの日本の冷遇からすると、協議団が首相や外相に面会できたことは確かに「成果」と言えなくもない。それにもかかわらず、評価が低いのは内実がなかったことにあるようだ。また、岸田首相から大統領就任式出席の確約を取り付けられず、期待外れに終わったことも不評の一因となっているようだ。
鄭団長は日本側との一連の会談で「関係改善のため共に努力しよう」と呼び掛けていたが、日本側は韓国側が求めた日本の努力については何一つ言質を与えなかった。鄭団長は「韓日関係の悪化をこれ以上傍観することはできない」との発言に日本側が「同意した」としてこれも一つの評価と自評していたが、日本は依然として「共に努力ではなく、韓国がまず努力すべき」とのスタンスだ。
実際に関係改善のためには最大の懸案である元慰安婦や元徴用工問題で韓国が解決策を示すことが先決との日本の立場に変更はない。具体的には日本の企業に賠償金の請求を認めた韓国最高裁の判決は国際法違反なので是正すべきとの立場を貫いている。
日本は仮に日本の企業の資産が没収され、現金化されれば、日韓関係は取り返しのつかない状況に陥ると韓国に釘をさしてきた。今回、岸田首相も自らこの問題について触れ、念を押していた。そのことは韓国側一行も痛感したはずで、鄭団長は帰国後の会見で「日本は(元徴用工裁判の最高裁判決との関連で)現金化問題に対しては既存の立場を固守していた」と認めていた。
鄭団長は現金化問題については「日本側の憂慮を理解している」との尹次期大統領の考えを伝えたものの問題解決のためには「双方が対話を重ね、当事者が受け入れ可能な解決策を探すよう努力を傾けるべきだ」と、文大統領と同様の回答をしていた。
どちらにしても、尹次期政権は日本と早急な関係改善を望むならば、文政権同様に否が応でも、日本が「それならばよし」と納得できるような措置を取らざるを得ない。むしろ、今回の協議団派遣で文政権以上に日本からプレッシャーを掛けられたと言っても過言ではない。
尹次期政権の外相候補、朴振(パク・ジン)議員は昨日、韓国与野党議員への書面回答で「過去史」問題について「強制徴用、旧日本軍の慰安婦などに関する対日協議を速やかに開始し、両国の共同利益に合致する方向で合理的な解決策を模索する」との考えを示していたが、佐渡の金山の世界文化財遺産登録問題への対応では「本人の意思に反し強制労役を強いられた場所に関する十分な説明なければ遺産登録できないようユネスコなど国際社会とともに断固対応する」と文政権の立場を維持するとの考えを示していた。
韓日政策協議団の訪日が成功したのかどうか、来月10日に発足する尹政権下での日韓交渉が大いに注目される。