「申し訳ございません。今回はガイド不在となります」

京都でユニークなガイドツアーを企画・開催している「ことぶら」からお詫びのメールが届いたのは、「京都ルーレットツアー」の開催予定日の数週間前のことでした。

どうやら手違いでガイドの吉村晋弥さんの都合がつかなくなったようです。

にもかかわらず、ほとんどの人がキャンセルせずに参加することになった、ガイド不在の「京都ルーレットツアー」をレポートします。

「京都ルーレットツアー」とは

京都の観光スポットをユニークな切り口で案内する「ことぶら」のなかでも「京都ルーレットツアー」は常連さんがいるほどの人気ツアーです。

まずは「京都ルーレットツアー」の特徴をご紹介しましょう。

散策ルートは参加者がまわすルーレットで決まる

最大の特徴は、参加者自身がまわすルーレットによって散策ルートが決まるということ。

例えば「西」「3」が出れば、西へ3区画分進み、次は別の参加者がルーレットをまわします。その繰り返しによって散策ルートが決まっていくという感じ。

5箇所あるいずれかのゴールを目指す…も数年間ゴールなし！

ルーレットをまわして適当に散策するわけではなく、ゴールはもちろんあります。

こちらの5箇所のゴールが用意されており、前回のゴールである「六角堂」をのぞく4箇所のいずれかにたどり着けばOKというルール。

1. 北野天満宮
2. 下鴨神社
3. 六角堂
4. 梅小路公園
5. 三十三間堂

「ここまで来たら三十三間堂を目指しましょう！」といった感じで、参加者同士が話し合いながら“目指すゴール”を決めます。

…と言っても、ルートはルーレットで決まるので思うように進みません。なので、なんと「京都ルーレットツアー」では数年間ゴールに到達していないそう。

京都検定1級の6年連続最高得点の吉村晋弥さんがガイド

本来「京都ルーレットツアー」のガイドを務めるのは、京都検定1級を6年連続最高得点で合格している吉村晋弥さん。

参加者がまわすルーレットによって、たまたま通ったルートにあるさまざまなスポットを案内できるのは、豊富な知識を持つ吉村さんだからこそ。

その吉村さんが今回は不在というわけです。果たして「京都ルーレットツアー」は成り立つのでしょうか…

「ことぶら」代表の田中英哉さんがピンチヒッター

手違いによりガイドの吉村さんの都合がつかず、今回のガイドは「ことぶら」代表の田中英哉さんが務めるとのこと。

「みなさんキャンセルされるかと思ったら、ほとんどキャンセルが出なかったので………　おかげでガイドをやらざるを得なくなりました！」

「京都ルーレットツアー」や「本能寺の変スパルタウォーキングツアー」などのユニークなツアーをプロデュースする田中さんは、実は京都検定2級の資格保持者でもあります。おちゃらけているものの、知識も豊富です。

京都検定1級を持つ吉村さんには敵わないかも知れませんが、その分はユーモアでカバー。

こちらは、五条大橋のたもとで、「鴨川」と「賀茂川」について体を使って説明する田中さん。人通りの多い場所での“コマネチ”には相当な覚悟が伝わって来ました。

京都タワーを見つけると、「京都タワーはなにをモチーフにしているでしょうか？と出題。

「間違えたら京都から出て行ってください！」と条件が追加され、その場を盛りあげます。（文字にすると乱暴な言い方に見えますが、現場ではウケていました！）

ちなみに、正解は「ろうそく」ではなく「灯台」。海に見立てた京都の街並みを照らす灯台をモチーフにしています。

高島屋で展示されていた祇園祭の写真を見つけては、「鉾」と「山」の違いをやはり体を張って説明するなど笑いが絶えない時間となりました。

「京都ルーレットツアー」を通して参加者同士が仲良くなれるのもこの企画の魅力のひとつです。常連さんも多いですが、初参加の人でも楽しめる雰囲気があります。

最後は、姉小路通と柳馬場通の交差点で終了。残念ながら今回もゴールにはたどり着けませんでした。

ですが、参加者からは「おもしろかった！」「田中さんのガイドにも参加したい！」と称賛の嵐。

すっかりご機嫌の田中さんですが、常連のみなさんは田中さんを喜ばせるポイントを知っているということでしょう。

すでに残席わずか！？「京都ルーレットツアー」今後のスケジュール

ガイド不在という過去最大のピンチを乗り越えた「京都ルーレットツアー」、年内は残り2回の開催予定です。

• 2023年10月28日（土）10:00～12:00
• 2023年12月23日（土）10:00～12:00

次回開催はすでに残席わずかとなっているそうです。お申し込みは「ことぶら」のホームページから。