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ベースサイズの拡大、内野守備シフトの制限、ロボット審判導入等々、MLBがマイナーリーグで試験導入へ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
マイナーリーグでの試験的ルール変更を発表したMLBのマンフレッド・コミッショナー(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【MLBがマイナーリーグの試験的ルール変更を発表】

 MLBが現地時間の3月11日、リリースを発表し、将来的なMLB公式戦に反映すべく、今シーズンのマイナーリーグ各4レベル(3A、2A、ハイA、ローA)で、様々な試験的なルール変更を導入することを明らかにした。

 各レベルの変更点とその目的は、以下の通りになる。

【3Aはベースサイズを拡大】

 まず3Aでは本塁ベースを除く1塁、2塁、3塁のベースを、現在の15インチ(約38センチ)四方から18インチ(約46センチ)四方に拡大する。

 ベースを大きくするのは、選手のケガ予防とコリジョン(選手の衝突)を削減することを目的にしている。

 また塁間の距離が若干短くなるため、盗塁数および成功率の増加、また内野ゴロやバントによる安打も増加することが期待されている。

【2Aは内野守備シフトを制限】

 2Aでは内野守備に関するルールが加わることになる。守備につくチームは、最低4選手が外野との境界線となる土の部分に、両足を接地することが義務づけられる。

 またこのルール変更の結果次第では、シーズン後半からさらにルール変更を行い、内野手は2塁ベースを挟んで両サイドに2人ずつ配置することを要求することができる。

 このルール変更により内野シフトが禁止され、打率アップが期待されている。

【ハイAは投手の牽制を厳格化】

 ハイAでは投手の牽制が厳格化され、どの塁に投げる際もプレートから足を外さなければならなくなる。

 このルール変更により、盗塁数と成功率の増加が期待されている。MLBでは2019年に提携リーグのアトランティック・リーグで同様のルールを試験導入しており、すでに盗塁数と成功率の増加する結果を得ている。

【ローAでも投手の牽制などが回数制限】

 ローAでは、投手の牽制行為がさらに厳格化され、回数も制限される。

 走者をおいた場面で、投手は牽制もしくはプレートから足を外す動作を、打者1人に対し計2回に制限する。もし3回目を行った場合、走者がアウトにならずに帰塁すると、投手はボークを宣告される。

 またこのルール変更の結果によっては、MLBは制限数をさらに1回に減らすことができる。こちらも盗塁数と成功率の増加が期待されている。

 ローAではこれ以外にも、地区別に別のルール変更も導入される。

 サウスイースト地区では、ロボット審判が導入され、ボール/ストライクの判定を行う。

 さらにウェスト地区では、スタジアム内に3つのタイマーを設置し、投球間、イニング交代時、投手交代時の時間を厳格に制限する。現在3A、2Aで採用されている時間よりも、さらに厳しくなる予定だ。これにより、試合時間の短縮と試合ペースの加速化が期待されている。

 今回はあくまで試験的なルール変更だが、期待通りの結果が得られた場合は、もちろん将来的にMLBに導入されることになる。

 近い将来MLBでも、内野守備シフトが禁止され、ロボット審判が導入されているかもしれない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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