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平本蓮が記者会見で「ドーピング違反」を否定!疑惑は晴れたのか? それとも今後─。

近藤隆夫スポーツジャーナリスト
自ら記者会見を開き「ドーピング違反」を否定した平本蓮。(写真:藤村ノゾミ)

緊急会見で疑惑を否定

「ドーピングに関するようなことは一切やっていませんし、自分からドーピングを(赤沢幸典に)お願いしたこともまったくありません」

9月2日、ザ ロイヤルパークホテル アイコニック東京汐留での記者会見に2名の弁護士とともに姿を現した平本蓮(剛毅會)は、そう口にした。

格闘技界がざわついている。

7月28日、さいたまスーパーアリーナ『超RIZIN.3』で朝倉未来(JTT)と闘い1ラウンドTKO勝利を収めた平本にドーピング疑惑が持ち上がったからだ。

試合直後に数名のRIZINファイターがSNS上に、これを匂わせる投稿をしていた。それでも、この時点では噂に過ぎなかった。

ところが、8月20日に「復活の日本」という匿名アカウントでSNS上に驚愕の音声データが公開される。平本と「知人と思われる人物」の電話でのやり取り。内容は平本がドーピング違反をしていることを匂わせる生々しいものだった。

その1週間後に「知人と思われる人物」がDEEPを主戦場とする重量級ファイター、赤沢幸典(Tristar Gym 日本館/TEAM CLOUD)であることが判明。直後に、その赤沢がSNSで「平本に強く頼まれてドーピングを指南した」との旨を具体的な薬品名まで挙げて告白したのだ。さらにはやり取りしたメール、平本からの入金記録等の画像もSNS上にアップした。

「まさか!平本は本当にドーピングをしていたのか」

そんな声がファンの間に充満したのである。

7月29日、さいたまスーパーアリーナ『超RIZIN.3』で朝倉未来を撃破しリング上で絶叫する平本蓮(写真:藤村ノゾミ)
7月29日、さいたまスーパーアリーナ『超RIZIN.3』で朝倉未来を撃破しリング上で絶叫する平本蓮(写真:藤村ノゾミ)

今回の平本の記者会見は、これに反論し身の潔白を主張するためのものだった。

音声データが自分と赤沢のやり取りであること、またメール・入金記録の画像が本物であることを平本は認め、その上でこう話した。

「フィジカルトレーナーとジムでトレーニングしている際に、信頼していた赤沢さんから『ドーピング検査でも大丈夫なトレーニングの効率を上げるサプリ』を勧められ購入しました。でも、その後に(周囲から)『風邪薬にもドーピングに引っかかるものがあるくらいだから接種しない方がいい』と言われたので使用はしていません」

「8月4日の赤沢さんとの電話では(買ったものを使っていないのも悪いと思い)話を合わせました。『ステ本蓮』とか言われてモヤっとした感じはしましたが、その後のSNSで(電話をかけてきた)意味が解りました」

会見でメディアからの質問に答える平本蓮(中央)。左は成豪哲弁護士、右は吉野弦太弁護士(写真:SLAM JAM)
会見でメディアからの質問に答える平本蓮(中央)。左は成豪哲弁護士、右は吉野弦太弁護士(写真:SLAM JAM)

生々し過ぎる電話の音声

果たして平本は白か黒か?

記者会見で話を聞いた後も、私の中で答えは出ない。

「朝倉未来との大切な闘いで俺がそんなことをするはずがない。正々堂々と闘った」と平本は言う。

信じたい。だが、赤沢の告白がすべて嘘に塗れているとも思えない。

どのタイミングで接種すれば良いのかを平本が赤沢に尋ねるくだりは、単に話を合わせているようにはどうしても聞こえない。電話の音声が生々し過ぎるのだ。

今週中にはRIZINが会見を開き、ドーピング検査(尿検査)の結果を発表する。まずはこれを待ちたいが、尿検査のみでは十分ではないとの声も根強くある。

平本は言った。

「血液検査にも応じる。RIZINの指針に従って(潔白を)証明したい」と。

ここまで来たらレギュレーション云々ではなく、検査はトコトンやるべきだろう。平本蓮、朝倉未来、そして熱き闘いを見守ったファン…すべてのために。

そして今回、もっとも違和感を抱いたのは検査結果発表を前に、平本がRIZINの下ではなく単独で記者会見を開いたこと。このような形は、これまでになかった。その意味が近日中に分かるように思う。

スポーツジャーナリスト

1967年1月26日生まれ、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から『週刊ゴング』誌の記者となり、その後『ゴング格闘技』編集長を務める。タイ、インドなどアジア諸国を放浪、米国生活を経てスポーツジャーナリストに。プロスポーツから学校体育の現場まで幅広く取材・執筆活動を展開、テレビ、ラジオのコメンテーターも務める。『グレイシー一族の真実』(文藝春秋)、『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)、『情熱のサイドスロー~小林繁物語~』(竹書房)、『柔道の父、体育の父  嘉納治五郎』(ともに汐文社)ほか著書多数。仕事のご依頼、お問い合わせは、takao2869@gmail.comまで。

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