日本を信頼できる? 好感を持てる? 諸外国に聞いた結果は二極化
日本への好感度の実情
国家同士の関係はその国全体の利益、歴史観、周辺国とのつながり方など多要素によって形成されるため、単純な国民感情のみで決定されることは滅多に無い。一方で多くの国で採用されている民主主義的政治体系においては、国民の意志が多分に反映されるため、国民の強い意志により国政そのものが変化を受ける事態も少なくない。今回は新聞通信調査会が2017年4月24日に発表した、諸外国のメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査(2017年調査)」(※)などの内容から、国そのものの施策にも影響を及ぼすかもしれない、国民ベースにおける日本への信頼度合い、好感を持つか否かについて確認を行う。
次に示すのは日本への好感度合い。設問は日本に加え調査各国を評価回答対象としており、選択肢も強弱肯定的、強弱否定的の計4つのみとなっている。次に示すのは肯定的=好感を持つ人の割合。直近年分に関しては属性別の回答率も開示されているため、こちらもグラフを作成する。
欧米3か国は肯定的な意見が7割から8割、イギリスがやや低めだが、これは2015年時点で公開されていた回答内容から勘案するに、「分からない」が多く他項目を圧迫しているだけであり(選択肢には存在しないが、回答しなかったものと考えられる)、大勢としてはほぼ同じと解釈できる。他方、他項目でも日本への好意度の高さを示しているタイは肯定派が9割を超えている。これらの国の動向は経年変化では変わりなし、むしろ上昇する国もあるほど。
韓国はといえば、この類の他調査同様、日本に対する反発心が強い。肯定派は3割程度でしかない。中国は2015年の時点では質問自体ができなかったので空欄となっているが、動向としては韓国とほぼ同じ。むしろ好感を持てる人の割合は、韓国よりも少ない。
属性別動向を見ると、欧米諸国では男性の好感度が高く、女性は低め。若年層が高めで高齢層はやや落ちる、共通の動きを示している。タイは多少の誤差があるがほぼ押しなべて高めで、70代以上では100%もの値が出ているほど。
他方中国では10代がやや高めな以外は法則性の類は無し。韓国では男女間の差異は無いものの、年齢階層別では異様なまでに10代の値が高い。他項目になるが「メディアに期待する日本についての報道内容」では、韓国の10代の回答値で「ファッション・アニメ・音楽」の値が78.6%となり、他属性(30~40%台)と比べると極めて高い値を計上していることから、この要素が好感度に影響している可能性はある。
日本への信頼度合いの実情
それでは好き嫌いでは無く、信義則の観点などで、日本を信頼できるか否かの実情はどのような実態なのだろうか。設問原文は「日本を信頼できる国だと思いますか」。選択肢のスタイルは好感の時と同じ。
大よそ好感を持てる・持てないと同じ動きで、方向性がさらに強化された雰囲気。米英仏タイは好感度合いの時と比べて肯定意見は変わらず、中国と韓国は否定意見が一層強い結果が出ている。またイギリスの「分からない」が多く、肯定意見の絶対値が押し下げられる現象は、今件から確認ができる。中韓共に日本を信頼に足る国と考えている人は2割を切っており、強い否定意見を持つ人は中韓ともに5割近く。もっともこの動きは同様の他調査でも大よそ同じ結果が出ており、驚くには値しない。
なおグラフ化及び詳細精査は略するが、属性別では諸国でほぼ変わりがないものの、韓国ではやはり10代にイレギュラーな動き、具体的には信頼できる派とできない派の値が均衡しているのが確認できる。
さまざまな理由、思惑、背景があるにせよ、日本に対する各国のスタンスが透けて見えそうな結果には違いない。
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※諸外国における対日メディア世論調査
直近年分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2017年2月から3月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、イギリス・中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。