「R-1」準優勝・大谷健太が「R-1」に出られなくなって考えたこと
「R-1ぐらんぷり2020」で準優勝したピン芸人・大谷健太さん(36)。独創性あふれる早口言葉ネタで注目されましたが、それを活かした「大谷健太の早口言葉かるた展」(12月3日~5日、東京Oak Cube)を開催します。出場資格の改定により芸歴的に今年から「R-1」には出られなくなりましたが、そこでたどり着いた境地とは。
仕事量10倍
去年の「R-1」以降、仕事量が約10倍にはなったと思います。
ただ、以前は本当に仕事がなかったので(笑)、今でも決して多くはないですけど、増えたのは事実ですし、ありがたいことだと思っています。
でも、今年から芸歴制限で「R-1」には出られなくなりました。いわば戦う場がなくなったので、その分というか何をしたらいいのか。いろいろ考えました。
今回のかるた展というのも一つですし、これまでにはなかった方向性を見出している。そんな部分も確実にあると感じています。
「R-1」に出られなくなった分、YouTubeやSNSにネタをアップしたり、そういう力の使い方もするようになりました。
これまでは自分の中の心持ちとして「芸人からつまんないと思われたくない」という考え方がありまして。別に変にとんがっているわけではないんですけど(笑)、そこのネタの強さは保っておきたいというか、そういう思いはありました。
でも、SNSを通じてお子さんやあまりお笑いを見たことがない方々にも見てもらえる機会が増えて、そういった方々から反応をもらうようになった。それにより、芸人としてのスタンスの見直しみたいなところも生まれていると思います。
“そうではない人”へのアプローチ
今までは「R-1」を見据える。そして、芸人との対峙もある。そして、劇場に足を運んでくださるようなお笑い好きのお客さんの目を意識してネタを作っていたと思うんですけど“そうではない人”へのアプローチ。
それを考えた結果、今回のかるたみたいな企画が生まれてきましたし、これまでの自分にはない方向性が出てきた感じですね。
ただ、何をやるにしても、そこに自分なりの面白さは必ず入れておく。その濃淡はあるのかもしれませんが、そこだけはこだわっているところです。
一方でネタをやるわけではなく、一人の出演者として陣内智則さんみたいに番組に出られたらなという思いもあります。
いろいろとやりたいことが多種多様になってますけど(笑)、それこそ陣内さんのように根底にネタの圧倒的な面白さがある。そんな存在として認められるよう、積み重ねを続けていきたいと思っています。
(撮影・中西正男)
■大谷健太(おおたに・けんた)
1985年9月11日生まれ。福岡県出身。吉本興業所属。2005年にお笑いコンビ「桃組」を結成。13年にコンビ解散後はピン芸人として活動。イラストを使ったフリップネタで注目され「R-1ぐらんぷり2020」では“オリジナル早口言葉”のネタで決勝に進出し準優勝する。「大谷健太の早口言葉かるた展」(12月3日~5日、東京Oak Cube)を開催。早口言葉かるた(税込み1800円)も販売する。