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日銀の正常化プロセスとは

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀の安達誠司審議委員は10月16日に香川県金融経済懇談会にて講演を行った。その内容が日銀のサイトにアップされている。

「わが国の経済・物価情勢と金融政策」 https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241016a.htm

 安達審議委員は2020年3月に原田泰審議委員の後任として就任した。任期は2025年3月25日までとなる。

 リフレ派の原田泰審議委員の後任も、やはり原田氏と同様、金融緩和に積極的な「リフレ派」のエコノミストとして知られる安達氏が就任した。

 しかし、その後の安達審議委員の発言内容などからみて、次第にリフレ派の考え方と距離を置くようになっていたようだ。

 実際に今年3月に日銀がマイナス金利政策を解除した際、中村委員と野口委員が反対票を投じたが、安達委員は賛成していた。野口委員はリフレ派を続けているようで、中村委員はリフレ派ではないがいわゆるハト派という認識となっている。

 安達委員は講演のなかで、「金融政策が正常化プロセスに入る条件は既に満たしていると考えています」と発言した。

 これは3月のマイナス金利解除、7月の利上げにも賛成票を投じた理由ともなっているとみられる。

 金融政策の正常化の際には段階的な利上げというプロセスを経ることが適当であるとも発言している。

 これが現在の日銀の姿勢そのものを示していると私は考えている。

 長期にわたり金利の付かない状況が続いていたことでショックを抑えるためにも、金利の回復にはある程度時間を掛ける必要がある。

 時間を掛けながら、0.25%刻みでの利上げを私は想定している。

 インフレ目標を達成した状態の下での政策金利水準が「中立金利」に近い水準であるとの指摘もあったが、中立金利の水準そのものは今後手探りとなることも予想され、どこまで政策金利を引き上げられるかの予想そのものは難しい。

 ただし、その最低水準は1%あたりとの見方も可能となるのではなかろうか。

 そうであれば、次回の利上げは12月に0.25%。来年も0.25%を2回引き上げることで、政策金利の1%までの引き上げが可能ではないかとみている。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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