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完売の「なんば線シリーズ」記念切符 「乗車券使用済み」でメルカリ売れまくり なぜ?

岡田有花フリーランス記者
「乗車券無し/乗車券使用済み」でメルカリで販売される記念切符(筆者キャプチャ)

10月25日朝追記:阪神電鉄はなんば線シリーズ記念乗車券&入場券セットの再販とネット販売を発表しました。欲しい人も、転売品を買う必要はなさそうです。

ーーーーーーーー追記ここまでーーーーーーーーーーー

 関西を拠点にする2球団・阪神タイガースとオリックス・バファローズが日本シリーズ進出を決めた。タイガースのホーム・阪神甲子園球場と、オリックスのホーム・京セラドーム大阪は、阪神電鉄なんば線でつながっており、両チームが対戦する日本シリーズは、SNSなどで「なんば線シリーズ」と呼ばれるようになった。

 この呼称に公式も乗っかった。阪神電鉄が10月22日、「なんば線シリーズ記念乗車券&入場券セット」(1800円)を発売。両チームのロゴやなんば線の路線図などをあしらったカバーに、甲子園球場最寄りの甲子園駅、京セラドーム最寄りのドーム前駅をつなぐ片道乗車券セット、両駅の入場券をセットを封入した。

 このセットは2日で完売。運良く手に入れた人の一部が、メルカリで転売している。ただ、転売品はすべて、「乗車券なし」または「乗車券使用済み」。金券としての価値はゼロだ。それでも定価の倍ほどの値段で取引されてている。

 なぜ乗車券をわざわざ使用済みにして販売するのか――。背景には、乗車券を出品禁止にしているメルカリの規約がある。メルカリは規約で、「有形/電子を問わず、金銭と同等に扱われるもの全般の出品」を禁止しており、乗車券もそれに当たる。

メルカリに出品されると、飛ぶように売れている
メルカリに出品されると、飛ぶように売れている

乗車券使用済みまたは乗車券なしで販売されている
乗車券使用済みまたは乗車券なしで販売されている

 メルカリはなぜ、「金銭と同等のもの」を出品禁止にしているのだろうか。発端は2017年にさかのぼる

 当時メルカリで、現金が相次いで出品されて問題になった。1万円札×4枚を4万7300円で売るなど、現行の1万円札を額面以上の金額で販売する出品が多数見つかったのだ。メルカリは「マネーロンダリングにつながる可能性がある」として現行紙幣の出品を禁止。すると今度は、チャージ済みSuicaの額面以上の価格での出品が多数確認され、チャージ済みSuicaの出品も禁止されるなど、現金同等品の出品と、それを規約で禁止する――といういたちごっこが起きた。

 こうした流れの中でメルカリは「金銭と同等に扱われるもの」全般の出品を禁止。「なんば線シリーズ」の記念切符がそのままでは出品できないのも、こうした経緯を受けてのことだ。

メルカリの現行規約より。乗車券の出品が禁止されている
メルカリの現行規約より。乗車券の出品が禁止されている

 なんば線シリーズ記念切符は、「乗車券なし」「乗車券使用済み」でも定価以上の価格で飛ぶように売れている。 関西球団同士による日本シリーズは1964年以来59年ぶりであり、阪神なんば線でつながる両チームの日本シリーズは史上初。乗車券が利用できなくても、記念品としての価値は高いようだ。

フリーランス記者

1978年生まれ。京都大学卒。IT系ニュースサイト記者、Webベンチャーを経て、IT・Web分野を軸に幅広く取材、執筆するフリーランス記者。著書に「ネットで人生、変わりましたか」(ソフトバンククリエイティブ)。

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