メルカリ事件簿2017~「現金」から「高額ピザポテト」まで
2017年、フリマアプリ「メルカリ」をめぐってさまざまな“事件”があった。現金が出品されて騒動になったり、品薄のお菓子「ピザポテト」が高額で出品され話題になったほか、盗んだ野球ボールをメルカリで販売していた男が逮捕されるなど、刑事事件に発展したケースもある。
今年の“メルカリ事件簿”を振り帰る。
「現金」「Suica」「特殊景品」……
「メルカリに現金が出品されている」――Twitterでこんな話題が広がったのは4月のことだった。
メルカリでは、1万円札×4枚を4万7300円で売るなど、現行の1万円札を額面以上の金額で販売する出品が多数見つかり、ネットで騒ぎになったのだ。落札者の目的は不明だが、落札金額をクレジットカードで決済することで、カード枠の現金化に使っているのでは、という指摘もあった。
メルカリは、「マネーロンダリングにつながる可能性がある」として現行紙幣の出品を禁止。すると今度は、チャージ済みSuicaの額面以上の価格での出品が多数確認され、話題を集めた。その後チャージ済みSuicaの出品も禁止された。
また、パチンコ店のそばにある景品交換所で現金に交換できる「パチンコの特殊景品」も出品されていると話題に。メルカリはこれも「マネーロンダリングにつながる可能性がある」と判断して削除対象にしている。
さらには、「あて名無記名の領収書の出品」も話題になったが、メルカリによると「領収書はサービス開始当初から出品を禁止しており、出品された場合は削除している」という。
現金出品の禁止の話題に乗っかった“ネタ出品”も話題を集めた。「魚のオブジェ」と称して、1万円札を魚の形に折って、5万9000円で販売したり、福沢諭吉の自伝書籍に「福沢諭吉のポートレートカード」(1万円札を指しているとみられる)をおまけにつけて1万5000円で販売する――などの猛者が登場していた。
「学位記入れ」の出品も話題に。東京大学・早稲田大学など大学「学位記」(学位を授与したことを証明する書類)を入れるためのケースが、メルカリには多数出品されれており、有名大学のものは2万円前後で取引されている。もちろん学位記そのものは入っていないのだが、コレクターが購入しているのか、それとも……。
「ピザポテト」から「Switchの箱」まで 品薄協奏曲
メルカリでは、市場で品薄の商品が高値で転売されることも多い。大きな話題を集めたのは、お菓子の高額転売だ。
4月にカルビーが、ポテトスナック「ピザポテト」の休売を発表(現在は販売再開済み)。その直後から高額出品が相次ぎ、1袋1500円や1万5000円といった超高値で出品するユーザーも現れた。(あまりに高額な場合は購入されないだろうが……)
5月には、スナック菓子「カール」の東日本での販売終了が発表された。その直後からメルカリには、カールが高額出品され始めた。東日本で品薄になると読んだユーザーが、東日本のカールファンを狙って出品したようだ。中には、1袋1500円や1袋10万円以上の値を付けて出品するユーザーもいたようだ。
1年を通じて品薄だった任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」も、メルカリの人気商品だが、詐欺まがいの出品もあった。Switchの本体を売ると見せかけて、「箱だけ」を数万円など高額で売る悪質なユーザーが現れたのだ。メルカリはこういった出品について、取り締まりを強化したという。
メルカリ悪用で逮捕者も
メルカリの悪用に関連し、逮捕者も出た。
前述の「現金出品」問題に関連し、メルカリで現金などを額面以上の価格で販売して法定利率を超える利息を不正に受け取った出資法違反の疑いで、千葉県の男など4人が11月に逮捕されている。
アカウント転売による逮捕者も。メルカリのアカウントを不正取得・転売したとして6月、福岡県の男2人が、私電磁的記録不正作出・共用の疑いで逮捕された。転売されたアカウントは、不正行為などでアカウント停止になったユーザーなどに悪用されるケースがあったという。
盗品をメルカリで販売したことが明るみになった事件も。関東地方を中心に、高校野球部からボールが盗まれる事件が相次ぎ、うち1校の被害について、窃盗などの疑いで、水戸市の男など3人が10月に逮捕された。3人は盗んだボールをメルカリなどで販売していたという。
また、http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1707/24/news099.htmlメルカリを通じてコンピュータウイルス入手法情報を出品していた中学2年生の男子生徒が9月、不正指令電磁的記録提供の非行内容で児童相談所に通告されたhttp://www.itmedia.co.jp/news/articles/1707/24/news099.html事件も]。メルカリの利用やコンピュータウイルスによる“いたずら”が未成年にも広がっていることが改めて浮き彫りにになった。
12月には、ワシントン条約で絶滅危惧種に指定されている哺乳類「センザンコウ」の剥製をメルカリに出品した2人が、種の保存法違反の疑いで書類送検される事件も起きた。2人は容疑を認め「規制されているのを知らなかった」などと供述していたという。メルカリは誰でも手軽に出品できるだけに、専門知識のない人が、販売禁止物を知らずに出品する――というケースもありそうだ。
「悪用」とどう戦う?
メルカリも、悪用対策に乗り出している。
出品者の本人確認を強化し、初回出品時の住所・氏名・生年月日の登録を必須にしたほか、盗難にあった被害者に、損害額の補てんを行う仕組みも検討するという。また、過去に発生した違反行為を分析し、人工知能(AI)などを使って不正を検知するといった取り組みもスタートしているという。
不正出品者とメルカリの“攻防”は、来年も続きそうだ。