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髙橋藍など出場「SVリーグ」開幕チケット大混乱 「システム酷すぎ」「ログインできない」→高額転売も

岡田有花フリーランス記者
SVリーグ公式サイトより。開幕戦には高橋・西田選手などが出場(筆者撮影)

 「待合室にも入れなかった」「パスワードが合っているのに弾かれ、何時間も無駄にした」。9月11日に発売された、バレーボール「SVリーグ」開幕戦チケットをめぐり、混乱が起きた。

 開幕戦はチケットは当初から争奪戦状態が予想されていた。パリ五輪で日本バレーの人気が上昇した上、開幕戦は、代表チームで人気の髙橋藍選手らが所属するサントリーサンバーズ大阪と、西田有志選手などが所属する大阪ブルテオンの対戦だからだ。

 SVリーグは、独自のチケット販売システム「チケット V」で、11日12時30分にチケットを発売したが、「システムの設定ミスで、誰も購入できない」という前代未聞の事態が発生し、販売を中断した。

初出時、「システムがダウンした」と記載しておりましたが、実際は「購入ページURLが誤って設定されていたため」との告知が出ていました。お詫びして訂正いたします。(9月13日午後4時追記)

 同日午後6時30分に再発売したが、「IDもパスワードも合っているのにログインできない」と訴えるファンが続出するなどエラーが頻発。多くのファンが購入ページにたどり着けないまま、1時間ほどで売り切れた。

 しかも、販売終了直後から、一部のチケットが転売サイトに出品され、高額転売されている。

一部のチケットが高額転売されている(筆者キャプチャ)
一部のチケットが高額転売されている(筆者キャプチャ)

 バレーファンは「こんな酷いシステムは初めて」と落胆。立ち上がったばかりのSVリーグだが、チケット販売システムの見直しを急ぐ必要がある。

「待機室」設置も……設定ミスで初回販売中止

 チケットは当初、11日午前12時30分に発売予定だった。

 SVリーグ側に「大量のアクセスをさばこう」という意図は見えてはいた。購入希望者にはまず「待機室」(12時20分開放)に入ってもらった後、ランダムで「ウェイティングルーム」に案内。その後に購入ページに遷移する、という想定だった。

 だが発売時間には、購入ページへ遷移できない不具合が発生。購入ページURLが誤って設定されるというミスがあり、誰ひとり購入できないまま1時間ほど過ぎた後、SVリーグは「販売時刻を変更しての再発する」と告知した。

 この時点でファンは怒り心頭だった。平日昼間に時間を取り、ログインを試みて2時間近く画面に張り付いていたのに何も得られず、再び夕方に時間を取らねばならなくなったためだ。

再販売時も「パスワード合ってるのにログインできない」など障害

 午後6時半からの再発売も混乱を極めた。「パスワードが合っているのにログインできない」と訴える人が続出。パスワードの再設定を繰り返し求められる人も多かったようだ。

 多くのファンが購入画面に遷移できないまま、1時間ほどでチケットは売り切れた。「2時間近く待ち続けたが購入画面に行けなかった」という人も多かった反面、「一度ログイン・購入できた人は、繰り返し購入できる仕様だった」という声も。これが事実なら、極めて不公平なシステムになっていたと言える。

システムの見直しを

 男子バレーの人気はパリ五輪後にさらに上昇。トップスターである髙橋藍選手が日本に帰ってきたこともあり、チケットの需要が急速に高まることは、誰もが予想していた。

 SVリーグは今期にスタートする新しいリーグで、独自のチケット販売システム「チケット V」も8月にスタートしたばかりだ。結果論だが、ニーズに応じた大量のアクセスをさばくなどの経験が足りないまま、見切り発車したと言わざるを得ない。

 リーグ側は、今回の失敗を受け止め、早急にシステムの改善と対策を講じる必要があるだろう。アクセス集中をさばく仕組みなどは、人気アーティストの音楽チケットを販売してきた他業界の経験や実績が生きるかもしれない。

 独自の販売サイトを成長させることも重要だろうが、現時点で重荷すぎるならば、「チケットぴあ」や「e+」など、経験の長い外部システムを一時的に頼るのも手だろう。また、早い者順ではなく、抽選販売と厳格な本人確認を組み合わせるという手もある。

 男子バレーの人気はかつてないほど高まっている。新しくファンになってくれた人をつなぎ止めるためにも、チケットの公平性を保つための対策を、ぜひ打ってほしい。

フリーランス記者

1978年生まれ。京都大学卒。IT系ニュースサイト記者、Webベンチャーを経て、IT・Web分野を軸に幅広く取材、執筆するフリーランス記者。著書に「ネットで人生、変わりましたか」(ソフトバンククリエイティブ)。

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