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10KO目で自身の11勝を挙げたスター性十分なサウスポー

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 リオ五輪代表選手としてプロに転向し、これまでの戦績が14戦全勝9KOのメキシコ人、ホアン・パブロ・ロメロと、11勝(10KO)1敗1分けのドミニカ人、エルビス・ロドリゲスのスーパーライト級10回戦は注目を集めた。

(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 共にパンチのある者同士でノックアウト決着となりそうだったが、ロドリゲスは直近のファイトでキャリア初の黒星を喫している点が懸念された。 

 とはいえ、蓋を開けてみればサウスポーのロドリゲスは溌溂としており、ファーストラウンドからシャープなワンツーを放っていく。それも左ストレートを上下に打ち分けていた。

(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 1、2ラウンドとロメロは接近戦を挑み、唸り声を上げながら手を出したが、ロドリゲスはフットワークで捌く。3回に入ると、ロメロのパンチを見切るようになった。

(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 第4ラウンド、ロドリゲスは敢えてロメロの土俵であるクロスレンジで打ち合う。再三、ボディブローでダメージを与えながら、左アッパーを顎にヒットし、メキシカンの自由を奪っていく。

 ドミニカンはリングを大きく使うが、ロメロはリング中央を小さく回りながらダメージを溜めていった。

 そして、ロドリゲスの連打を浴びたメキシカンは、この回の終盤に片膝をついてダウン。

(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 辛うじて起き上がり、ラウンドの終了のゴングまで凌いだロメロは、翌5ラウンド、遮二無二前進する。

 しかし、ロドリゲスはロメロに手を出させ、それをブロックしながらフィニッシュのタイミングを窺っていた。

 カウンターの左ショートを顎にぶち込み、試合を決める。正式なノックアウトタイムは、5回2分49秒。

(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 試合後、勝者は語った。

 「1~2ラウンドはゆっくりと相手を観察した。でも、ロメロの涙が見えたのでスイッチが入り、アッパーを放ち始めた。彼がスタートから飛ばす選手だということは分かっていた。

 今夜はインパクトを残せただろう。誰もが俺のパワー、パンチの質を知ったんじゃないかな。11の勝利、それぞれでアピールできたように思う」

 ロドリゲスは、先日引退したマニー・パッキャオのトレーナーだったフレディ・ローチの指導を受けている。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210626-00243192

 

 25歳のロドリゲスがどこまで伸びるか、楽しみだ。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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