録音ツールとしての『アップルウォッチ』
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/00100508/top_image.jpeg?exp=10800)
KNNポール神田です。
著名なサウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・アフマド・カショギ氏の失踪に関するトルコの調査によって、カショギ氏が着用していた「Apple Watch」に、彼が拷問を受けて殺害されたことを示す録音がされていたことが判明したと、10月13日にトルコの新聞社が報道した。
『Apple Watch』の録音機能
普通は、iPhoneなどをつかって、音声を『録音』することは多い。しかし、相手に気づかれずに録音する最良の方法は、AppleWatchだろう。Apple Watch対応の『録音アプリ』は多数存在する。録音している様子を表示しないバックグラウンドモードで録音できたり、iPhoneに転送できる機能なども、サードパーティーによるアプリで対応できる。
https://jioe.wordpress.com/2018/02/03/watchos4のバックグラウンド録音対応アプリ/
ジャマル・アフマド・カショギ氏はどうやって『録音データ』を婚約者に送ったのか?
ジャマル・アフマド・カショギ氏が第3世代のApple Watchを所有していることは赤のデジタルクラウンから確認できている。
ウォッチのクラウンに見られる赤いドットから第3世代と思われるAppleウォッチをつけているKhashoggiの画像を見つけた。2017年モデルはオプションでLTE通信機能がついていた。
しかしたとえKhashoggiがそのモデルを手首につけて総領事館に入っていたとしても、第3世代Appleウォッチはトルコではセルラー通信をサポートしていない。なので、事実上、彼の健康データが総領事館の外にあった彼のiPhoneもしくはAppleのサーバーにシンクされていたチャンスは除外される。
また彼のウォッチが総領事館内のWi-Fiネットワークに接続したり、領事館の外にあったiPhoneとBluetoothで接続できる範囲にあったというのは考えにくい。
婚約者に自分のiPhoneを持たさておき、自分の指紋以外にも、婚約者の指紋を登録しておけば、録音データが同期した時に外部でも録音データを聞くことができる。
これらの事から、たとえ、Apple Watchのバックグラウンドモードで録音されたデータが存在したとはいえ、セルラーモデルでもトルコでは実質、外部にファイルを転送ができないとなると、これらの『仮説』は絶望的となる。
セルラー通信でアクセスできる国はそんなに多くないからだ…。
https://www.apple.com/watch/cellular/#table-series-3
『録音機』としてのApple Watch
しかしながら、Apple Watchという名の『録音機』は魅力的だ。相手に『録音』を意識させない。まるでスパイツールのような使い方ができる。会議に『ボイスレコーダー』を持ち込むことなく、手元で立ち上げるだけで解決できる。気になるのがバッテリーだ。iPhoneなどであればモバイルバッテリーなどでチャージしながら使うことができるが、Apple Watchの場合、構造上、腕にはめたままでの充電をしようとすると、手とApple Watchの隙間にチャージャーを滑りこませ、手錠をはめられたようなコードで縛られ、自由に動けない状況になってしまうだろう。あくまでも『録音機』ではなく補助的な『録音機能』と考えるべきであろう。
それでも、いついかなる時でも、ポケットやカバンの中から取り出すことなく、数回のタップで録音できるという機能は、まさかの時の『証拠』を録音できるチャンスはある。
同時にApple Watchを装着している人は、『録音』している可能性も高いと考えることもできるだろう。