この冬の仙台は雪が多い? その特徴と今後の見通し
仙台は本当に雪が多い――。この冬は幾度となくそんな言葉を聞きました。では本当に多いのか。数字で定量的に確かめてみたいと思います。
量ではなく回数が多い
去年11月1日から2月23日までの仙台の累積降雪量(降雪量の合計)は、48センチ。これは平年の100%に当たり、平年並みの降雪量です。また、今季の最深積雪も4センチで、大雪になった日はありません。それなのに、なぜ雪が多いと感じるのか。どうやら、降る量ではなく、降る頻度に原因があるようです。
下のグラフは、仙台で1センチ以上の降雪があった日数を月ごとに示したものです。今季は、いずれの月も平年より多くなっています。つまり、少し降っては解け、降っては解けを繰り返し、その「頻度」が多いというわけです。「雪の量は普通だけど、降る回数が多い」と言った方が、実態を表しています。
今季は奥羽山脈越えの降雪が多い
宮城県で雪が降るのは、大きく分けて2つのパターンがあります。
1つ目は、強い冬型の気圧配置になり、奥羽山脈を越えて雪雲が流れ込むパターンです。奥羽山脈の山々の標高は1500m前後と低く、強い冬型になると、関東のように雪雲をブロックできず、雪雲が頻繁に流れ込んできます。この場合、山沿いはまとまった雪になりますが、平地は数センチ程度の降雪(積雪)で終わることが多いです(古川など一部例外はあります)。
2つ目は、南岸低気圧です。これは広い範囲に雪雲がかかるため、条件が揃えば、平地でも10センチ以上降り積もるような大雪になることがあります。
この冬の雪は、1つ目の奥羽山脈越えのパターンがほとんど。秋田の上空5500m付近の気温を見ると、平年よりも低い山がいくつもあり、たびたび強い寒気が流れ込んできた様子がわかります。これが、小刻みに降っては解ける雪の原因と言えそうです。
条件が揃えば3月もまとまった雪
きょう2月24日に発表された最新の1か月予報によると、今後は一転して暖気が優勢となり、東北地方は寒気の影響を受けにくくなる予想です。
日本海側の降雪は当然減っていきますが、今度は雪が解け始めることで起きる災害(なだれや落雪)には注意が必要です。
仙台など太平洋側でも、これまでのような頻度での雪はなくなってくるでしょう。ただ、ひとたび寒気が入れば、寒気と暖気のぶつかり合いによって低気圧が急発達し、条件次第では太平洋側でもまとまった雪になる可能性は十分にあります。
平地だけの走行であっても、ノーマルタイヤへの交換は、まだしばらくは控えるようにしていただきたいと思います。