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ドンピシャなカウンターを決め15戦全勝11KOとなった世界ライト級13位

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 WBAライト級13位のサウスポー、フランク・マーティン(26)のプロ15戦目の対戦相手に抜擢されたのは、フロリダ州マイアミに居を構える同じ歳のフィリピン人、ロメロ・デュノであった。

 24勝(19KO)2敗のデュノは、2017年3月10日に本場に進出し、マーティン戦がアメリカ合衆国における11度目のリングだった。

 マーティンを喰ってやろう! というデュノの思いは、リングに上がった彼の表情から、十分伝わってきた。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 アマチュア時代に7度、ナショナルチャンピオンとなっているマーティンは、開始ゴングからスピードに乗ったフットワークとワンツーで攻め立てる。足捌きに、一日の長があった。

 接近戦に持ち込みたいデュノが放つ左右のフックは1、2、3ラウンドと、虚しく空を切る。

 第4ラウンド、デュノは遮二無二前進した。そして37秒、力を込めて振るった右フックがマーティンを捉え、WBA13位はピンチに陥る。マーティンはデュノの体にしがみついて、時間を稼ぐ。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 その後もマーティンにはダメージが残っているように見えた。クリンチを繰り返し、何とか凌ぐ。

 そんな局面で訪れた同ラウンド1分57秒、デュノの右ストレートを紙一重で躱したマーティンの美しい左ストレートがクリーンヒット。フィリピン人ファイターが腰からキャンバスに沈む。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 起き上がり、試合続行したデュノだったが、自身の右フックに合わせた左ストレートを浴び、再びダウン。ここで力尽きた。

 公式タイムは4回2分54秒だった。プロ戦績を15戦全勝11KOとしたマーティン。 FOXが後押ししていることもあり、今年、大舞台に繋がる試合が用意されそうだ。

 一方、自身2度目のノックアウト負けを喫したアジア人には、異国でどんな道が用意されるであろうか。フィリピン期待の星だったが、誰もがマニー・パッキャオのような伝説の男になれる訳ではない。プロモーターは今後、彼を咬ませ犬的に扱うのだろうか……。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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