2020年注目、春開業の羽田空港直結ホテル。1717室のホテルに温泉・バスターミナル併設で変わる羽田
2020年、国内空港で注目したいのが羽田空港だ。3月29日に日中時間帯の国際線発着枠拡大により50往復100便の国際線が増便される。アメリカ路線の大幅増便のほか、イタリア・フィンランド・スウェーデン・トルコなどのヨーロッパへも新たに就航するが、もう1つの注目が2020年春に羽田空港国際線ターミナルに直結する場所にホテルを中心とした複合商業施設のオープンだ。
ホテルの客室数は1717室。羽田空港内には既に2つのホテル(羽田エクセルホテル東急、ザ ロイヤルパークホテル 東京羽田)と簡易宿泊施設(ファーストキャビン)あるが、空港内ホテルとしては最多の客室数を誇る。
今回、住友不動産が国際線ターミナルから連絡通路経由でアクセスできる羽田空港の第2ゾーン開発に係る民間事業者の公募によって選定された。国家戦略特区事業に認定され、街区名を「羽田エアポートガーデン」と命名。開発コンセプトは「オールインワン・ホテル」として、敷地面積は約4万3000平米、延べ床面積は約9万1500平米を誇り、ホテルに加えて、深夜営業も行う天然温泉、またレストラン、物販店舗、ホール・会議室、バスターミナルも併設されるなど、通常の空港機能に新たな付加価値が加わることで、名実ともに24時間眠らない空港となるのだ。
住友不動産の発表では春オープン予定となっており、正式なホテル開業日は年明けに発表されるが、既に2020年5月7日~6月30日までの宿泊予約が開始されており、5月7日よりも更に早く開業する可能性も考えられる。
メリット1:1717室のホテルは深夜早朝便利用時だけでなく都心観光の拠点に
来年春にオープンするホテルは、住友不動産が運営するヴィラフォンテーヌの上級ブランドとして2グレードで1717室の客室数となる。1717室の中で約9割にあたる1557室のハイグレードホテルが「ヴィラフォンテーヌ グランド 羽田空港」だ。客室のタイプは13タイプで、18平米~42平米の広さとなる。一番多いのがコンフォートダブル(20平米)で693室、その次にスーペリアツイン(23平米)が518室となっている。主な特徴としては、人気のシモンズベッドを全室に採用するほか、海外渡航前後での利用が多いことを想定し、トランクを広げられるスペースを確保するなどの工夫がされている。
気になる宿泊価格は、住友不動産によると上記の客室で1泊2万円前後を想定しているそうだ。ホテルのホームページから5月7日の宿泊料金を確認してみると、18平米のダブル、20平米のコンフォートダブルの1名利用で税込2万1280円、23平米のスーペリアツインの2名利用で税込2万5650円、29平米の和洋室の税込2名利用で3万1160円(共にホテル会員価格で素泊まり)となっている。
また、最上級ブランドとして開業する「ヴィラフォンテーヌ プレミア 羽田空港」は160室で全室がリバービューの開放的な眺望で、33平米のデラックスツイン・デラックスダブル、エグゼクティブダブル・ツイン、そして97平米のプレミアスイート、更に173平米のスイートルームを完備し、厚さ300ミリの特注のシモンズベッドに加えて、シャワーブースも備えている。その他にもドアマンによるお出迎えやコンシェルジュによる滞在サポート、ベルサービスなどラグジュアリーホテルならではのサービスを受けられるホテルだ。
5月7日の宿泊料金を確認してみると、デラックスツイン・デラックスダブルの2名利用で4万7310円(共にホテル会員価格で素泊まり)となっている。
羽田空港国際線は24時間発着が可能であることから早朝深夜便も年々増えており、早朝便利用時の前泊、深夜便到着の後泊に加えて、深夜便出発や早朝便到着後のデイユースでの利用も想定されており、デイユースのサービスを行う方向で検討しているとのことだ。
加えて、東京モノレールや京浜急行の駅も至近距離にあり、また新たにホテル内にバスターミナルも併設され、都心や神奈川、千葉、埼玉方面の首都圏だけでなく、青森、仙台、伊豆、草津温泉、京都、大阪、新潟、金沢、広島などへのバスも運行される予定で、このホテルを拠点に都心観光を楽しむという楽しみ方もある。空港ホテルの大きなメリットは、大きな荷物を持って歩く必要がなくなり、飛行機出発直前まで部屋で過ごせのも魅力だ。国内線利用時もターミナル間無料連絡バスを利用することでスムーズに移動できる。
メリット2:日本初の空港直結の展望天然温泉は深夜も使える
首都圏在住者にとって今回、楽しみにしている人が多いのがホテル最上階(12階)にオープンする日本初の空港直結の展望天然温泉だ。敷地内に1.5キロを掘って出た天然温泉を使った温浴施設で、約2000平米の広さを誇り、飛行機や富士山を眺めながら楽しめる展望露天風呂を中心に4種類の内湯、3種の岩盤浴、2種のサウナ、更にマッサージやアカスリなどのリラクゼーションメニューが用意されている。
何よりも嬉しいのが24時間営業(深夜2時~朝5時までは入浴施設は利用不可)で、宿泊者以外も利用できるので深夜や早朝の出発便前や到着後に大浴場でゆっくり過ごせるのだ。休憩施設も完備されており、入浴ができない深夜2時~朝5時の間も過ごせるようになっているので、早朝便利用時や深夜到着後にお風呂に入って、休憩をしながら朝まで過ごせるほか、早朝到着時にお風呂に入ってからスーツに着替えてそのまま出勤することも可能だ。加えて、海外へ出発する家族や友人・知人などの見送りの後にお風呂に入りにいったり、出迎えの際には到着時間を見ながらギリギリまで過ごすといった使い方もありだろう。
メリット3:レストランなども充実
その他にも食事ができる場所が大きく増える。全部で30店舗、合計1600席規模が新たにオープンする。国際線ターミナル内のレストランと併せて上手に活用したいところだ。
ホテルエリアに直営の2つの大型レストランを含めて6店舗で、特にオールデイダイニングは5時~深夜2時まで利用できるほか、短時間で気軽に食事ができるフードコートは6店舗で約230席の席数を誇り7時~23時まで営業するほか、13店舗が入るレストラン街は8時~23時、その他にカフェやテイクアウト専門店が5店舗入る。その他、ショッピングエリア、24時間営業のコンビニエンスストアやドラッグストアもオープンする。
羽田空港においては、国際線ターミナルの椅子で夜を明かす空港利用者が多いなか、新しい施設「羽田エアポートガーデン」のオープンで深夜の過ごし方の選択肢が増え、変化が出る可能性が高いだろう。羽田空港国際線の発着便が更に増える中で、深夜の人の流れがどのように変わるのかに注目したい。
なお、2020年3月14日から現在の国際線ターミナルは第3ターミナルに名称変更され、3月29日よりANA国際線の一部は第2ターミナルからの発着に変更される。