クラブW杯に参戦する鹿島アントラーズの「鹿島ってる」躍進に期待する理由
本日12月8日からクラブW杯が開幕する。開催国枠のJリーグ王者である鹿島アントラーズはオセアニア王者のオークランド・シティと対戦し、勝利すれば11日に大阪でアフリカ王者のマメロディ・サンダウンズ(南アフリカ)と、南米王者のアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)が待つ準決勝をかけて戦う。
今年7年ぶりのJリーグ制覇を成しとげた鹿島アントラーズは1stステージに優勝したものの、2ndステージでは11位に終わり、年間勝ち点で1位の浦和に15もの差を付けられた。それでも最後に無類の勝負強さを示し、見事に優勝を果たしたのだ。ここまで国内で18個ものメジャータイトルを獲得した鹿島の強さは俗に「鹿島る」と表現される。
具体的にはリードを守り切るためにボールをつないで時間を消費したり、コーナーフラッグ付近でキープするなど、勝利に徹する戦い方であり、ブラジルで言われる”マリーシア”に通じる意味合いを持つ。実際に鹿島は選手や監督など多くのブラジル人によって本場のメンタリティが植え付けられ、それを秋田豊や小笠原満男、岩政大樹と言った日本人の中心選手たちに受け継がれてきたのだ。
ある種の”皮肉”に取れなくもないが、彼らが勝ち取ってきたタイトルの数を考えれば、その正当性が否定される理由は無い。むしろ現在の日本サッカーに不足している要素を鹿島はすでにクラブのスペシャリティとして備えているとも言えるのだ。ブンデスリーガのシャルケに所属する同クラブOBの内田篤人も鹿島での経験が欧州や代表でのプレーに直結していることをしばしば語っている。
日本プロ野球では広島カープが25年ぶりにセ・リーグ優勝を果たし「神ってる」という流行語も生まれたが、鹿島は伝統的な強さとメンタリティを勝負所で発揮して優勝した。言わば「鹿島ってる」戦いだった。その鹿島にとってもクラブW杯は初挑戦となるが、ホームの利と鹿島のここ一番の集中力や団結力、そして勝利への執念を出し切れば南米王者を破り、前回のサンフレッチェ広島が果たせなかったファイナル進出も夢ではない。
今大会での結果は近年Jリーグ勢の低迷が続いているACLでの戦いにもつながるはず。石井正忠監督が「4つ勝ちたい」と語り、事実上の優勝を目標に掲げたことは国際的に大言壮語に聞こえるかもしれないが、大会が終わる頃にはそれも覆っているかもしれない。そのためには先ず開幕戦でオセアニア王者をしっかりと叩くこと。「神ってる」ならぬ「鹿島ってる」躍進を期待したい。