赤ちゃんのアレルギー予防に効果的な粉ミルクの選び方
赤ちゃんの食物アレルギーやアトピー性皮膚炎が気になるお母さん、粉ミルクの選び方に迷っていませんか?実は、粉ミルクの種類によって、アレルギー予防の効果が違うことが最新の研究でわかってきました。
今回は、24件の臨床試験を分析した論文の結果をご紹介します。赤ちゃんに合った粉ミルクを選ぶヒントになれば幸いです。
【タンパク質の加工法で違うアレルギー予防効果】
粉ミルクには、タンパク質の加工法によって2種類あります。
1. 部分加水分解粉ミルク(PHF)
- タンパク質を部分的に分解しています。
- 消化吸収がしやすくなっています。
- アレルギーリスクの低減に役立つ可能性があります。
- 一般的な粉ミルクよりも消化しやすいです。
2. 高度加水分解粉ミルク(EHF)
- タンパク質を高度に分解しています。
- アレルギー反応を引き起こすタンパク質がほとんど残っていません。
- 重度の牛乳アレルギーを持つ乳児に適しています。
- 医師の指示に基づいて使用されることが多いです。
これらの粉ミルクは、タンパク質の分解度合いが異なり、乳児の消化吸収能力やアレルギーリスクに応じて選択されます。PHFは一般的な粉ミルクよりも消化しやすく、アレルギーリスクを低減する可能性があります。一方、EHFは重度の牛乳アレルギーを持つ乳児に適しており、医師の指示に基づいて使用されることが多いです。
研究によると、生後2歳までの赤ちゃんでは、普通の粉ミルクよりもPHFを飲んだ方が、アトピー性皮膚炎になりにくいことがわかりました。一方、2歳以上の幼児では、EHFの方がアトピー性皮膚炎の予防に効果的だったそうです。
赤ちゃんの成長に合わせて、PHFとEHFを使い分けるのが良さそうですね。
【アレルギー家族歴がある赤ちゃんにはPHF・EHFを】
お父さん、お母さん、兄弟にアレルギーがある「ハイリスク児」の赤ちゃんを対象とした研究では、普通の粉ミルクよりもPHFやEHFを飲んだ方が、2歳未満でも2歳以上でも、アトピー性皮膚炎になりにくいことがわかりました。
アレルギーの家族歴がある場合は、PHFやEHFを選ぶのがおすすめですが、そうでない赤ちゃんへの効果については、まだはっきりとしたことがわかっていません。
【母乳とPHF・EHFの比較】
母乳は赤ちゃんにとって最高の栄養源で、アレルギー予防にも効果があると言われています。母乳に含まれる様々な成分が、赤ちゃんの免疫力を高めてくれるからです。
研究では、母乳と比べると、PHFやEHFを飲んだ赤ちゃんは、ゼーゼーという呼吸音(喘鳴)が出やすくなることがわかりました。でも、その他のアレルギー症状が増えるわけではありませんでした。
ただ、今回の研究は比較的短い期間で行われたものが多いので、PHFやEHFを飲み続けることで、長期的にアレルギーを予防できるかどうかはまだわかりません。母乳育児が難しい場合は、PHFやEHFを使うのも選択肢の一つです。
以上のように、粉ミルクのタンパク質の加工法によって、アレルギー予防の効果に違いがあることがわかってきました。特に、アレルギーの家族歴がある赤ちゃんには、PHFやEHFがおすすめです。
【参考文献】
Li X, et al. Infant Formulas With Partially or Extensively Hydrolyzed Milk Proteins for the Prevention of Allergic Diseases: A Systematic Review and Meta-Analysis of Clinical Trials. Adv Nutr. 2024 May 6;15(3):100217. doi: 10.1016/j.advnut.2024.100217. Epub 2024 Apr 5. PMID: 36649309.