Yahoo!ニュース

MLB組の侍ジャパン宮崎合宿参加は事実上不可能に?!MLBがスプリングトレーニング日程を発表

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
大谷翔平選手の侍ジャパン合流は3月4日になりそうだ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【MLBがスプリングトレーニングの日程を発表】

MLBは現地時間の1月12日、各チームのスプリングトレーニングの練習開始日を発表するとともに、3月に開催される第5回WBCに関する開幕直前までの事前スケジュールを明らかにした。

 それによると、バッテリー組は全30チームが2月15日、もしくは16日に練習初日を迎え、野手組も同20日、もしくは21日に練習を開始する予定になっている。

 ただ例年より早めの調整が必要になりそうなWBCに参加する選手に関しては、通常選手より早くキャンプ地入りすることが義務づけられており、バッテリー組は同13日まで、野手組は同16日までにキャンプ地入りすることになる。

【日本が加わるプールBの開催国入りは3月4日】

 またMLBはWBC主催者として、WBC開幕までの各チームの第1次ラウンド開催国への移動日時、練習日時及び実施場所、強化試合の日程を明らかにしている。

 注目が集まる侍ジャパンが組み込まれているプールBのスケジュールを説明しておくと、侍ジャパンを含めたオーストラリア代表、中国代表、チェコ代表、韓国代表の全5チームは3月4日に日本入りする予定になっている。

 そして同5日に侍ジャパンと韓国代表は大阪で、残り3チームは宮崎でチーム練習を行った後、同6、7日でそれぞれ2試合の強化試合を実施。同8日に東京ドームでチーム練習を行い、翌9日から始まる第1次ラウンドに臨むことになる。

 すでにご承知かと思うが、侍ジャパンの強化試合は同6日に阪神と京セラドームで、翌7日にオリックスと同じく京セラドームで対戦する予定だ。

【MLB組の宮崎合宿参加は事実上不可能に】

 ちなみに今回のWBCに臨む侍ジャパンは、正式発表されている現時点でダルビッシュ有投手、大谷翔平選手、鈴木誠也選手、ラーズ・ヌートバー選手と、4人のMLB選手の参加が決定している。

 1月6日の記者会見で、栗山英樹監督から12選手の侍ジャパン入りが先行発表され、そのうちの1人だった大谷選手が会見に参加したのはご存知だろう。

 その会見上で、宮崎日日新聞の記者から大谷選手に対し、チーム合流時期や宮崎県民へのメッセージを尋ねられたのをご記憶だろうか。2月17日から27日まで侍ジャパンの合宿を受け入れる側としては、大谷選手の宮崎入りを期待しているからこその質問だったに違いない。

 だが残念ながら大谷選手を含めたMLB組の侍ジャパン合流は、MLBが発表した通り3月4日になると考えられ、彼らが宮崎合宿に参加するのは事実上不可能になりそうだ。

【全選手の参加が求められるフォトデーの存在】

 前述した通り、WBC参加選手は早めのキャンプ入りが求められており、そこでフィジカル検査や諸手続を済ませれば、宮崎からチームに合流できるのではと考える人もおられるだろう。

 だが今回MLBが発表したスケジュールの中に、全チームが練習開始日にフォトデーを実施することも明記されているのだ。

 フォトデーとは、ほぼ半日をかけて行うスプリングトレーニングでも重要な行事の1つで、チーム公認カメラマンの他、メディア、TV局、ラジオ局、ベースボールカード会社等々を一堂に集めて行う一大撮影会のことだ。

 このフォトデーの場で、球場で使用される選手紹介の映像や、チームCM、更にはラジオ局のCM音声等々、チームにとって必要不可欠なコンテンツの撮影も行われるため、スプリングトレーニングに参加している全スタッフ、全選手の参加が求められるものだ。

 それが練習開始日に実施されるということは、早くキャンプ地入りしたところで2月20日、もしくは21日までは必ずチームに帯同しなくてはならないというわけだ。

 仮に大谷選手がフォトデー終了後に宮崎入りを目指そうとした場合、エンジェルスのフォトデーは2月20日の予定なので、移動は同21日となり、宮崎到着は同23日、練習に参加するのは翌24日になると考えられる。

 かなり無理をしたとしても練習に参加できるのはわずか4日間になってしまうので、身体的、精神的負担を考慮すればやはり合宿終了後の合流が妥当なところだろう。

 いずれにせよMLB組には、コンディションを崩すことなく侍ジャパンに合流してくれるのを祈るばかりだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシー

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3、4回程度(不定期)

22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

菊地慶剛の最近の記事