旅の口コミサイト、何が最も悪い評価につながるのか -英国の利用者の答えとは
(「週刊エコノミスト」3月24日号に掲載された、筆者の「ワールド・ウオッチ」コラムに補足しました。)
仕事であれレジャーであれ、旅行で宿泊先を決めるときに役立つのが口コミ評価サイトだ。宿泊施設経営者からすればこうしたサイトは怖い存在だが、避けたい悪評はどんなときに発生するのだろう?
英デイリー・テレグラフ紙が大手口コミサイト「トリップアドバイザー」の利用者約5000人を対象に行った調査(2月28日付)によると、最大多数(58%)が挙げたのは「サービスの悪さ」だった。次の理由となった「食事の質」や「部屋の大きさ」はそれぞれ15%に満たない。サービスの良し悪しが大きな位置を占めることが分かる。
評価の信頼性はどうか?調査参加者の72%が「レビューを書いた人が本当にその宿初施設を利用したのかどうかは分からない」と答えている。その一方で、調査参加者の過半数(58%)が「ネガティブな評価がついたホテルは避けるようにする」という。
評価をする際に「サービスが最も大事」と聞いて、筆者には思い当たる節があった。
1月中旬、パリに出張した時のことだ。ある口コミ評価サイトでは「価格」「ロケーション」「インテリア」で高得点を得た、市内のホテル。しかし何人かが「スタッフの愛想が悪い」「気分が台無しになった」と書いてあった。気になったがほかの要素が高く評価されていたので宿泊を決定。
しかし、確かにスタッフは愛想が悪かった。インターネットが通じにくい(ワイファイが極度に遅い)ので受付にいた担当者に相談すると、「私もワイファイを使っているが、ちゃんとつながっている」と繰り返し言われた。特に何かをするわけではなく、「あなたのは通じませんか。こっちは通じてますよ」と高笑い。どうにかしようという気配はまったくなし。
いったん部屋に戻ったが、ネットが通じないと仕事ができず、急きょ、スマートフォンを使って新たに別のホテルに予約を入れた。荷物を持って夜中の大移動となった。先の調査では、過半数が「ネガティブな評価がついたホテルは避けるようにする」と書いていたが、私もそうするべきだったー。
昨今はトリップアドバイザーに限らず、同様の比較サイトが無数にある。どの評価を信じていいのか迷うほどだ。テレグラフは口コミ評価の判別方法を紹介している。
その方法とは、
「複数の悪評に目を通し、共通点を見つける」(複数の人が指摘している問題点には妥当性がある)
「宿泊施設側の返答を参考にする」(対応が誠実かどうか)
「総合的な評価のスコア自体にとらわれすぎない」(基準が高く設定されている可能性がある)
「評価者が他の人からどう評価されているかを見る」(他の人から「信頼できない評価者」とされていないかどうか)
先の調査によれば、旅行後に自分の評価をサイトに書き込む人は全体の37%だそうだ。読むだけではなく、自分からの貢献もしたいものだ。良く利用する1人としてそう思う。
ちなみに、その後、英南東部に出張。評価サイトでしっかりどこに宿泊するかを比較した。該当地域では最高得点を取った宿泊所に決定。結果は大満足だった。早速、良い評価をサイトに書き込んだのはいうまでもない。