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【河内長野市】謎の薄緑色した車両が河内長野駅の近鉄線ホームに止まっているようです。その正体は何?

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

10月の中旬ごろから河内長野市や隣の富田林市では週末を中心に本当にいろんなイベントが行われています。昨日文化の日も各地でイベントが行われているので、私も昨日の文化の日、河内長野駅から近鉄長野線で移動し、富田林のイベントに行こうしていました。

ところが近鉄線のホームに来たところ、普段は何も止まらない柵で囲まれたいちばん東側のホーム(0番線?)に、何やらあまり見かけない謎の車両が止まっているのを見つけてしまいました。

残念ながら、階段を降りる途中でちょうど近鉄電車が河内長野駅を出てしまいました。次の電車まで15分待たなければいけないので、右側に停まっている車両がどんなものか見ることにしました。

この普段止まらないホームに停まった車両は、実は以前もありました。それはマルタイことマルチプルタイタンパーです。

南海電車まつりで見た南海のマルチプルタイタンパー
南海電車まつりで見た南海のマルチプルタイタンパー

マルチプルタイタンパーは人気の車両のひとつのようで、先日南海千代田工場で行われた「南海電車まつり」でもお披露目されていました。

さて今回の車両の近くまで来ました。一両ではなく連結しているようです。何か積んでいますが、これは貨物列車でしょうか?

小さな石が数多く積まれていますが、これを見てすぐに何に使うものかわかりました。これは線路の下に敷き詰められているバラストと呼ばれるものですね。

恐らく鉄道の運行が終了した深夜に作業するものと思われます。

前に行くと、けん引している機関車があります。上部の電線からの電気を取り入れるためのパンタグラフのようなものが無いので、ディーゼル機関車のようですね。

この機関車がどのようなものかより詳しく調べることにしました。形式などで検索すると、これは軌道モーターカー(モータカー)と呼ばれるものだとわかりました。目的は、鉄道の保守作業に使用される小型の、自走動力付きの鉄道車両の一種です。

さらに調べると、この軌道モーターカーは、厳密には車両ではありません。日本の法規上では車籍(国の認可を受けた車両)のない作業用の「機械」扱いで「鉄道車両」ではないとのこと。そのために最高速度は時速45kmに制限されているそうです。

こちらに番号があります。調べたところ形式がMJK-MR1105で、2004(平成16)年8月に製造されたものです。製造元は新潟県にある松山車両工業の物だとわかりました。ちなみに重さは28トンあるそうです。

余談ですが、一般的な軌道モーターカーは、マルチプルタイタンパー同様に警戒を意味する黄色で塗装されるそうですが、近鉄の軌道モーターカーは薄緑色をしているそうです。同様にJR東海の軌道モーターカーは濃淡ブルー色をしているとのこと。

けん引する起動モーターカーに対して、けん引される車両にも名前がついています。三転ダンプトロリーという名前です。

これは積載したバラストを、左右2方向及び後部の3方向へ傾けて降ろすことが出来るダンプトロリーという意味です。

こちらの図のようにバラストの入っているトレイが斜めに傾けられるようになっていて、こうしてバラストを下に落とすことができます。

三転ダンプトロリーの他にも、方向が左右2方向のみ傾く二転ダンプトロリーや全方向に傾く四転ダンプトロリーがあるそうです。

このバラストを傾けて一気に下に落として保守作業に使うということ。偶然に河内長野駅に停まっていなければ、知ることもなかった知識ですね。

この時、私以外にもこの車両を気になっている親子がいて、ホームの先まで行ってじっくりと眺めていました。

ということで電車が来たので乗り込み、富田林方向に向かいます。ドアが閉まり電車が動いたときに、もう一度気になったので車窓から撮影しました。

考えてみれば、こういう風に当たり前のように電車の乗れるのも、深夜に活躍する軌道モーターカーがあればこそ。安全運転のための縁の下の力持ちを、乗車車両がホームから離れるまでしばらく眺めました。

近鉄河内長野駅
住所:大阪府河内長野市本町29
アクセス:近鉄河内長野駅直結

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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