【河内長野市】近鉄河内長野駅ホームに数日前から止まっている黄色い車両。これは何か、正体を調べてみた。
河内長野駅は南海と近鉄のターミナル駅ですが、南海が4本線路、近鉄が1本と、南海の方が駅としての規模が大きいように感じます。
南海は、島式ホームがふたつもあり、4つの乗り場をうまい具合に使って、橋本方面に行き来する電車と、河内長野駅で大阪難波方面に折り返す電車があります。
それに対して近鉄線はひとつのホームに乗り場がひとつで、延々と1本の電車が折り返していっている印象ですよね。ところが、数日前から黄色い車両が近鉄側のホームに止まっているので気になって調べてみました。
黄色い車両を初めて見つけたのは数日前。所用で河内長野駅から南海電車に乗っていたときのこと。ドアの目の前に近鉄車両があるのはいつものことですが、その先、左側に黄色い塊が見えます。
近鉄長野線は単線で、ダイヤも15分に1本を回しているから、それ以外の車両が入る隙はありません。恐らくこの日の最終電車が出た後から、ゆっくりとどこかに移動するものばかりと思っていました。
しかし、それから数日経っているのにもかかわらず、河内長野駅に停車したままなので、余計に気になってしまったのです。ちなみに昨日の夕方の時点でも止まっていました。
ということで、改めて近鉄の河内長野駅ホームに来ました。
普段はひとつの乗り場しかないので見落としがちですが、このように近鉄線も島式のホームになっています。
ただ反対側は使う気がないのか、フェンスで遮蔽(しゃへい)されており、遮蔽されている方は、線路も錆びていますし、非常に短い車両しか止まれないようです。その先はトイレとエレベーターの建物になっています。
さて黄色い車両の目の前に来ました。見た目からして、旅客はもちろん貨物でもなく、工事車両というのは解かります。では、どんな工事のために利用するものなのでしょうか?
それを調べるには、黄色い車両に書いている品番のようなものを見るのがいちばん。
こちらです。「Plasser&Theurer」「08-275 UM」と書いてあります。これを基に調べてみました。
まず、Plasser&Theurer(プラッサー&トイラー)とはオーストリアの保線機械メーカーだそうで、1953年に設立されました。世界100か国以上に輸出されているのだとか。日本にも法人があって、日本の鉄道会社とのかかわりも深いそうです。
意外にも輸入車両だったんですね。また08の意味は1980年頃から製造されたモデルとかで、断続作業走行方式とのこと。後継モデルの09だと連続作業走行方式なのだそうです。
さらに調べると、マルチプルタイタンパーというもので、列車走行を続けると、どうしてもレールが歪んでしまうために、それを矯正するために使われているそうです。
より詳しく書くと、画像のようなバラスト軌道(砕石の上に枕木とレールが敷いてある)と呼ばれる線路で列車を走らせる続けると、枕木の下にあるバラスト(砕石)に隙間ができます。
そうすると枕木が沈んでしまい、結果的にレールが歪みだし、そうなると乗り心地が悪いだけでなく、高速走行が阻害されてしまいます。だから定期的にメンテナンスが必要。
作業方法としては、クランプユニットというものを使い、レールを持ち上げます。その状態でタンピングユニットを使って、枕木の下にあるバラストを搗き(つき)固めて隙間をなくしていきます。こうして安定したレール軌道に復元。
所有は近鉄軌道エンジニアリング株式会社さん。マルチプルタイタンパーが導入されてから、機械操作を2・3人、加えて監視要因が1・2人と少人数で対応できるようになり、一般的な軌道では100メートルを10から15分で作業できるのだとか。いろいろ勉強になりますね。
ということで、この黄色い車両の正体がわかりました。しかしよく見ると車両の前の線路が閉鎖されていますね。マルチプルタイタンパーを使って作業を行う時には線路の閉鎖が行われるとはありますが、それと関係あるかどうかは不明です。
この車両が、いつごろ作業(恐らく夜間?)しているとか、どのくらいの期間をかけてやるのかはわかりません。でも偶然に河内長野駅に停まっているから存在を知ったようなもの。
いつまで近鉄河内長野駅のホームにとどまるのかはわかりませんが、生活必需な車両を安全に運行できるように活躍する縁の下の力持ち。これからもみんなの足である近鉄長野線を守って欲しいと思います。
近鉄河内長野駅
住所:大阪府河内長野市本町29
アクセス:近鉄河内長野駅直結