【京都市西京区】原種から育てた1000株の準絶滅危惧種フジバカマが見頃 2024年で惜しまれつつ閉園
京都盆地西縁の小塩(おしお)山麓に広がる大原野南春日町の棚田休耕田を利用したフジバカマ園で「環境省準絶滅危惧種」にも指定され、NHK大河ドラマで話題の紫式部源氏物語で第30帖の巻名ともなっているフジバカマの原種が見ごろを迎えています。2024年9月21日から23日まで「フジバカマ祭」が行われていました。
現地を訪れると地元大原野小学校や境谷小学校、竹の里小学校、上里小学校などの児童さんたちが作った案山子(かかし)に守られて、品の良い薄紫色の花と、葉や茎から広がるハーブのような爽やかな香りを放つ1000株のフジバカマの原種が咲き誇っていました。また、紫の萩の花が咲き、オミナエシの黄色い花には珍しいオオセイボウも見ることができました。
1998年に大原野の灰方明治池の近郊で発見されたたった1株のフジバカマの原種。園芸用に品種改良されたものは出回っていますが、原種は非常に珍しく「準絶滅危惧種」に指定されています。地域活性化のため、地元の農家や住民でつくる「なんやかんや大原野」を中心に、地域の人たちがこのフジバカマの原種を丁寧に育て、少しずつここまで成長させてきました。
しかし、残念ながらこのフジバカマ園も今年で見納めになるそうです。「なんやかんや大原野」の方々によるとやはり「毎日の水やりを始め、維持管理がむずかしく断腸の思い」とのことでした。
今年はまだ飛来していませんでしたが、本物のフジバカマの桜餅に似た甘い香りに誘われて、さまざまな蝶たちが惹きつけられ、気候が良い日には日本から南西諸島・台湾へ渡る珍しい渡り蝶の「アサギマダラ」のなかなか出会えない貴重な姿が見られるのだそう。この日はメンバーの人たちによってオリジナルグッズなどと、多貝酒店から純米大吟醸「藤袴」なども販売されていました。
フジバカマ園と同じ敷地内となる「大原野スタジオギャラリー」では、大原野に50年以上暮らし、その風光明媚な自然を歌や絵に残してきた安井容子氏の作品を始め、5人の作家による企画展「大原野花日和」がフジバカマの美しく咲く季節に合わせ、9月21日から10月20日まで開催されています。
10月6日には、同ギャラリーにて、歌集「大原野」と大原野・トーク「安井容子の娘・太田さおり氏をお招きして」が開催されます。フジバカマ園の開園も10月6日までですので、最後の貴重な光景とともに見に来られてはいかがでしょうか!
「フジバカマ園」(外部リンク)京都市西京区大原野小塩町 075-332-6444