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ノルウェー警察内部でセクハラ被害報告314件、労働組合が対策案発表 #MeToo

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
ひとりでも嫌な思いをしていたら、他の人も同じ思いを抱えて悩んでいるかもしれない(ペイレスイメージズ/アフロ)

ノルウェー警察で働く職員の314人が、これまでに職場で望まないセクハラをされたと答えた。

調査は全国各地の12か所の警察署の職員におこなわれたもので、現地メディアにより11月30日に一斉に報道された。

望まないセクハラをされた頻度は、「週に1回か複数回」と答えた人が20人、「月に1回か複数回」が36人、「ここ数年間の間に」が258人。

「セクハラはされていない」と答えたのは1万1512人だった。

セクハラを体験した人数は全体の2,66%だが、「高い数字だ」と警察署の地域ディレクターであるアスラクセン氏はNTB通信社に語る。

「2%という数字の後ろにいるのは、人です。このような行為を我々は一切許しません」と話す。

みんなでどうすればいいか考えよう

セクハラや性被害を告発する「私も」(#MeToo)運動は、ノルウェーで拡大を続けている。職場でセクハラが当たり前にようにあった状況に、リーダーたちが何もしてこなかった・どうしていいか分からなかった状況が浮き彫りとなった。

これから就職するであろう若い人々に同じような体験をさせまいと、業界全体で対策を見直す動きが強まっている。

12月はノルウェー版の忘年会であるクリスマス・パーティーが職場などで多く開催される。今年の#MeToo運動をきっかけに、忘年会でセクハラをしないようにというメッセージも発せられている。

職場や飲み会でのセクハラ対策案

27日には、複数の大手労働組合と平等・差別オンブッド(行政監視機関)が、共同で考えた職場でのセクハラ対策案を発表(VG)。

  • セクハラ問題の状況を把握し、オープンに議論する。告発しやすい体制をつくり、リーダーは関係者と対話する
  • 他の人の仕事を邪魔しない。飲食店の飲み会で、店員に不適切な行為をしない(ノルウェーでは、飲食店で食事や酒を運ぶ店員が連日のように客からセクハラを受けている事態も問題視されている。「店員はメニューではない」ことを自覚せよとの声が強まっている
  • 忘年会や飲み会でも、職場のルールが適用される。酒の量に気を付ける。もし、お酒を飲みすぎると他人に迷惑をかけるという自覚があるのであれば、飲まないように
  • リーダーには責任がある。パーティーなどでも同僚の言動が限度を超えていたら、はっきりと注意する
  • ひとりでも嫌な思いをしていたら、他の人も同じ思いを抱えて悩んでいるかもしれない。ひとりが口に出すだけでも、現場の空気を変えていくことができる

「セクハラ・カルチャー」は、もう嫌だ

セクハラ問題は、法による政治的な介入よりも、職場や業界全体で人々が考え方や態度をあらためることのほうが大切だと、ノルウェーでは認識されつつある。

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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