台風11号、危険な眼の壁雲に厳重警戒
危険な眼の壁雲が先島諸島を直撃へ
大型で勢力の強い台風11号の通過に伴い、沖縄地方ではきょう3日(土)午後からあす4日(日)午前中にかけて、線状降水帯が発生するかもしれないという情報が気象庁から発表されました。
上図は台風11号が最も先島諸島に接近しているであろうきょう3日(土)午後9時の雨雲の予想ですが、台風の中心付近を取り囲むように非常に活発な雨雲がドーナツ状に発生しているのが分かります。
これは台風の眼の壁雲と呼ばれるもので、この雨雲の下では、非常に強い雨や猛烈な雨を伴った危険度のかなり高い暴風雨に見舞われることが多いものです。
この危険な眼の壁雲付近を中心に、沖縄地方では線状降水帯が発生するおそれがあり、もし発生すれば大雨の危険度が急激に上昇するため、厳重な警戒が必要です。
広く線状降水帯発生環境の6条件に合致
上図は少々専門的ですが、線状降水帯の発生環境をみたもので、雲頂高度、上空の湿り具合、水蒸気の流れ込み具合、上昇流の強さなど6条件について合致しているか計算されています。この中で、紫色の地域ほどその6条件に合致している危険度の高い地域とみることが出来ます。
きょう3日(土)午後9時の予想をみてみると、台風11号の周辺は広い範囲で、この6条件が合致している状態となっており、危険な眼の壁雲付近だけではなく、その周りでも広範囲で、危険度がかなり高いことを表しています。
注意したいのは、この6条件が出ているからといって、必ずしも線状降水帯が発生するわけではなく、むしろ発生しないことの方が多いのですが、発生する時はこの6条件の環境下となっていることがとても多いことです。
ですから、この6条件が合致している地域では、雨雲の発達具合や雨の降り方などに、いつも以上に気を付けなければなりません。
先島諸島付近を通過へ
台風11号は、きょう3日(土)10時の推定で、石垣島の南海上をゆっくりと北上しており、中心気圧955hPa、最大瞬間風速60メートルの大型で強い台風となっています。
気象庁の予想に反して、現状は徐々に勢力を落としているようですが、今後は北上しつつ再び非常に強い勢力となり、今夜遅くからあす4日(日)未明にかけて、先島諸島付近を通過する見込みです。
沖縄地方では、線状降水帯が発生するおそれのある大雨に加え、先島諸島では最大瞬間風速65メートルの猛烈な風が吹く予想で、暴風、大雨、高波、高潮に厳重な警戒が必要です。
朝鮮半島から日本海を一気に北上か
沖縄地方を通過した台風11号は、予報円の真ん中を進むと、週明けの6日(火)午前9時には朝鮮半島のすぐ南海上に達し、その後は自動車並みの速度に加速しつつ、7日(水)にかけて、日本海を一気に北上する見込みです。
列島を直撃するおそれは小さいものの、日本海を速度を上げて進むコースは広く南風が吹き荒れ、太平洋側では長丁場の大雨となるおそれがあるため、最新の台風情報、気象情報に十分ご注意下さい。