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新型シビックは若者にウケている!?若手自動車ライターが実際にチェック!

西川昇吾自動車ライター/自動車系MC

今年9月に登場したばかりの新型シビック。月販販売計画1000台のところ発売から1ヶ月で受注台数3000台超えという順調な滑り出しを見せています。しかし気になるのは購入者を年代別で見たとき、20代が割合として最も多いという点(23.9%)。簡単に言えば新型シビックは若者にウケているということ。その理由はどこにあるのか?1997年生まれの24歳の筆者が実際にチェックしてみました。

文・写真:西川昇吾

「シビック」のイメージから解き放って

早速レビューリポートを!と行きたいところなのですが、実際に新型シビックに乗る前に、大きく感じていたことが1つありました。それは世間の声が歴代のシビックにとらわれ過ぎているのではないか?ということ。ネット上の声を見てみると「大きくなって、高級感が出て、高くなったクルマはシビックじゃない!」という意見を多く見る気がします。そんな過去のイメージを無理に重ね合わせられているのは、個人的には少しかわいそうな気もしました。今回はそんな「過去のシビック」のイメージから解き放って、「Cセグメントハッチバックの1モデル」として見てみようと思います。

デザイン性と実用性を高い次元で両立したインテリア

実車を見てみると、各部の質感と実用性を高い次元で両立していると感じます。特にそれを感じるのがインテリアで、レザーを多用している訳ではないですが、プライムスムースと呼ばれる素材とウルトラスエードを使用した質感の高いコンビシートを始め、各部にソフトパッドを使用していて高級感は抜群です。

インパネ周りも上級車種を思わせるようなダイアルや、スッキリとしたエアコン吹き出し口の処理など洗練された高級感を思わせます。また、今回試乗した上級グレードEXにはBOSEのプレミアムサウンドシステム、10.2インチのデジタルグラフィックメーターやワイヤレス充電器が装備されていて、インテリアはデザインと装備、両方の面から「いいクルマに乗っている」という所有欲を満たしてくれます。

それどいて広々とした視界、積載性に優れたトランク、身長177cmの筆者が座っても窮屈に感じない後部座席など、しっかりと実用性もあるのがうれしいところです。また、運転席からの眺めで高評価と言えるのが大型のモニターが視界を邪魔していない点。洗練されたカッコいいデザインと使いやすさや運転のしやすさを両立しているのがシビックのインテリアです。

シフトフィーリングに感動

実際に走ってみるとボディ剛性が高そうなドシっと感としっとりとした乗り心地に驚かされます。低速域では「軽快感」というよりは「重厚感」な印象が強いです。エンジンは2000rpm以下でも実用トルクは十分で、普通に乗る分にはそれ以上の回転数は必要ありません。音も静かで特性も穏やかです。

しかし、ひとたびスロットルを開けて加速させるとまた違った顔を見せます。2000rpmより上の回転域はターボらしいトルクの立ち上がりを見せ、鋭い加速を感じさせます。現代のターボエンジンとしてはいささかドッカンターボ気味とも感じましたが、2000rpm以下の実用トルクが十分であることを考えると、このエンジン特性は演出的にワザとなのかなとも思いました。

そして最も感動したのがシフトフィーリング。FFの非スポーツモデルとは思えないほど剛性感のあるフィーリングで、変速が「カチッ」と決まる感じ、安っぽさとは無縁のシフトフィーリングで、変速が楽しくなってしまいます。

新型シビックの欠点は?

使い勝手や質感、そして走りと高評価なポイントが多いシビックですが、欠点が全くないわけではありません。まず疑問に感じたのがシート。質感はとても高いのですが、柔らかくて身体が沈み込み過ぎてしまう印象を受けます。

そして高速域での乗り心地、路面の継ぎ目などを乗り越えたあとの振動の収束が遅く、どこかピョコピョコ感を感じ、人によっては不快に感じてしまうかもと言った具合です。

そして一般ユーザーから敬遠されてしまうのは、使用する燃料がハイオクというところでしょう。燃費はおおよそ15km/Lで悪くはないのですが、ガソリン価格が高騰傾向にある中でハイオク指定の車種を選ぶというのは、普通の人には理解されにくいでしょう。

Cセグメントハッチバックは現代のスペシャリティカー?

新型シビックに実際に触れて、そして運転してみて筆者は一つの結論にたどり着きました。「このクルマは現代の日本市場におけるスペシャリティカーなのではないか」と。デートカーとまではいきませんが、ホンダで言えば古くはプレリュードのような若者向けスペシャリティカーという存在、それは現代ではこのシビックなのではないかと思います。質感の高いインテリアや、ハイエンドオーディオはスペシャリティカーらしい装備で「ちょっと特別なクルマに乗ってる」と思わせてくれます。

また、このハッチバックというボディスタイルもポイント。きっと若者は「ミニバンはファミリー感が出過ぎるし、セダンはオジサンぽい、でも2ドアは不便…」と感じるのではないでしょうか。そんな需要にとってデザイン性を重視したハッチバックはピッタリとも思います。Cセグメントハッチバックとなると日本市場では他にカローラスポーツやマツダ3などが挙げられますが、どれもスタイリッシュでデザイン性も重視していると感じます。そして価格、今回の試乗車は約360万円ですが、大卒の若者であればローンを組んで頑張って買えなくもない金額です。(実際に一人暮らしをしている筆者の大学時代の友人は、新卒1年目で更に高いGRヤリスを契約しました)

価格帯やデザインと実用性の両立、そして各メーカーのプロモーション。これらを考えるとCセグメントハッチバックというクラスは日本市場において、若者にも売れるスペシャリティカーなのではないかと、今回のシビックでの試乗を通して感じました。

自動車ライター/自動車系MC

こう見えても1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。現在は、新車情報はもちろん、自動車に関するアイテムや文化、イベントの取材記事も手掛けるほか、車両紹介動画やe-MotorsportsイベントMCを中心に自動車系MCとしても活動中。自動車が好きな1番の理由は「工業製品として個性が豊富なこと」そのため古い車も新しい車もどちらも大好き!愛車はマツダロードスター(ABS無)で、定期的に愛車でサーキット走行をし、ドライビングの鍛錬も忘れない。「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」目指して奮闘中!

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