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【一宮市】あの有名な建築家『丹下健三』が設計したモダニズム建築が愛知県一宮市にあります☆

にったようこWebライター・ブロガー(一宮市)

 こんにちは!地域情報エキスパートライターのにったようこです。一宮市小信中島にある『墨会館・小信中島公民館』を知っていますか?ここは、国内外で有名な建築家の丹下健三氏が設計した建物で、国の登録有形文化財になっています。ふらっと立ち寄り、見学させていただきました。

※館内を抜粋案内していただきながら見学をしました。歴史的な建造物なので、HPや諸情報などを交えてお伝えします。

『墨会館・小信中島公民館』

 墨会館は、丹下健三氏の設計により昭和32年に完成した建物です。閑静な住宅街の一角にあり、V字の公道の土地を上手く利用し重厚外構壁に囲まれています。昔から一宮市は、毛織物産業の工場地帯で、機織機りの音は「ガッチャン・ガッチャン」と街中に響き渡るような大きな音が鳴り響いていた時代でした。その騒音対策として建物全体を壁で囲うようなデザインにしているそうです。

平成26年11月から、地域のランドマーク・街づくりの核となる「小信中島公民館」「尾西生涯学習センター墨会館」として地域の皆さんに利用されています。
平成26年11月から、地域のランドマーク・街づくりの核となる「小信中島公民館」「尾西生涯学習センター墨会館」として地域の皆さんに利用されています。

丹下健三氏について

 丹下氏は※建築家ル・コルビュジェの作品に感銘を受け、建築家になることを決意し東京大学工学部建築学科と同大学院を卒業後、1946年には東京大学の助教授に就任。

※ル・コルビュジエ1887年10月6日 - 1965年8月27日)は、スイスで生まれ、フランスで主に活躍した建築家。

小信中島公民館に掲示されている丹下健三氏の写真
小信中島公民館に掲示されている丹下健三氏の写真

丹下 健三(たんげ けんぞう、1913年(大正2年)9月4日 - 2005年(平成17年)3月22日)は、日本の建築家、都市計画家。一級建築士(登録番号第15182号)。位階勲等は従三位勲一等瑞宝章、文化勲章受章。フランス政府よりレジオンドヌール勲章受章。カトリック信徒(洗礼名:ヨセフ)。日本では「世界のタンゲ」と言われたように、日本人建築家として最も早く日本国外でも活躍し、認知された一人。第二次世界大戦復興後から高度経済成長期にかけて、多くの国家プロジェクトを手がける。磯崎新、黒川紀章、槇文彦、谷口吉生などの世界的建築家を育成した。また、日本人並びにアジア人として初めてプリツカー賞を受賞した人物である。 ~ウキペディアより引用~

★知らなかった!!

私たちが、聞いたことのある「あの有名な建物」も丹下氏の設計なんですね!!

丹下健三が手掛けた有名な建物

旧国立競技場
赤坂プリンスホテル新館(1983)
東京都庁第一庁舎(1991)
フジテレビ本社ビル(1996)
新香川県庁舎(2000) その他多数。

粘り強く設計の依頼交渉して実現

なぜ一宮市に!?

 さて、なぜこんなに大規模な構造物を手掛けた丹下氏の設計建築がこの一宮市に建設することができたのでしょうか?ネバーギブアップの精神が成功を掴むんですね・・・。

 今から66年前、「艶金興業の本社事務所」の建設に際し、社長が雑誌で見た「コンクリート打放し」の旧東京都庁(有楽町)の建物を気に入り、設計者の丹下健三氏に設計を依頼したそうです。最初は断られましたが、粘り強く交渉して実現したそうです。

愛知県の重要文化財

 1957年竣工。現在は愛知県の重要文化財になっています。平成20年7月8日に登録有形文化財の登録を経て一宮市が取得するまでは、艶金興業の本社(化学繊維の染色整理工場)として利用されており、あくまで一般的な改修と補修工事を経てきましたが、竣工後66年が経過しており建物を保存・活用していくために老朽化への対応が必要不可欠となってきている状況の様です。

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構造

 建物の柱と壁はコンクリートのままで、よく見るとそこには木の木目、節のあとが綺麗に出されています。このため、木型は寸分の狂いもなく正確につくられ、コンクリートの流し込みも途中で切らすことなく一気に行なうという難しい工法がとられたそうです。すごい!!

 建物は、鉄筋コンクリート造平屋一部2階建で、敷地面積3398.82平米建築面積2209.93平米延床面積2525.14平米(建築基準法上)、台形敷地北辺の2階事務所棟と南半の平屋ホール棟が玄関車寄せで接続されており、1階外壁は非構造体で上端にスリットを入れて採光としています。ダブルビームの大梁、打放しのコンクリート等、丹下健三氏の初期の作品の特徴をうかがうことができると言われています。

オシャレなだけではない。実用的な知恵と工夫に惚れ惚れ

 外部に面した建物北側の壁は、穴の集合体の「信楽焼製テラコッタ」で、手作りだそうです。建物の窓が少ない設計になっているため、暗くなる建物内部への採光には様々な工夫が施されています。特に、北側は道を隔てて住宅があり、防音対策が必要でなかったことから、外部からの目隠しをしつつ、たくさんの採光が取れるようなデザインになっているそうです!外構と建物とのバランスを考えた実用的な知恵と工夫に惚れ惚れしました!

ピロティ

 奥行きのある重厚なコンクリートの天井が一部四角にくり抜かれ、そこから採光が取れるようなデザインはとても斬新!!空間自体が素敵ながインテリアになっています。

【中庭】

 二つの建物の間(ピロティの裏側)には、芝生の広い中庭があります。昔は、ガーデンパーティーが開かれていたそうです。総ガラス張りの建物内からは、中庭全体が見渡せるようになっています。現在は、公共の施設として各所バリアフリーリフォームが施されています。

【集会室棟玄関ロビー】

 入口正面には、公民館棟ロビーとは色が異なる「信楽焼タイル壁」で装飾しています。集会室は不特定多数が使用するため、不燃化等の改修を行っていますが、天井の木製桟や壁・扉類は、薬剤を浸透させて不燃化を図り、昔の雰囲気をできるだけ残すようにしてあります。触っってみると60年の歴史を感じさせないくらい重厚な手触りで、色鮮やかな美しいタイルでした。

天窓(トップライト)や壁壁面上段部に「小窓」を設け、明りが室内に届くよう工夫がされています。
天窓(トップライト)や壁壁面上段部に「小窓」を設け、明りが室内に届くよう工夫がされています。

【集会室】

斬新なアイデアとセンス

丹下健三氏は66年前に、この 集会室で3つの電動装置を取り入れたそうです。斬新なアイデアとセンスに惚れ惚れします。


コンクリート造りの特徴として、手をたたくと音が残ります。
この残響が良いと、利用される方もいます。
丹下健三氏は66年前に、この 集会室で3つの電動装置を取り入れました。

① 正面スクリーンの屏風に似た折りたたみ壁は、開閉を電動化にしました。
② 右手の中間壁は、重い木造であったため、開閉をギアとチェーンの電動化にしました。
③ 天井照明は、 用途に合わせて照明の高さを変えられるよう電動化にしました。
正面スクリーンは「屏風」形式になっており、ここにも和の要素が取り込まれています。

大空間と複雑なコンクリートの梁
大空間と複雑なコンクリートの梁

公民館としてのコミュニティ

 小信中島連区地域づくりなど公民館のコミュニティ活動も定期的に行われていて、その一貫として卓球台がたくさん並んでいます。近所の皆さんがここで楽しんでいるんですね!素敵な卓球部屋ですね。

惚れ惚れする建物でした。

 今回見学をさせていただき、丹下健三氏の斬新なアイデアとセンスのある大空間の設計や各所の工法やこだわりの部材などを知り、感動する建物でした。建築に興味のある方はぜひ行かれてみてください。墨会館は、日本建築史に大きな足跡を残し、現代建築に多大な影響を与えた丹下健三氏の作品としては、愛知県内で唯一の貴重な建物です。

概要

墨会館・小信中島公民館

住 所 愛知県一宮市小信中島字南九反11-1
電 話 0586-62-5150
【見学時間】
 午前10時~12時、午後1時~午後4時
【建物見学に関するお知らせ】
 建物見学については、公民館棟1階部分と集会室棟のみを自由に見学できます。
 ただし、公民館利用者の妨げにならないよう注意してください。
 2階及び公民館活動等で使用中のエリアは見学できません。
 なお、 6人以上での見学はご遠慮ください。

駐車場 あり

アクセス
 〇公共交通機関でお越しの方
  名古屋駅より電車とバスで約40分
  ・JR東海道本線「尾張一宮駅」にて下車、又は、名鉄名
   古屋本線「名鉄一宮駅」下車
  ・一宮駅名鉄バスターミナル②番のりばから「起(おこ
   し)」行で約15分、「尾張中島」バス停下車、徒歩
   10分
   ※バスは約15分間隔で運行

 〇車でお越しの方
  東海北陸道一宮西インター出口より県道14号線(西尾張
  中央道)「籠屋3丁目」交差点を左折、県道18号線(大
  垣一宮線)「郷東」交差点より約3分

Webライター・ブロガー(一宮市)

日頃、西尾張地区を走り回っている50代ミセス。いつもお出かけするたび、写真を撮って楽しんでいます。グルメやスポット情報など一宮市をもっと深堀し皆様に「行ってみたい・見てみたい」という興味をそそるような情報をお届けしたいと思います。そんな私の座右の銘は「経験は宝」何事もチャレンジ。人生一度きりですもん。

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