猛烈残暑はいつまで続く
全国的な暑さ
令和3年(2021年)8月26日は、台風12号から変わった低気圧が持ちこんだ暖気と、強い日射によって、沖縄から東北地方までの広い範囲で、最高気温が30度以上の真夏日となりました(図1)。
栃木県・佐野では最高気温が37.2度になるなど、関東地方を中心に最高気温が35度以上の猛暑日となっています。
東京も、最高気温が35.7度と、今年2回目の猛暑日となりました。
梅雨明け時のように、太平洋高気圧が日本列島付近に張り出し、その太平洋高気圧の上にはチベット高気圧が張り出してきたためです(図2)。
ウェザーマップの10日間予報をみると、東日本の太平洋側から西日本、沖縄では、ほぼ真夏日が続く予報です(図3)。
名古屋では8月30日までの4日間にわたって猛暑日が続く予報ですし、北日本でも多くの日は最高気温が25度以上の夏日の予報です。
猛烈残暑
暦の上では、立秋(今年は8月7日)過ぎの暑さを「残暑」といいます。
1年間を通しての平均気温は、立秋の前後が一番高く、最高気温が30度以上という真夏日の約半分は立春後です(表 1)。
平年の真夏日は、東京では約50日、 大阪では約70日もあり、近年は都市化の影響などで増加傾向にあります。
残暑の方が暑くなるということは、珍しいことではありません。
暑中見舞いを出すのは立秋までで、それ以後は、残暑見舞いとなりますが、個人的には、暑中見舞いは「暑いです …」という現在の話ではなく、「これから暑くなりますから注意しましょう」と将来の話をいうためのものと考えています。
秋が進むとともに日差しは弱まり、太平洋高気圧が勢力を弱める一方で、オホーツク海高気圧が勢力を強めてきます。
朝晩には涼しくなって秋を感じる日や、一時的に太平洋高気圧の勢力が増して残暑を厳しく感じることもあります。
しかし、夏の暑さで体力が弱まっている人は、気温は真夏より低くても、体感では厳しい暑さと感じます。
このため、9月頃の残暑は「猛烈残暑」と呼ぶことがあります。
令和3年(2021年)の夏の暑さ
令和3年(2021年)の夏の暑さが、平年とは大きく違っていることは、各地の月別の真夏日日数を見てもわかります(表2)。
特に目立つのは、北海道を中心とした北日本の真夏日の多さです。
札幌の真夏日は、年間で平年値は約9日ですが、すでに、2倍以上の24日も観測されています。
仙台も平年値の約23日に対し、すでに、24日も観測されています。
これに対し、沖縄は、ほぼ平年並みの真夏日日数ですが、西日本から東日本は、7月は平年より真夏日が多く、8月になると平年より真夏日が少なくなっています。
西日本から東日本は、7月の多さを、8月の少なさで相殺し、平年並みの真夏日日数ということもできるでしょう。
今回の8月下旬の猛烈残暑は、記録的な暑さというより、いつもの年とは季節の歩みが違うことによる体に堪える暑さと思います。
しかも、湿度が高く、熱中症になりやい暑さですので、しばらくは熱中症に警戒が必要です。
平年並みの秋
気象庁が8月25日に発表した3か月予報によると、気温は沖縄・奄美で9月から10月で平年より高い他は、ほぼ平年並みの予報となっています(表3)。
また、降水量は、各月とも、全国でほほ平年並みが続く予報となっています。
つまり、令和3年(2021年)の秋の天気は、ほぼ平年並みで推移しそうです。
ウェザーマップが発表している東京の16日先までの天気予報によれば、9月11日まで最高気温が30度以上の真夏日が続く予報です(図4)。
ただ、8月30日以降は、最低気温が25度未満の日が続き、熱帯夜は出現しない予報です。
降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEや、2番目に低いDが含まれている予報ですが、厳しい暑さも今週末までで、その後は、平年並みの暑さとなり、朝晩には秋を感じられるようになりそうです。
図1、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。
図2、表3の出典:気象庁ホームページ。
表1、表2の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。