他者との接触を徹底排除 新型コロナ時代のマンション “新しい販売様式“とは
入り口に手を消毒するためのスプレーやジェルがあるのは、今や当たり前の光景。それだけでなく、受付では安心3点セットのパックを渡される。中身は、まだ誰も使っていない新品のボールペンに手袋、そして抗ウィルス・抗菌のおしぼりだ。
打ち合わせのブースに案内されると、飛沫防護シートで区切られ、除菌ジェルが各テーブルに置かれている……ウィルス感染防止策を随所に施したマンション販売センターが千葉県の柏市で、今、オープンの日を待っている。
飛沫防護シートで各ブースを区切る
そのマンションは柏駅を最寄りとする総戸数196戸の大規模で、もともとは3月下旬から販売センターをオープンさせる予定だった。それが、外出自粛要請や緊急事態宣言によって、ひとまず5月の連休明けオープンに延期。緊急事態宣言が延長されたことに合わせ、6月6日からオープンと再々延期となってしまった。
新型コロナウィルスの影響で、なかなか販売センターを開くことができなかったわけだ。この間、販売センター内では随所に感染防止対策を施し、安心してモデルルーム見学ができる新様式の販売センターとする改良が行われた。
打ち合わせのブースに入ったら、受付で渡された抗ウィルス・抗菌のおしぼりで手を拭き、メモをとるときは、新品のボールペンで。各ブースに除菌ジェルも置かれ、自由に使える。
3点セットは、見学後に持ち帰ってよいので、他の人が再利用することはない。
そして、打ち合わせブースは飛沫防護シートでしっかり区切られている。
基本的に、販売センターへの来場者が重ならないよう、時間をあけて1組ずつ案内されるのだが、万一、複数の来場者が重なったときでも不安がないように、飛沫防護シートで区切られたわけだ。
さらに説明を行う営業員と来場者の間にも飛沫防護シートを設置。このシートは、テーブルの中央に配置されるのではなく、営業員側が狭く、来場者側に広いスペースが得られるように配置されている。
スペースが広くなっている分、来場者は資料を見やすいし、モニター画面も見やすい。このモニターで建物の完成予想CGなどをみることができるので、密室状態になるシアターはなくした。
徹底して、接触を減らすつくり
手袋をするのは、モデルルームにおいて。モデルルームに入るときは、使い捨てタイプのスリッパも提供される。他人が素手で触ったところを触ることがないし、人が履いたスリッパを使うこともない。もちろん、案内する販売員は全員マスクを着用しているのだが、来場者がマスクを忘れたときのため、大人用と子ども用マスクの用意もある。
ちなみに、販売員は手洗い、うがい、検温を徹底し、熱がある販売員は出社できない体制がとられる。
販売センター内のトイレでは、手洗い器にセンサータイプの水栓を設置。石けんもセンサーで出てくる。どこにも触らずに、せっけんと水が出て、手を洗うことができる仕組みである。
便座を除菌するためのディスペンサーと便器に敷くシートも用意され、授乳室にも除菌シートやベビーベッド使用時に利用できる大型の不織布の用意がされている。
販売センター内は定期的に窓を開けて換気を行い、上着やコートを掛けるためのハンガーラックをブースごとに設置。受付で服を預ければ、人の手に触れるし、他の人の服と一緒になる。それを防いでいるわけだ。こんなところにも、他者との接触を減らす努力がみられる。
今後、他の販売センターにも
マンションの売り主である中央住宅によると、ここまでウィルス対策を行った販売センターは、同社では初めての試みという。年間200物件以上を取材する私も初めて見た。
中央住宅は一戸建ての販売が多いポラスグループの一員で、顧客ファーストの考え方が徹底しており、今回の販売センターも「ウィルス感染を心配する来場者のことを第一に考えた結果」だという。
今後、感染者数がさらに減り、経済活動が徐々に再開されたとしても、油断はできない。感染を防止する姿勢はこれからも必要だ。
感染防止の工夫を凝らした“新しい販売様式”は、今後、多くのマンションに広まってゆくものと考えられる。