新製品発表のない「お通夜のような」 #WWDC2018
KNNポール神田です!
Apple Special Event
https://www.apple.com/apple-events/june-2018/
毎年、この6月は、Appleの未来に向けての発表に胸をときめかせる時期だったはずだ…。かつては、深夜の2時すぎからのライブストリーミング中継に手に汗握って見守ってきたのにだ…。しかし、この数年、発表を予測するメディアのリーク情報の正解の確率があまりにも高まりすぎ、この発表は、すでに答え合わせをするだけのものになってしまっていた。しかし、今回は予想を反して新製品の発表は何もなかったのだ…。
新製品発表を期待してやまない属性の人たちにとっては、今回のハードウェアの皆無な発表は、まるで「お通夜のような静けさ」であったという。
たしかに、昨年の大量のハードウェアの発表から iPhone SE2 や廉価版のiphone Xまでといろんな噂が上がったが、それらの発表は本来どおり、秋のApple Special Eventまでお預けとなりそうだ。
愛すべきgizmodoの記者たちが言うように、この毎年6月のWWDCは「ワールドワイドデベロッパーカンファレンス」の略の通り、開発者のために次期OSのアップデート情報を共有し、開発を促進するためのものだ。ハードウェアを期待するよりも、半年後の未来図のOSを共有することに意味のあるカンファレンスだから、新製品発表に過度に期待しすぎると「お通夜」のようになってしまう。筆者も、iPad mini4(2015年発売)の後継種をずっと待ち続け、貯金はもう十分に溜まりすぎている…。
即日、Appleデベロッパーには、次期OSのベータ版が渡され、秋には正式に新OSがデビューする。そう、開発陣がいろんなアプリの開発競争で秋の新OSデビューに望むのだ。WWDCは、そのためのカンファレンスだ。
iOSとmacOSの融合は…?
さて、ソフトウェアの発表において、最大の関心事は、噂されていたiOSとmacOSの融合だ。MicrosoftやGoogleがモバイルOSとデスクトップOSの融合を目指しすでに実現している。後出しジャンケン組のAppleとしては、それらの改善策を見出すことがきっとできるはずだ…。WWDCで発表があれば大ニュースだ。
ブルームバーグがリークしていた「Marzipan(マージパン)」と呼ばれるiOSとmacOSの融合するユニバーサルアプリケーションだった。今回その答えは「No」と全否定された。
しかし実際には、iOSの純正アプリがmacOSへの移植が計画されており、2019年以降にはデベロッパーにも移植機能が提供されるという。つまり、このプロジェクトはまだまだ公開できるレベルには、至っていないという判断をすることができた。このタイミングでmacOSへの移植ツールが出せないのは、Appleの周回遅れを非常に危惧する事象だ。
iOS12は、iPhone5s以降でもスピードアップが可能
今回のiOSの発表で最も特徴的だったのが、意外だが「iPhone5s(2013年発売)」以降「iPad mini 2(2013年発売)」以降などの古い機種でも、最新OSの「iOS12」が高速に稼働するということだ。「iOS11」で、過去のiPhoneはスピードを劣化させてシステムダウンを防いだ改悪アップデートの反省なのかもしれない。今回の旧機種のスピードアップ化の方向性は、Appleの「iPhoneシリーズ」を選択すれば、より長く使うことができ、結果として、中古市場でも人気ということとなる。新製品の高額投資には、回収できる二次流通の費用が含まれていると考えることができる。「AR」機能やアニメ文字の「Memoji」の機能発表よりも、この古い機種が快適にということがオトナとしては、一番期待できる対応の発表だ。
「FaceTimeのグループ通話」で最大32人までの同時通話も発表になったが、このあたりは、古い機種よりも最新機種でどうぞということになるだろう。
Siriの組み合わせタスク機能「Shortcuts」
そして、次の注目は、音声アシスタントの「Siri」の進化だ。
GoogleやAmazonのスマートスピーカーの躍進で、Siriの出番が自宅では極端に少なくなっているが、今回はSiriが「Shortcuts」機能アプリに対応したことにより、組み合わせの命令をsiriの音声でプログラムできるようになる。実際には登場してからどれだけ便利になるかだが、これは純正のiOSがサポートしてくれることによって、この機能で、新たな便利アプリが登場することにも期待が持てそうだ。スマートスピーカーでなくても、 macOSでスマートスピーカー同等のことができてもよいとも思う。
macOS 10.14 Mojave(モハベ)の売りはプライバシー機能強化
macOSの最新コードネームは、「Mojave(モハベ)」と呼ばれる。今までのカリフォルニアの山の名前シリーズからカリフォルニアのモハベ砂漠の名前へと変わった。
PCを使う時に、PCレンズでモニターの輝度をメガネで調整する時代になっている。iOSではすでに夜間を輝度を落とすなどの機能があるが、それがmacOSのMojaveでは、輝度を変えるのではなく、「ダークモード」という、プログラマーが好む黒画面モードが採用された。これだけで眼精疲労からはかなり開放されそうだ。1984年のMacintoshのデビュー以来の白い画面との34年ぶりの決別だ。
新たなファイル管理機能やアプリを起動することなく簡単な編集ができる機能、動画スクリーンキャプチャ機能などもあるが、「Continuity Camera」機能では、iOSのカメラをスキャナーとしてmacOS側にも瞬時に利用できるようになる。やはり、iOSとmacOSの融合はAppleの最大の課題でありゴールのひとつのようだ。細かな部分で洗練されたOSのように思える。
むしろ注目すべきは、サファリの閲覧履歴のプライバシー機能強化だ。GDPR規制やいろんなプライバシー侵害が話題の中、一部の企業のプライバシー情報への追跡を遮断する機能は、非常に有意義な対応だと思う。それはAppleが広告ビジネスを生業としていない企業だからこそ成立する姿勢だろう。
そして、ブラウザから読み取れる個人の情報をシャットダウンされることは、広告を生業とするプレイヤーにとっては、それこそ「お通夜のような」発表会だったのかもしれない。
Appleは、Appleがすべてをデザインするプラットフォーマーで成り立つために、ユーザーのプライバシーにも目を向けていることがよく理解できた発表会だった。
タワー型のMacProユーザーは大困惑!
macOS 10.4 Mojave(モハベ)の稼働する製品は、旧製品でも稼働するiOS12とちがって、切り捨てられる製品も多くなった…。
Mojaveでは2012年以降のモデルでないと利用できなるこれは大問題だ。
今でも、拡張性の面で、タワー型スタイルのMacProユーザーは多いはずだ。Late 2013のMacProというとあの
ゴミ箱スタイルのMacPro以降となるからだ。
筆者のMacPro(2010Mid)もさすがに対応機種外となった。そろそろMacのデスクトップを買い替えが、新OS対応によって迫られている。しかし、現在のmacOS 10.13.4 のHigh Sierraで十分なのだ。次世代OSは、買い替えても、どうしても使いたくなる機能をフィーチャーしないと、Microsoftが苦労した、あの「WindowsXP」のように、ウィルスで困らなければ使い続ける…という悪夢が再現するかもしれない。あのゴミ箱よりも拡張性にすぐれたタワー型のMacProを今秋に発売するという戦略がAppleには残されているはずだ。Apple 頼む、買いたくなる製品を作ってほしい!