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長期金利が低下、日銀の国債買入減額のチャンスでは

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 30日の10年372回債の利回りは0.635%に低下した(10時半現在)。11月1日に0.970%まで上昇していたが、その後は低下基調となった。結果からみると11月は長期金利にとって大きな変動の月といえた。

 日銀はこのタイミングで国債買入の額を縮小してきた。11月15日と22日での国債買入でオファー額を減額していた。

 ただし、29日の国債買入では縮小はなかった。これも長期金利の低下に拍車を掛けた格好とはなったが、11月の長期金利の低下は米国の長期金利低下による影響が大きかったように思われる。

 30日にブルームバーグは、「日銀オペ減額期待高まる、国債市場の機能回復阻む最大保有者の壁」というタイトルの記事を掲載した。

 市場による価格形成機能を取り戻し、国内外投資家の日本国債需要を回復させるには日銀の買い入れ縮小が不可避だとしていたが、その通りであると思う。

 11月の減額についても市場機能を意識したものと捉えても良いのではなかろうか。膨張し過ぎている日銀のバランスシートの膨張にブレーキを掛けるとともに、それを縮小させる対応が今後も求められる。

 ただし、日銀は保有資産の売却そのものはやりたくはないようで、そうであれば買い入れそのものペースダウンを行う必要がある。ちなみに日銀は国債の買いオペとともに売りオペも行うことは可能である。

 30日の17時には「オペ紙」とも呼ばれる翌月の日銀による国債買入の予定が発表されたが、この際にはオファー額のレンジに変化はなかった。

 しかし、12月4日に日銀は国債買入オペにおいて、残存期間10年超25年以下のオファー額を1500億円と前回の2000億円から500億円減額してきた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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