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【インタビューの全貌を紹介】メーガン&ハリー、オプラに語る4:なぜ英国を去ってアメリカに行ったのか編

今井佐緒里欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者
クリスマスにハリーがロンドン滞在中、メーガンさんが子供といたバンクーバー島の家(写真:Splash/アフロ)

インタビューを最初から読みたい方は、こちらをクリック「1:キャサリン妃とエリザベス女王編」

3、なぜ英国を去ってアメリカに行ったのか編

ここからヘンリー王子がインタビューに加わる(通称ハリー。英語メディアではこちらが使われる)。

メーガンさんが答えている間、わきでいくらかは見ていたという。

そして、子供の性別について聞かれて、ハリー王子が「女の子です」と答える。オプラさんが「最初に超音波で見た時、どう思いましたか」という質問に、「驚きました。どんな子供でも、1人でも2人でも、素晴らしいことだと思います。でも、男の子を授かり、さらに女の子を授かるとは、これ以上望むことがあるでしょうか。でも今、私たちは家族を手に入れました。私たち4人(the four of us)と2匹の犬がいる家族を得たのです。素晴らしいことです」と答えた。

そして子供は「二人でいい」とも。出産は夏の予定だという。

ハリー王子が、見る人を明るくさせる幸せそうな笑顔を見せたのは、インタビューの中でここだけだった。彼が生まれてから今まで、望んでも決して得られなかった幸せな家庭を、やっと手にしている嬉しさがうかがえた。

オプラ:それで、あなたたちは今、太陽の降り注ぐカリフォルニアに住んでいるのですね。 

メーガン:(2020年の)3月からね。

オプラ:3月からね。OK。

ここでオプラのナレーションが入る。

2019年末、ハリー王子とメーガンはイギリスを離れ、カナダに移住した。夫妻によると、英連邦(コモンウェルス)であるカナダを選んだのは、女王への奉仕を続けるつもりだったからだそうだ。

移住後、ハリーとメーガンは、通常は王室から提供されるセキュリティ(警護・安全)が遮断されたと言っている。メーガン、ハリー、アーチーは、2020年3月、コロナウイルスのせいでロックダウンが始まる数日前に、ロサンゼルスに移住した。

メディア界の巨匠タイラー・ペリーが、一時的な避難場所として、自宅を提供し、さらにセキュリティも提供してくれた。

その3ヵ月後、一家は自分たちの家を購入し、サンタバーバラ地区に落ち着いたのである。昨春、サセックス公爵夫妻は、自分たちの財団とメディアコンテンツ会社「アーキウェル」を設立した。

オプラ:それで、タイラー・ペリーの家に何カ月か滞在したんですね。

ハリー:確か、3カ月間です。

メーガン:そう、私たちには計画がなかったから。家が必要だったし、彼はセキュリティも提供してくれたんです。おかげで、私たちがこれから何をするのか考えるための、息をつく余裕ができました。

ペリー氏はニューオーリーンズ出身の劇作家、脚本家、俳優、映画監督、映画プロデューサー。扱う主題は黒人にまつわるものが多いという。出身の米南部の劇場で頭角を現した。2020年NYの映画のプレミア会場で。
ペリー氏はニューオーリーンズ出身の劇作家、脚本家、俳優、映画監督、映画プロデューサー。扱う主題は黒人にまつわるものが多いという。出身の米南部の劇場で頭角を現した。2020年NYの映画のプレミア会場で。写真:REX/アフロ

ハリー:一番心配だったのは、カナダである人の家に滞在していたときに、急に警護が無くなると言われたことです。この時点で、ご親切にも『デイリー・メール』(英タブロイド紙)の報道によって、世界中に僕らの正確な居場所が知れ渡ってしまったんです。

そこで突然、私は気付き始めたんです。「ちょっと待てよ。国境は閉鎖されるかもしれない。私たちの警護は無くなるだろう。ロックダウンがどのくらいの期間になるのか誰にもわからない。世界は我々の居場所を知っている。それは安全ではない。安心していられない」。

メーガン:そう、それに・・・。

ハリー:そう。おそらくここから出たほうがいいかもしれないと。

オプラ:では、解除されることになる当時の警護とは、どのようなものだったのでしょうか。

ハリー:英国の警護がありました。

オプラ:では、海外から連絡があったのですか。

ハリー:はい。

オプラ:「我々は、あなた方の警護を取り除く」。なぜ彼らはそうしようとしていたのでしょうか。

ハリー:彼らの正当な理由はステータス(地位・身分)の変化ですが、私は「では、脅威やリスクに変化があるのか」と反論しました。何週間も待ったあと、ついに確認がされましたーーいえ、脅威やリスクに変化はない。でも私たちの地位の変更のためである、私たちはもう王室の働くメンバー(official working members of the Royal Family)ではないーーと。

彼らは明らかに・・・私たちが提案したのは、パートタイムのようなもので、少なくとも、完全に飲み込まれる(consumed)ことなくできる範囲で、というものでした。なぜなら、皆さんがすでに取り上げているように、私はそう思ったんです。

メーガン:実際、そのことについては話していませんでした。まるで私たちが辞めた、立ち去った(walked away)かのように、間違った方向に回転していきました。私たちが最終的に発表するまでの、2年間のすべての会話のことです。

ここでオプラさんのナレーションが入る。

2020年1月、ハリー王子とメーガンは、ロイヤルファミリーの上級メンバー(senior members)として、退く(step back)ことを発表した。結婚からわずか18カ月間で、この決断の速さは、女王を始め、隅々までの人々を驚かせた。

この爆弾ニュースは、英国の報道機関によって「Megxit」と呼ばれる、世界中のメディアの狂乱を引き起こす。多くの記者やバイラルポストが、この決定についてメーガンを非難した。

エリザベス女王は公式声明の中で、「私たちは、彼らが王室のフルタイムで働くメンバーであり続けることを望んでいましたが、私の家族の大切な一部であり続けながら、家族としてより独立した生活を送りたいという彼らの願いを、尊重し理解します」と述べている。

オプラ:OK、質問させてください。1年以上前、あなた方は世界に衝撃を与えました。あなたは、ロイヤルファミリーの上級メンバー(senior members)として、退く(step back)ことを発表しました。

そしてメディアは、祖母である女王を「不意打ちを与えた」と報じました。いま、記録をまっすぐにする時です。去らなければならないと決断した転換点は何だったのでしょうか。

ハリー:ああ、絶望的でしたよ。助けを求めるために、自分が行くべきだと思ったすべての場所に行きました。二人でね。

メーガン:ええ。

ハリー:別々に、そして一緒に。

オプラ:つまり、助けを求めているのに得られなかったから去った(left)のですか。

ハリー:ええ、基本的には。でも、私たちは決して去りませんでした。

メーガン:私たちは家族から去った(left)ことはありませんし、存在するのと同じタイプの役割を持ちたいと望んでいただけです。上級メンバーがいて、上級メンバーではない人がいる。そして私たちは具体的に「私たちは、何人か・・・のようになるために、上級の役割から退いて(step back)います」と言いました。

つまり、私は今、多くの人を思い浮かべることができます・・・彼らは殿下・妃殿下であり、王子や王女であり、公爵や公爵夫人であり・・・生計を立て、宮殿の敷地内に住み、求めに応じて女王をサポートすることができます。

ですから、私たちはここで車輪を再発明したわけではありません。私たちは「もし、これがすべての人に有効ではなく、私たちが多くの苦痛を感じ、あなた方が私たちに必要な助けを提供できないのであれば、私たちは退ける。英連邦の国で行える」と言っていたのです。私たちが提案したのは、ニュージーランド、南アフリカ・・・

ハリー:息をつく・・・。

メーガン:カナダ。

オプラ:ええ。それで、具体的に何から一息つきたかったのですか。はっきりさせましょう。

ハリー:この・・・この絶え間ない集中砲火から。私が一番心配していたのは、歴史が繰り返されることでした。以前にも数え切れないほど何度も、公の場でそう言ってきました。そして、私が見ていたものは、歴史の繰り返しでした。でも、それ以上かもしれません。あるいは、間違いなくはるかに危険です。なぜなら、そこに人種が加わり、ソーシャルメディアが加わるからです。歴史の繰り返しというのは、私の母のことです。

同じようなことが起こっているのを目の当たりにしたら、誰でも助けを求め、自分が属しているシステムに助けてくれないか、真実を共有してくれないかを求めます。特に、そこに関連があるとわかっているなら、あるいは・・・犬に声をかけてやめさせろとか、どう呼んでくれてもいいのですが。

それなのに、何の助けも得られず、「これはそういうものだ。そういうものなのだよ。みんな経験してきたことだから」と言われ続けました。そして、私にとって最大の転機となったのは・・・それほど時間はかからなかったです。

1997年8月31日、母の死の知らせを聞いたハリー王子。休暇で滞在中だったバルモラルの教会から出てきた時の様子。この少年はこれから長い間、心の病いに苦しむことになる。
1997年8月31日、母の死の知らせを聞いたハリー王子。休暇で滞在中だったバルモラルの教会から出てきた時の様子。この少年はこれから長い間、心の病いに苦しむことになる。写真:ロイター/アフロ

オプラ:彼女の人種がミックス(mixed race)だったからですか。

ハリー:いや、ただ・・・最初は二人だけでした。私は人種のミックスについてあまり考えたことがありませんでした。なぜなら・・・まず、私は何年も仕事に費やしてきて、自分自身で学んできたからです。

でも、私が育ったシステムにおける私のしつけや、私がさらされてきたものは、そうではありませんでした。最初はそのことに気づいていませんでした。でも、ああ神様、突然気づくのには、それほど時間がかからないのです。

オプラ:そうですね、あなたは無意識の偏見や、それが表すすべてのものに、本当に気がつかなかったと言いましたからね。 メーガンに出会うまでは。

二人の姿が見られるようになったのは2018年から。王子は自分のファンドからお金を出してメーガンさんの警護をかって出た。写真は同年、婚約者となった彼女とインヴィクタス・ゲームの選考会に出席した時のもの。
二人の姿が見られるようになったのは2018年から。王子は自分のファンドからお金を出してメーガンさんの警護をかって出た。写真は同年、婚約者となった彼女とインヴィクタス・ゲームの選考会に出席した時のもの。写真:Shutterstock/アフロ

ハリー:英国は私の故郷です。私が育った所です。だから、ええ、私はメディアと、長い道をさかのぼる、独自の関係を築いてきています。私は、ボーイフレンドとして、夫として、そして父親として、英国のタブロイド紙に冷静さを求めてきました。

オプラ:だから、私が「なぜ去ったのですか」と質問するなら、一番簡単な答えは?

ハリー:サポート(援助)がなかったことと、理解がなかったことです。

オプラ:そう、だから、はっきりさせたいのです。引っ越しは、英国の報道機関から逃げる(get away)ためだったのでしょうか。ご存知のように、報道機関はどこにでもあります。それとも、「ザ・ファーム」から十分なサポートを得られなかったために、引っ越したのでしょうか。

ハリー:両方です。

オプラ:両方ですね。

ハリー:ええ、そうです。(インタビュー次回へ続く)

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◎続き 5:爆弾発言?タブロイドと王室の癒着と人種差別の悪化編

王室の「上級メンバー(senior members)」とは何か。

『ハーパース・バザール』誌のサイトには次のように書いてある。

「誰が王室の上級メンバーで、誰がそうでないかの公式なリストはない。王室歴史家で『Royal Musings』の創設者であるマーリーン・ケーニッヒによると、上級王室メンバーとは通常は、君主、妃、その子供や配偶者、継承者とその子供や配偶者であるという。

『Royal Central』によると、上級メンバーの最もシンプルな定義は「王室のメンバーで、自分自身の権利と王冠のために、継続的に義務(職務)を遂行する人」だという。また、『Town & Country』では、これらの王族を、通常は女王の成人の親族で、継承順位が高く、女王のために定期的に義務を遂行し、王政を代表する者と表現している」

ちなみに2020年12月、女王は新たに「7人」の上級メンバー(主要メンバーとも呼ばれる)を認めたと報じられた。

ハリー王子夫妻は国外へ、女王の次男アンドルー王子は、未成年女性の性的暴行疑惑で「一時的に引退」(王室助成金の対象外となり、約240のチャリティの後援からも外れた)、フィリップ王配は高齢で病気で、人員が足りなくなってしまっていた。

新たに加わったのは、女王の三男、エドワード王子とソフィ妃の夫妻。徐々に公務は増えていたが、このことで突然脚光をあびることになった。ソフィ妃は「平民」出身なので冷遇されていたようだが、夫妻も静かな生活を望んだと言われる。女王の4人の子供で離婚していないのは、この夫妻だけである。

ソフィ妃は「私は交際期間が5年で、婚約してから結婚まで半年バッギンガム宮殿に住みました。メーガンさんは1年で婚約しました」と、準備期間の短さが問題だったのではという内容を語っている。

2020年10月、ロンドンの農場を訪問するエドワード王子夫妻。子供には、国王の孫にも関わらず、王子王女の称号がない。でも、仲睦まじい夫妻の様子は、新たな英国王室のシンボルとなるだろうか。
2020年10月、ロンドンの農場を訪問するエドワード王子夫妻。子供には、国王の孫にも関わらず、王子王女の称号がない。でも、仲睦まじい夫妻の様子は、新たな英国王室のシンボルとなるだろうか。写真:代表撮影/ロイター/アフロ

欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出会い、平等と自由。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著「ニッポンの評判 世界17カ国レポート」新潮社、欧州の章編著「世界で広がる脱原発」宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省機関の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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