昨オフに3年5400万ドルで入団の選手が6年1億5100万ドルの延長契約を得る。評価が急上昇!?
9月4日、サンフランシスコ・ジャイアンツは、三塁手のマット・チャップマンと6年間の延長契約を交わしたことを発表した。
USAトゥディのボブ・ナイテンゲールとESPNのジェフ・パッサンによると、契約は6年1億5100万ドル(2025~30年)だ。内訳は、契約金が100万ドル、各シーズンの年俸は2500万ドル。選手が途中で契約を打ち切ることができる、オプト・アプトの権利はついておらず、繰り延べ払いもないという。
チャップマンがジャイアンツに入団したのは、今年3月だ。この時の契約は、3年5400万ドル(2024~26年)。こちらは、契約金が200万ドル、2024年が年俸1600万ドル、2025年が年俸1700万ドルの選手オプション(解約金200万ドル)、2026年が年俸1800万ドルの選手オプション(解約金300万ドル)、2027年は年俸2000万ドルの相互オプション(解約金100万ドル)だった。
チャップマンは、選手オプションを行使すれば、少なくとも、200万ドル+1600万ドル+1700万ドル+1800万ドル+100万ドル=5400万ドルを手にすることができた。その一方で、今オフあるいは来オフにオプションを破棄し、FAになる道もあった。
ジャイアンツ入団については、こちらで書いた。
◆「ジャイアンツと契約の三塁手は大学時代のチームメイトからポジションを奪う格好に。誕生日は1日違い」
2つの契約を比べると、年平均額は1800万ドルと2516万6667ドルだ。新たな契約は、従来の契約の2025年以降を置き換える形なので、2024~30年のトータルは7年1億6900万ドル、年平均は2414万2857ドルとなる。いずれにせよ、大幅にアップしたことに変わりはない。
チャップマンの守備は、エリート・クラスだ。2018~19年、2021年、2023年は、ゴールドグラブを受賞した。2019年は36本のホームランを打ち、2021~22年はどちらも27本塁打。今シーズンは、打率.247と出塁率.333、22本塁打、OPS.778を記録している。出塁率は昨シーズンの.330とほとんど同じだが、ホームランはすでに昨シーズンより5本多い。
チャップマンは、再びパワーを発揮している。それに加え、今オフのFA市場に出る可能性があり、チャップマンと同水準かさらに上のパワーを期待できる三塁手は、アレックス・ブレグマン(ヒューストン・アストロズ)とエウヘニオ・スアレス(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)しか見当たらない。
3人とも、年齢はそう違わない。2025年のシーズン年齢(6月30日時点の年齢)は、チャップマンが32歳、ブレグマンが31歳、スアレスは33歳だ。
パワーに関しては、チャップマンよりも、ブレグマンとスアレスのほうが上だろう。30本塁打以上のシーズンは、チャップマンが1度(2019年)、ブレグマンが2度(2018~19年)、スアレスは4度(2018~19年、2021~22年)だ。2019年は、ブレグマンもスアレスも40本塁打以上。それぞれ、41本塁打と49本塁打を記録した。
過去3シーズン(2021~23年)の四球率は、チャップマンが11.5%、ブレグマンが12.5%、スアレスは10.5%。ただ、今シーズンは、10.5%、6.7%、8.2%だ。ブレグマンの四球率は、急降下している。
ブレグマンは好守ながら、チャップマンには及ばない。また、スアレスがシンシナティ・レッズと交わした7年6600万ドル(2018~24年)の延長契約――その後、トレードで2度移籍――には、2025年の球団オプションがついている。ダイヤモンドバックスが年俸1500万ドル(解約金200万ドル)のオプションを行使すれば、今オフ、スアレスはFAにはならない。
チャップマンとブレグマンは、どちらもスコット・ボラスを代理人としている。スアレスは、オクタゴンだ。ボラスは、顧客である2人の三塁手のうち、チャップマンの契約を早々にまとめ、FA市場におけるブレグマンの価値を上昇させた――需要を高めた――という見方もできる。