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世界で約45分で終了した最も短い戦争と335年続いた最も長い戦争とは?

歴ブロ歴史の探求者

日本で有名な短い戦争が関ヶ原の戦いで約6時間でした。また、長い戦争としては日本が外交上の手続きの関係で1905年から2006年にわたってモンテネグロ(南ヨーロッパのバルカン半島に位置する国)と100年以上戦争状態にあった事は一部で知られています。

しかし、世界にはそれ以上に短時間で終わり、長い期間続いた戦争が存在します。

そこで今回は、そんな世界の短い戦争と長い戦争を紹介します。

戦争終結の定義とは?

戦争終結の定義は戦争状態が正式に終了し、交戦国間で平和が回復されることを指します。具体的には、以下のような状況が含まれます。

  • 停戦協定…交戦国が戦闘停止に合意する文書。
  • 和平条約…交戦国間で正式に戦争の終結するために結ぶ条約。
  • 降  伏…一方の国が他方の国に降伏すること。
  • 国際仲裁…国際機関や第三国の仲裁によって戦争が終結する。

単に戦闘が停止するのが戦争終結ではなく、持続可能な平和を築くための政治的、経済的、社会的な取り組みが必要です。なお、休戦とは「一時的または長期的に戦闘を停止するが、戦争状態が終わっていない」状況のことで戦争が終結したとは言えません。

世界一短い戦争

ギネス記録にも認定され、1896年に起こった世界で一番短い戦争が『イギリス=ザンジバル戦争(Anglo-Zanzibar War)』です。

ザンジバルは現在タンザニアの一部となっているアフリカ東海岸に浮かぶ諸島で、中心にかつて存在していた国で奴隷貿易などで繁栄しました。1890年にイギリスの保護領となっています。

戦争前までイギリスに好意的な支配者(スルタン=イスラーム世界の君主号)が国を治め、これをよく思わない勢力がクーデターを起こして新たなスルタンを即位させたのがきっかけで戦争に発展しました。ところが、イギリスの圧倒的な戦力を前にザンジバル側の攻撃能力は無効化され、約45分※で戦争は終結しました。

ザンジバル側の戦死・負傷者が計500名なのに対し、イギリス側の被害は負傷者1名だったと言われています。

※ギネスの公式記録では45分ですが、40分、38分とも言われています。

世界一長い戦争

次に紹介するのは『三百三十五年戦争』です。名前の通り335年続いた戦争で、ネーデルラント連邦共和国(オランダ)とシリー諸島(イギリス南西部にある諸島)の間に起こりました。

1651年に始まり、日本とモンテネグロの戦争と同様に外交上の手続きの問題で1986年まで戦争中として扱われています。

この戦いはイングランド内戦と深く関わっていました。

イングランド内戦とは清教徒革命におけるイングランドの王党派と議会派の軍事衝突のことで、徐々に議会派を率いたクロムウェルに王党派は追い詰められていきます。その追い詰められた王党派はシリー諸島に撤退。

一方のネーデルラントはかつてスペインの支配下にあり、独立する過程でエリザベス1世などのイングランド統治者から支援を受けていました。

その後もイングランドとの同盟関係を模索しますが、内戦では「議会派が勝利する」と判断。議会派への協力を決めると、王党派はネーデルラントを裏切り者としてイギリス海峡の航路を通るネーデルラントの船をシリー諸島を拠点に襲撃し始めます。

そうしたいさかいの末にネーデルラントがシリー諸島に宣戦布告するのですが、その直後に王党派が議会派に降伏します。一度も銃を撃たずにネーデルラントはシリー諸島から撤退したのでした。

ところが、一つの国家が他の国家の一地域に宣戦布告という少し変わった事態になっていたこともあって、公式な終戦宣言もなく曖昧なまま終結します。

やがて時が流れ、1985年。シリー諸島の歴史家が公式な終戦宣言がないことに気付いてロンドンのオランダ大使館に手紙を書くと、戦争状態にあることを示す文書を発見しました。こうして翌年、正式に平和条約が締結されることとなったのでした。

歴史の探求者

歴史好きが講じて歴史ブログを運営して約10年。暗記教科であまり好きでないと言う人も少なくないはずです。楽しく分かりやすく歴史を紹介していければと思います。歴史好きはもちろんあまり好きではない人も楽しめるような内容をお届けします。

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