災害に備えるEVならこれがベスト!ヒョンデKONAでのeCampが超快適
こんにちは、テックジャーナリストで兼業主夫のヒデです。車中泊や電源としてもかなり実用的なヒョンデのKONA(コナ)でキャンプをしてきましたがとても快適でした。
南海トラフ地震の警戒が強まる中、自宅へも給電でき、かつ貯めている電力で生活や車中泊ができる車ならBEV(バッテリーのみで走行する自動車)だとしても選択肢に入ってくると思います。
IONIQ 5からさらに進化した運転サポート
まず気づいたのは以前レビューしたIONIQ 5(アイオニック ファイブ)からさらに進化した運転サポートの性能です。IONIQ 5ではやや強めなハンドルアシストや前方の車を感知して停止する際のブレーキングの力加減など、気になる点がいくつかありました。
しかしKONAではそういった懸念点が全て改善され、前方の車を感知してのブレーキングに至ってはまるで2種免許を極めたかのような優しさで、最後にコツンという衝撃を感じさせないレベル。人間が運転しているかのように最後にすっとブレーキを離してくれるソフトな止まり方には驚きました。
他にもウインカーを出すと側方を表示してくれるといった機能はIONIQ 5から踏襲されており、非常に快適なドライビング体験を提供してくれます。
災害時やeCampの電源として非常に優秀
ヒョンデのBEVといえば、V2L(AC電源として車を使える機能)が非常に優秀な点も評価できます。国内メーカーのほとんどがV2L機能を使うのにかなり大きな機材を必要とするのに対し、IONIQ 5やKONAは小さなアダプターを付けるだけで充電口から100VのAC電源を取ることができます。
KONAはIONIQ 5よりは容量が小さいものの、1360Wまでの電化製品を稼働できます。しかもV2Lに必要な機材が付属しているなど、国内の他のメーカーにはない利点があります。価格は後述しますが、この点において災害時やキャンプなどにおいて現時点で最も有効なEVだと感じました。
今回PICA富士ぐりんぱにて、eCamp(自然を楽しみながらもテクノロジーと快適さを求める米国で流行しているキャンプスタイル)をさせていただけることになり、様々な家電を持ち込んで実践してきました。
今回持ち込んだ家電は下記の通り。どれもKONAの電源でしっかりと動作してくれました。キャンプにおいて困るのが、料理担当になるとずっと料理をしていなければならない点。特に複数家族で行くと、料理担当はリラックスしている暇もないというのが難点でした。
一方eCampを軸に様々な家電が持ち込めるのであれば環境が一変します。もちろん、焚き火で調理した方が美味しいものなどはそのようにしますが、そうでないものに関しては自動調理ができるようになるので、複数家族でのキャンプでも余裕が出てきます。
キャンプならまだしも災害時ともなれば、家電が使えるのはかなりのメリット。災害用の
非常食だけでなく、炊飯器や冷蔵庫が使えるだけでもQOLが変わってくると思うので、こうした備えができるのは非常に良いと思いました。
キャンプで使っていればどれくらいのものならOKかも確認できるので災害時も安心です。
1360Wを超えるものも工夫で利用可能
今回使ってみて感じたのは「1360W」というキャパシティのギリギリさです。ほとんどの家電は使えるものの、IONIQ 5の1600Wと比べると微妙に使えない家電があるのは否めません。しかしここも工夫次第で1360Wを超える家電も使えるようになったので共有したいと思います。
今回KONAと併せて非常用の電源として使ったのがEcoFlow社のポータブル電源「DELTA 2 Max」。このバッテリーは約2kWhとKONAからすると容量が小さいものの、ポータブル電源としてはかなりの大容量で、家に備えておくだけで防災の観点から有利になります。
さらにMaxのアウトプットが2000WとKONAを大きく超えています。これによって通常KONAでは使えなかったENRO社の電気ピザ窯も今回使うことができました。注意しなければいけないのはDELTA 2 Maxの入力が通常1360W以上になっている点。ここは背面スイッチを切り替えることでアプリから入力(KONAからDELTA 2 Maxへの給電容量)を変えられるので、ここを1000Wくらいに制限しておくと充電スピードと給電スピードのバランスが取れます。
KONAは1360Wを超えた時点でV2Lが強制終了してしまうため、この設定は必須ですが、これさえすればKONAの唯一のデメリットだった1360W給電制限を気にすることなく使えます。ポータブル電源と併用すればより長く電力を使うことができるのでおすすめです。
価格が安く、国内メーカーと比較してもKONAを選ぶ価値がある
同じグレードで比較したIONIQ 5とKONAは以下の通りです。IONIQ 5ならAWD(四輪駆動)も選択できますが、今回はあえてそれ以外で比較しています。
一番上のLoungeモデルでも400万円台とこのバッテリー容量、スペックではかなりコストパフォーマンスが良いと言えます。さらに運転アシスト機能はこれまで一番良いと思っていたMAZDAのものをブレーキングの部分では超えている状況です。
KONA、IONIQ 5ともに一番下のグレードはおすすめしませんが、それ以上であればEVの補助金も含め検討の余地があります。特にKONAはLoungeグレードがおすすめで、機能が全部入りなのにもかかわらず400万円台をキープしており、補助金も加味すれば国産BEV(NISSANのARIYAなど)など同等グレードと比べて100万近く安いので先入観なくまずは試乗をおすすめします。
先入観を捨ててまずは試してみるべき
ヒョンデ社の車は率直に言って日本でのイメージが良いとは言えません。私はアメリカ滞在時代にヒョンデ社の車も乗っていますのでそこまで悪いイメージはないですが、Yahoo!コメントなどでなぜか乗ったこともないのに批判する人が多いのも事実。
しかし私が乗った印象をもって伝えたいのは「まず乗ってみて欲しい」ということです。乗ればわかる素晴らしさもありますし、国内車にはない「子供に配慮した仕様」があります。この辺りはIONIQ 5ほどではないのですが、例えばISOFIXの金具が赤色になっていて見やすいなど細かな部分での配慮が印象的でした。
BEVとしてのコスパはピカイチですし、バッテリーの容量も長距離でも問題ない印象です。特にV2L機能に関しては他社を凌ぐ使いやすさなので、災害の多い日本で十分選択肢に入る車だと思いました。
その性能を試してもらえれば私が書いている意味がわかっていただけると思います。ぜひ先入観なく試して欲しいです。私の両親は次に買い換える車が最後になりそうな年代ですが、一旦試すのを進めたいくらい完成度の高い車でした。
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テックジャーナリスト/兼業主夫。築50年団地をスマートハウスにリノベ。BCN+R「木村ヒデノリのTechMagic 」連載・Yahoo!ニュース公式エキスパート・GIZMODOライター