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【横浜市】横浜発ショートトリップ・追浜編 貝山地下壕で涼んで学ぶ夏&山椒香る担々麺専門店

krayskyライター/東京神奈川行ったり来たり(横浜市)

今年のゴールデンウィークに追浜を訪れ、その魅力に開眼。追浜第二弾の目的地は、「貝山」に「夏島」。あまりに夏らしい名前のその土地には、太平洋戦争末期に造られた地下壕が今も残る。8月のショートトリップは、旧海軍航空隊「貝山地下壕」の見学と、担々麺の行列店「麺山椒」で、歴史としびれを感じる旅!(追浜第一弾の前回記事はこちらから)。

・海軍航空隊の戦争遺跡・貝山地下壕 横須賀市によるガイド付公開で見学
・追浜の行列店で、挽きたての山椒にしびれる 担々麵専門店の麺山椒 

追浜駅前
追浜駅前

海軍航空隊の戦争遺跡・貝山地下壕 横須賀市によるガイド付公開で見学

追浜駅前の夏島貝塚通りを直進すると、2キロほどで海に出る。東京湾の西南の端だ。横須賀市のリサイクル施設「アイクル」が、城郭のような存在感を放っている。

その隣には、白い砂がまぶしい夏島グラウンド。

そもそも「夏島」は、その名の通り島だった。大正時代に旧日本軍が埋め立てを行い、現在は駅から陸続き。知らずに来れば、島だったと気づくのは難しい。

現在、日産自動車追浜工場となっているエリアは、海軍航空隊の基地となり予科練(海軍飛行予科練習生、パイロットの基礎養成所)も置かれていた。航空隊の教育や航空機開発を行う、日本海軍の一大拠点だったわけだ。その海軍が太平洋戦争末期に防空施設として造ったものが、「貝山地下壕」として残る。

夏島グラウンドの写真の奥に見えるのが「貝山緑地」で、そこにある地下壕は山の中に掘られたトンネルのようになっている。一般公開されており、横須賀市が指定するガイド団体から申込みを行うと、見学ツアーに参加できる(ガイド団体は横須賀市ホームページに記載されている)。今回筆者は「猿島公園専門ガイド協会」によるツアーに参加した。

貝山地下壕の入口。ヘルメット着用、懐中電灯を持って、ガイドの案内で向かう。

一歩中に入ると別世界!全長2キロほどある巨大な地下壕だ。幅・高さが5~7メートルほどの通路が続く。

入口近くには鉄骨で補強された箇所があるが、その他は掘られたままの土の状態だ。断層も観察できる。

地中を伝った雨水が、足元の土を穿つ。地下壕の中には、雨が多い季節になると水没する箇所もあるという。

入口からすぐの通路を除いて、中は陽の当たらないひんやりとした地中。訪れた日は猛暑だったが、地下壕内は肌寒いほどだった。立ち入り禁止のエリアも多く、ガイドの案内でゆっくりと進む。携帯電話の電波は、もちろん圏外だ。

広く部屋になっている箇所には、壁に何かを掲げるためのくぼみが。御真影(天皇の肖像写真)を置いたとも推測されるが、設備や用途については不明のことも多い。

懐中電灯で照らしているのでよく見えるが、ここも明かりが用意されていなければ真っ暗だ。ひんやりと湿った空間で、歴史の重なりを感じる時間。

地中での生活のため、かまども作られている。

地下壕の脇には、保存された当時の道具が展示されており、こちらもガイドの案内で見学することができる。地下壕の電信室から発見されたという電話機。戦後78年という時の流れは、道具の古さからも感じられる。

将校用の食器。青い器の底には、碇(いかり)のマークが付いている。

今回参加したツアーでは、貝山地下壕と合わせて、東京湾要塞・第三海堡遺構も見学した。海堡(かいほう)とは、砲台を設置するための人工島。明治から大正にかけて、東京の防衛のために建設された三つの海堡のうちの一つが、横須賀市夏島町に保存されている。

「第三海堡」は明治25(1892)年に建設を開始、30年近くをかけて完成したもの。しかし完成から二年余りの大正12(1923)年、関東大震災により構造物が海に沈んでしまう。2000年になって海中からの引き上げが行われ、観測所や探照灯(サーチライト)などが神奈川県の指定有形文化財となっている。

第三海堡は、水深40メートルほどの海域に造られたという。海中から石を積み上げて、コンクリートを固める。想像もできないほどの難工事だ。このコンクリートの塊が、80年ほど東京湾に沈んでいたことになる。

地下壕の中は避暑地のように涼しかった。地上に出て、第三海堡の見学は炎天下。真夏を満喫しながら身近な歴史に触れ、充実した大人の夏休みとなった。

追浜の行列店で、挽きたての山椒にしびれる 担々麵専門店の麺山椒 

追浜駅に戻り、今度は南の方向へ。前回追浜を訪れた際、泣く泣くあきらめたグルメがこのお店だった。担々麺専門店の「麺山椒」。

この日は運よく、正午過ぎに10分ほどの待ち時間で入ることができたが、筆者のあとにも、あっという間に十人以上の行列が。

まずは入口で食券を購入。

食券を出すときに、「辛さ(ラー油の量)」と「シビレ(石臼挽き山椒の量)」をそれぞれ5段階から選ぶ。「辛さ2,シビレ3」といったように伝えて、しばし待つ。アットホームな雰囲気もある店内で、子供連れの姿も。席はカウンターのみだが、明るく過ごしやすい印象だ。

お待ちかねの「汁なし担々麺」。パクチーは追加トッピングとして注文した。

よく混ぜてから食べる汁なし担々麺は、フレッシュな山椒のしびれをダイレクトに感じることができる。この香高い山椒を求めて、行列するのも納得の一杯。炙りのタケノコや小松菜、茹でたキャベツなども入り、料理としてのバランスの良さも印象に残る。

オーダー時に麺の種類を選ぶことができ、汁なし担々麺は「細麺」でいただいた。ひき肉や山椒がよく絡んで、正解だったように思う。

こちらは「担々麵(大盛)」。鶏白湯に白ごまを使ったスープはとてもクリーミー。汁なし担々麺に比べて、山椒の味をマイルドに楽しめる。

こちらは通常の手もみ縮れ麺で。縮れ麺がスープを引き上げる。口に入れるとつるりとした食感で、やさしい味わいだ。

ご飯ものの「自家製チャーシューご飯」も手間のかかった一品。燻製したチャーシューを、赤ワインとコンソメスープで煮込んでいるという。こちらにも炙ったタケノコが入っていて、香ばしさと肉の旨みを噛みしめて味わう。

山椒と胡麻の香りが、夏の体を元気づける。身近な地域の深掘りには学びが多い、そう感じられたショートトリップだった。

<関連情報>
◆貝山地下壕
住所:横須賀市浦郷町5-2931-63
アクセス:追浜駅から「深浦経由田浦駅」行または「深浦循環」バスで「浄化センター」下車、「追浜車庫前」行で「追浜車庫前」下車、各徒歩5分
※地下壕の見学には、横須賀市指定のガイド団体を通じて事前申込みが必要。詳細は横須賀市ホームページ
※記事作成にあたっての参考サイト
猿島公園専門ガイド協会ホームページ国土交通省関東地方整備局東京湾口航路事務所ホームページ文化遺産オンライン(文化庁ホームページ)

◆麺山椒
住所:横須賀市追浜町2-64
アクセス:追浜駅から徒歩5分
麺山椒 SNS(旧Twitter)

ライター/東京神奈川行ったり来たり(横浜市)

東京生まれ、東京&神奈川&アメリカ大陸育ち。出版社やメーカー勤務を経て、好奇心とともに東奔西走。好きな言葉は「一石二鳥」「三つ子の魂百まで」。文化/日本語/フィクションとノンフィクション/経済的/すこやかな生活。

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