熱中症の発生場所は意外な部屋?住宅内の予防対策3つのポイント
「住宅の中だから安全」というわけではない!
連日、猛暑が続いています。2020年の夏はwithコロナの影響もあって、屋外でもマスクをしているため、熱中症のリスクが高まっています。屋外は暑いので、家の中にいれば安全かというと、実はそうではありません。東京消防庁調べによると、熱中症の緊急要請時の発生場所は「住宅などの居住場所」が40.6%と最も多いのです。
旭化成建材快適空間研究所の「住宅の温熱性能と居住者の意識(熱中症に関する意識)」調査の結果によると、10人に1人(10.7%)が「住宅内で熱中症(疑いも含めて)になった」と回答しています。その発生場所は、「寝室」が28.3%、「リビング・ダイニング」が25.6%でした。
夜に使う「寝室」が最多というのは意外に思うかもしれません。特にマンションなどの鉄筋コンクリート造りの建物は、日中の日差しの熱をコンクリートが蓄熱するので、夜になっても室内の温度が高いままということがあります。寝汗でコップ一杯分の水分を失うというので、水分不足になるのも要因でしょう。
住宅内の熱中症対策、ポイントは3つ
住宅内の熱中症対策といえば、エアコン。「エアコンをつけましょう」と言われても、私のようにエアコンの冷気が苦手な人もいます。エアコンの設定温度はできるだけ高く、エアコンをつけている時間もできるだけ短く、と思っているので、様々な工夫をしています。
住宅内の熱中症対策のポイントは3つです。
●日よけ
●風通し
●排熱
日よけを設置すれば直射日光が室内に入らないので、外の熱を室内に取り込みにくくなり、エアコンの効果も高まります。日よけは、窓の外側に設置することをおススメします。室内のカーテンを閉めて日よけにする方法もありますが、室内が暗くなるうえ、熱を遮る効果は外側よりも低いのです。
我が家でも、サッシの外側に日よけをつけています。マンションの場合はルール上、外壁に穴を開けることはできませんから、後で取り外せるフックやツッパリ棒形式のものを利用するとよいでしょう。
マンションの場合、バルコニーの床面からの照り返しがあるので、バルコニーに張り出すシェードやよしずを斜めに立てかけると、より効果が高いでしょう。時代劇などでよしずを斜めに立てかけてあるのを見ますね。あの形が効果的です。
風を通すことも熱中症対策になります。朝や夜などの外気温が低いときは、風の入り口と出口の通り道を考えて、扇風機なども活用して部屋全体に風を通すようにしましょう。エアコンをつけている場合でも、扇風機の風をエアコンに送ることで室内の空気をかき回し、温度ムラを作らないような工夫もできます。
また、住宅内にいるなら服を着替えて調整することも可能です。体に熱がこもらないようにゆったりした洋服を着たり、襟元の広い洋服で通気したりして、熱を逃がすようにしましょう。エアコンで体が冷えてきたら靴下を履くなど、いつでも着替えができる住宅内だからこその工夫もしてください。
自分のいる場所の気温をこまめに確認
エアコンをつけていれば、それで大丈夫というわけではありません。住宅内に温度ムラがあったり、窓際に座っていたりすれば、エアコンの設定温度を28℃にしていても、自分のいる場所が28℃になっているとは限りません。温度計で実際の温度をこまめに確認するようにしましょう。
最近は、温度や湿度を表示する時計もありますので、時間と一緒に室温を確認する癖をつけるのもよいでしょう。正確な室温が分かることに加えて、室温を意識することで熱中症への関心を高める効果もあると思います。
こうした猛暑は来年以降も続くでしょう。抜本的な熱中症対策としては、住宅の断熱性を高めたり、窓を省エネガラスに変えたりといった改修工事になります。今は間に合いませんが、ぜひ検討してください。
まずは、暑さを避けて、水分と塩分を摂取し、体調を整えるなど、できることをしっかりやって、この猛暑を乗り切りましょう。