ヤクルト青木宣親の引退に韓国のガッツマンが惜別メッセージ 「ずっと好きで目標の選手でした」
東京ヤクルトスワローズの青木宣親(42)が21年間の現役生活に別れを告げた。その青木の姿をずっと追い続けてきた韓国KBOリーグの選手がいる。キウムヒーローズの外野手、イ・ヨンギュ(李容圭、39)だ。
イ・ヨンギュはかつて韓国代表として国際大会でも活躍。2008年の北京オリンピック(五輪)準決勝日本戦、ライトの守備でウイニングボールをつかんだ瞬間、喜びのあまりグラウンドにうずくまった姿や、日韓が5度対戦した2009年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での果敢なプレーを記憶している人もいるだろう。
イ・ヨンギュから青木のことを初めて耳にしたのは今から17年前、2007年の春季キャンプだった。
イ・ヨンギュは高卒3年目だった前年に、KIAタイガースの1番打者としてリーグトップの154安打をマーク。打率3割1分8厘、38盗塁(いずれも3位)を記録する活躍を見せた。当時イ・ヨンギュが目標に掲げたのが青木だった。
「青木選手はシーズン200安打を打って、首位打者にもなりました。正確なミート力と打席での対処の仕方、タイミングの取り方が素晴らしいです」
左打ちの外野手でプロ野球選手としては小柄な体格の青木とイ・ヨンギュ。イ・ヨンギュは青木の映像を繰り返し見て参考にしていた。
奇しくも当時のKIAのキャンプ地は青木の故郷、宮崎県日向市。練習場所は青木が自主トレを行うなどなじみ深い、お倉ヶ浜総合公園の野球場だった。
北京五輪、WBCでイ・ヨンギュは青木と同じグラウンドでプレーした。「(青木は)相手チームではあるけど、自分がロールモデルとする選手と同じ大会に出るということは光栄でした」と振り返る。
そしてイ・ヨンギュは「青木選手は覚えていないかもしれないけど」と青木とのやり取りを話した。
「WBCでは内海(哲也)投手から頭に死球を受けて退きました(第2ラウンド、ペトコパーク)。その後、ホテルのエレベーターで偶然、青木選手と顔を合わせたら『あの時はすまなかった』というように声を掛けてくれたんです」
イ・ヨンギュは韓国球界きっての日本野球通。ベテランとなった今でも試合後自宅に帰ると、日々NPBのハイライト映像をチェックしている。日本人の筆者がセ・パ両リーグの順位をイ・ヨンギュから教わるということも度々あった。
イ・ヨンギュは数々の日本選手を見てきた中で青木のことを「NPBを象徴する選手。一番好きで尊敬しています」と話す。
そして青木の引退についてキウム球団を介してこうコメントした。
「引退すると知った時、とても残念に思いました。若い時からずっと目標にしてきたバッターでした。第二の野球人生でも球界の発展のために大きな役割を果たされることと思います」
現在39歳のイ・ヨンギュは8月の試合で死球を受け、右足第3趾を骨折。今季の出場は60試合にとどまった。
「自分の選手生活も残りわずかだと思います。後悔なくしっかりと締めくくりたいという思いが強いです。そして引退後、もし日本でコーチ研修をするようなことがあれば、青木選手が指導するところでやりたいです。そしてお互い指導者として顔を合わせられたら嬉しいです」
◆イ・ヨンギュ 1985年8月26日生まれ 左投げ左打ち 外野手 身長170cm(2021年までは175cmと公表) 体重74kg
通算成績 2021試合 打率2割9分5厘 2132安打 1206得点(歴代8位) 27本塁打 570打点 396盗塁(歴代6位)
映像:イ・ヨンギュ2000試合出場記念(キウムヒーローズ公式チャンネル)
⇒ キウムヒーローズ紹介(ストライク・ゾーン)