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誰が育てたどんな米?藤沢市北部で収穫された「スーパーや農協には並ばない“特別な新米”」を取材した結果

ころんころライター(藤沢市)

今年の夏、日本中で起きた「米騒動」。藤沢市内も、いまだに米は品薄で、価格もやや高めですよね。

原因は、猛暑の影響で米の流通量が大幅に減少したことや、南海トラフ巨大地震の臨時情報が出され、消費者が米の買いだめに走ったことなど、複数の要因が重なり合った結果と言われています。

そんな中、「スーパーや農協には並ばない“特別なお米(新米)”がある」という情報をキャッチ。一体誰が育てたどんなお米なのか、お話をうかがってきました。

2024年4月/田んぼを手作業で耕す「オコメンプロジェクト」の学生たち
2024年4月/田んぼを手作業で耕す「オコメンプロジェクト」の学生たち

「スーパーや農協には並ばない“特別なお米”」を作るのは、「慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)」長谷部葉子研究会“学生がゼロから稲作に挑戦するプロジェクト”「オコメンプロジェクト」の学生たち。“オコメン”とは、「お米(オコメ)」と「メンバー」の略。農と暮らしを起点に、大学と地域をつなぐ架け橋として日々奮闘しています。

2024年6月上旬/田植え(お米の品種は、神奈川県の推奨品種米「キヌヒカリ」)
2024年6月上旬/田植え(お米の品種は、神奈川県の推奨品種米「キヌヒカリ」)

プロジェクトのリーダーを務める環境情報学部4年の廣瀬さんは、「藤沢市打戻の『永田農園』さんより、体験農園事業の一環として農地を使わせていただいています。また、『永田農園』さんは、“機会の提供”だけでなく、この地域に私たちが入り込むうえでの“心構え”なども指導してくださいます」「初年度にあたる2022年度は、有志の学生7人で『7畝の田んぼで米づくりをする』という取り組みからスタートし、200名近い学生や関係者を巻き込みながら、300kgのお米を収穫することができました」と話します。

「畝(せ)」は、日本の土地面積を表す伝統的な単位。1畝は約99.17平方メートルで、小学校の教室1部屋分より少し広い程度の面積。

活動時には「コミュニケーション」や「体験の機会」を重視し、地元の小学生らも交えながら、田植えから稲刈りまでを手作業で遂行。

2024年10月中旬/稲刈り。大学生(卒業生を含む)や、地元の小学生など、多くの人が集まった
2024年10月中旬/稲刈り。大学生(卒業生を含む)や、地元の小学生など、多くの人が集まった

手作業による田植えは労力と時間がかかるものの、「土壌に応じて苗の配置や深さを細かく調整できる点や、田に入ることで根が強まり、雨風にも耐える健全なお米が育つ点が大きなメリットです」と廣瀬さんは言います。

田んぼで作業をする日は、前年に収穫したお米でおにぎりを作るのが定番。

「農だけでなく、食も私たちにとって大切な要素です。自分たちで育てたお米を季節の食材と一緒に炊き込み、田んぼで参加者に振舞います」と廣瀬さん。この楽しみを目当てに毎週通う人もいるのだとか(笑)。天気の良い日は特に美味しく感じることでしょうね!

また、今年は「田んぼアート」にも挑戦。紙幣の入れ替わりが行われたこともあり、福沢諭吉の肖像を稲で描いたそうですが...

どうでしょう?福沢諭吉に見えますか?
陰影をくっきりと描いた、福沢諭吉といった感じですよね!

こうして多くの人の知識や手のぬくもりによって育て上げられた「オコメンプロジェクト」のお米。前年の収穫量は、うるち米ともち米を合わせて約500kgにも達したそう。廣瀬さんは、「今年も多くのお米が実りました。今月開催される『SFC万学博覧会2024』で、本活動の内容をご紹介し、少量にはなりますが、収穫したお米をご購入いただけます(数量限定)」と笑顔を見せます。

昨年度の「SFC万学博覧会」におけるお米販売のようす
昨年度の「SFC万学博覧会」におけるお米販売のようす

「SFC万学博覧会2024」とは、同キャンパスで1年に1度開催される、キャンパス最大の研究発表やオープンキャンパス、藤沢市民講座などを兼ねたイベントデーのこと。

2024年11月23日(土)/24日(日)
慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)にて開催
「SFC万学博覧会2024」公式サイト(外部リンク)
※参加には事前登録が必要です。詳細は公式サイトよりご確認ください。

お米の食味について、「とても美味しいお米です。肉味噌とよく合いますよ(笑)」と廣瀬さん。昨年度は多くの方の手に渡り「美味しかった」との声も聞かれたそうです。

取材の最後に、廣瀬さんはこう話します。

「藤沢市の中でも、大学周辺のエリア(打戻・獺郷・宮原など)には、まだ広く知られていない、その土地ならではの文化や魅力がたくさんあります。これからも『農』を通じ、持続可能な未来へ向けて、さまざまな方々と共に実りある活動を続けていきたいと考えています」

藤沢市北部で育てられた「スーパーや農協には並ばない“特別なお米”」。その背景には、地域に根ざした挑戦に取り組む学生たちの姿がありました。

米不足や価格高騰が続く今こそ、将来を見据え、地域のお米に注目する絶好の機会かもしれません。「オコメンプロジェクト」の活動に興味のある方は、ぜひ「SFC万学博覧会2024」に足を運んでみてくださいね!(事前の登録をお忘れなく)。

基本情報(プロジェクト名)
慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)内
長谷部葉子研究会
学生がゼロから稲作に挑戦するプロジェクト「オコメンプロジェクト」

公式 ホームページ(外部リンク)
公式 Instagram(外部リンク)
※詳細は「オコメンプロジェクト」の公式サイトをご確認ください。

基本情報(大学情報)
慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)
住所:藤沢市遠藤5322
アクセス:
・小田急江ノ島線・相鉄いずみ野線・横浜市営地下鉄ブルーライン「湘南台」駅下車西口よりバス「慶応大学」行き約15分「慶応大学本館前」下車
・JR東海道線「辻堂」駅下車北口よりバス「慶応大学」行き約25分「慶応大学本館前」下車

公式 ホームページ(外部リンク)
「SFC万学博覧会2024」公式サイト(外部リンク)
※詳細は『慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス』の公式サイトをご確認ください。

取材・撮影・校正協力
オコメンプロジェクト 慶應義塾大学 環境情報学部4年 廣瀬様
慶應義塾大学 湘南藤沢事務室様

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ライター(藤沢市)

湘南エリアの複数メディアや紙面、昭文社「まっぷるトラベルガイド」などで、記事執筆&撮影を担当。取材スポットは1000ヶ所超え。そんな取材後記や、徒然なるままのゆるゆる日暮らしを、Instagramに綴っています。ほわっとあたたかくなる「神奈川県藤沢市」の情報をお届けできたら幸いです。※毎週日曜の20時10分に、LINEを通じて1週間分の記事を「まとめてお届け (ダイジェスト配信)」しています。友だち追加すると、藤沢市の話題(特に美味しいもの情報)に困りません。

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