日本の若者は他国以上にネガティブシンキング
日本の若者はネガティブシンキング
複数の国際的な調査結果から、日本人は他国と比べてネガティブな思考に陥りやすい傾向が見受けられる。生活感の心理的な実態調査でも日本は押し並べて低い値に留まり、景況感の調査においても日本は群を抜いて(!?)低位置を維持している。先日内閣府が発表した諸外国の若者の意識調査(「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」)でも、その動きが如実に表れていた。
今調査は2013年11月から12月にかけて日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンを対象に13歳から29歳の男女に対して、各国の主要言語を用いてインターネット経由で行われたもので、各国の人口構成などを元にウェイトバックがなされている。
回答時点で直近一週間に限定し、見方を変えれば常日頃、心の状態として「悲しい」「ゆううつ」「ひとりぼっちで寂しい」など内向的、ネガティブな心境を抱いた状態か否かを聞いた結果が次のグラフ。まずは日本人に限定した場合だが、「一人ぼっちで寂しい」が5割強とやや低めなのを除き、7割以上、3/4前後が同意を示している(回答選択肢は「あった」「どちらかといえばあった」「どちらかといえばなかった」「なかった」の4択で、そのうち「あった」「どちらかといえばあった」の合計)。
実体としては「あったか無いかと聞かれれば、どちらかならば『あった』が該当する」というやや弱めの回答が半数を占めているのだが、それでもマイナス思考的な回答率の高さがうかがえる。これが若年層における、日常茶飯事的な心理状態の実情と見て良い。
今件について、今調査の7か国それぞれの若者に対する回答として比較したのが次のグラフ。
「一人ぼっちで寂しい」が韓国に抜かれているが、それとて日本は僅差で第2位につけており、全体的に日本の回答値の高さが目立つ。今件は若年層に限定した回答ではあるが、日本人は心理的に沈んだ状態であると自覚することが多い、ポジティブな考え方が苦手との話を裏付ける結果となっている。
また全般的にはドイツやフランスの低さが目に留まる。「一人ぼっちで寂しい」はドイツでは27.1%、フランスでは30.5%しかなく、日本や韓国の半分程度。世帯構成人数の差異も一因だと考えられるが、世帯構成とは関係が無い他の項目でも類似の傾向が出ていることから、それはあくまでも一要素に過ぎないのだろう。
なぜネガティブ、内向的なのか
今件項目に限らず、今調査では全般的に日本の若年層の回答傾向として、内向的、マイナス思考的な項目で他国と比べて高い値が出ている。レポートには識者の解説も複数掲載されているが、その中に「日本人は他の国の人と比べ、『自分が他人に役立つ存在である』と認識することで、初めて自分の満足・充足感を得る傾向が強い」との分析がある。
つまり他国では「自分は自分でしかなく、自分の考えで行動し、それで満足を得られる」なのに対し、日本では「自分は社会の一員で、他人とのつながりの中で生きている。他人に認められて役立てることで、存在価値を見いだせる」傾向が強いというものである。
この分析が正しければ、日本の若年層においてマイナス思考が強いのは、他人に認められる場が少ない、認められるような能力が発揮できないのが要因として考えられる。それがすべてというわけではないが、あながち的外れでもあるまい。
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