高校生はスマホで2割近く…小中高校生の電子書籍利用実態
文章などのコンテンツを紙では無く新しいメディア「デジタル」で提供する、新時代の書籍が「電子書籍」。普及にはメディアそのものの浸透が前提だが、現状ではどこまで広まっているのが。内閣府が2016年3月に確定報を発表した「平成27年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(満10歳から満17歳までの青少年対象)の結果から確認していく。
次に示すのは主要なインターネットへの接続可能媒体でインターネットを利用している人における、電子書籍の利用状況。設問表では「何をしているか」の対象として「電子書籍」とのみ記述され、具体的な説明は無い。電子書籍と電子雑誌は区別されることもあるが、今件状況では「インターネット上で読める本や漫画、雑誌など」すべてを対象としているとし、回答したものとみなす。また有料・無料の別の設定も無いため、単純に閲読しているか否かを答えてもらったものとする。
パソコンではデスクトップよりはノートの方がやや高めの値が出ているが、いずれにせよ読んでいる人はごく少数。5%内外でしかない。もっとも高いのは男子高校生のノートパソコン経由で7.2%。大よそノートパソコンを使ってインターネットへアクセスしている男子高校生のうち14人に1人の割合となる。
タブレット型端末は小学生ではパソコンとあまり変わらないが、女子中学生や高校生では1割前後の値を示している。学習用タブレットでは小学生で2割強、中学生でも1割強と高めの値が出ており興味深い。
スマートフォンでは中学生で10%強、女子の方が積極的に電子書籍を利用している。高校生になると男女の差はほぼ無くなり、2割近く。スマートフォンを使ってインターネットを利用している高校生のおよそ1/5は、電子書籍を利用している計算になる。
インターネット利用端末の利用者における電子書籍の利用状況としては、スマホが一番、タブレットが2番、パソコンはひかえめといった形(学習用タブレットは利用者少数(25人)で数字のぶれが懸念されるため除外する)。また中学生から積極的に読み進められ、高校生ではタブレット型端末で1割以上、スマートフォンでは2割近い閲読率を示している。
ただし上記は該当端末でインターネット利用者限定。電子書籍の現状を把握するためには、むしろ各属性毎の利用状況を知りたいところ。そこで各属性における電子書籍利用率を算出した結果が次のグラフ。例えば総数のスマートフォンは7.2%の値が出ているので、小中高校生合わせた全体のうち7.2%、およそ14人に1人はスマートフォンで電子書籍を利用していることになる。
元々該当端末によるインターネット利用率が低い小学生は、誤差の範囲に収まる利用率しかない。実質的に「読んでいる人はナシ」と見ても構わないレベル。中学生になるとスマートフォンの利用率の高さが後押しする形でそれなりな利用者率を示す。スマートフォンが一番高いが、次いでタブレット型端末が入っているのは注目に値する。
そして高校生。タブレット型端末自身の利用率が落ち込むのに加え、スマートフォンの利用率が圧倒的な値を示していることから、それを用いた電子書籍の利用者率もグンと跳ね上がる。高校生全体の16.9%、およそ6人に1人はスマートフォンで電子書籍を閲読している。
今後さらに電子書籍の利用率が高まりを見せるのは間違いない。出版業界の動向も合わせ、注目したいところではある。
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