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琵琶湖の水位低下。マイナス75センチで節水呼びかけ、90センチで取水制限

橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
琵琶湖に注ぐ流れは460本、出てゆく流れは1本(川だけ地形地図)

水位がマイナス90センチになると取水制限の可能性

夏以降の少雨が影響し、琵琶湖の水位が低くなっています。11月27日午前8時の時点で基準となる水位からマイナス65センチと、例年の平均を26センチ下回りました。

そのため同日、必要な情報収集や連絡調整を行う「滋賀県水位低下連絡調整会議」が設置されました。現在の琵琶湖の水位は「滋賀県土木防災情報システム」HPから確認することができます。

同HPには1994年以降の「渇水状況」が示され、1994年には水位がマイナス123センチ(過去最低水位)となり、取水制限が実施されました。近年では1994年のほかに2000年、2002年に取水制限が実施されています。

川や湖からの取水量を減らすことを取水制限といい、今後も水位低下が続き、マイナス90センチになると実施される可能性があります。

その後も事態が回復しないと給水制限に入り、水道から出る水量が減り、酷くなると断水します。

琵琶湖の水はどこから来るのか

降った雨が集まる範囲を「流域」といいます。琵琶湖環境科学研究センターによると、琵琶湖流域の琵琶湖を除く陸域に1年間に降る雨の量は56.4億トン。そのうち4割が蒸発して空気中に戻り、5割が地下にしみこみ、残りは地表を流れます。

地下にしみこんだ水は、湧き出し460本の川となって琵琶湖に入ったり(ここに生活排水や工業排水も加わる)、地下水としてそのまま琵琶湖に入ったりしますが、合わせると46.7億トンの水が流域から集まってきます。

一方、琵琶湖に直接降る雨の量は年間12.2億トンで、流域から集まる水と合わせると、琵琶湖にくる水量は合計58.9億トンとなります。

くる水があれば、ゆく水もあり、湖面からの蒸発量は4億トン、瀬田川へ流れる水が48.4億トン、琵琶湖疏水へ流れる水が4.9億トンあります。

今年のように台風シーズンに晴天が多く、気温が高いと、降水量が少ないうえに蒸発量が増えるため水位低下につながり、広い範囲で渇水が懸念されます。

マイナス75センチまで低下したら節水を呼びかけ

渇水は琵琶湖周辺だけではありません。西日本を中心に渇水が深刻化し、各地で取水制限もはじまっています。松山市では「1人1日バケツ2杯20リットルの節水」の協力を求めています。

滋賀県では、基準となる水位からマイナス75センチまで低下した際には「渇水対策本部」を設置し、節水の呼びかけなどを行うことにしています。

節水方法とその効果

そこで個人ができる節水と効果についてまとめておきます。

まず、あらかじめ水道の漏水を確かめておきましょう。節水しても漏水していたら意味がありません。蛇口をすべて閉めたのに水道メーターがまわっていれば漏水しているので水道局に連絡しましょう。空き家が漏水しているケースもあります。

次に、1人が1日に使用する水の量は214リットル(東京都水道局/令和3年)で、風呂(シャワー)、トイレ、炊事、洗濯の順に多く使用しています。

風呂に入る時、バスタブには180リットルほどの水(湯)を張っていますが、半分の水位にすると90リットル節水できます。

シャワーヘッドからは1分間に12リットルの水が出ます。シャワー時間は平均8分(産総研)なので96リットル。1分短くすると12リットル、2分短くすると24リットル節水できます。

節水型シャワーヘッドを使うと水使用量は半分くらいになりますが、水圧が強いため使用感は変わりません。風呂とシャワーでどちらが水を使うかは、水の使い方や家族の人数で変わります。

炊事も1分間12リットルの水を使い5分の洗いもので60リットルですが、水を出しっぱなしにせず、「ため洗い」をします。また、節水型の蛇口やシャワーヘッドの利用も効果があります。

洗濯は1回40リットル程度の水を使うので、少量の場合はまとめて洗い、2回を1回にすると40リットル節水になります。

風呂の残り湯の有効活用はとても重要です。掃除などに使えますが、洗濯も可能です。残り湯は「洗い」のみで使い、「すすぎ」は水道水で行います。

すべてを行う必要はありません。できることをやるだけでもかなりの節水になります。

水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表

水問題やその解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携し、水をテーマにした探究的な学びを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。現在、武蔵野大学客員教授、東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム研究主幹、NPO法人地域水道支援センター理事。著書に『水辺のワンダー〜世界を歩いて未来を考えた』(文研出版)、『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る〜水ジャーナリストの20年』(文研出版)などがある。

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