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WBCヘビー級タイトルマッチ「デオンテイ・ワイルダーvs.タイソン・フューリーII」まで3週間

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Photo:Frank Micelotta/FOX Sports

 2月22日にラスベガス、MGMグランドガーデン・アリーナで行われるWBCヘビー級タイトルマッチ。戦績42勝(41KO)1分けの王者デオンテイ・ワイルダーと、29勝(20KO)1分けの挑戦者、タイソン・フューリーが、先日LAでのスペシャルイベントで顔を合わせた。 

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 14カ月ぶりに拳を交える両者の対戦は、今日のボクシング界で最もファンが注目する試合と呼べる。共に負け知らず。唯一の引き分けの相手との再戦とあって、モチベーションは高そうだ。

Photo:Frank Micelotta/FOX Sports
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 ワイルダーは語った。

 「トレーニングキャンプは、全てが順調に運んでいる。人生でこんなに幸福を感じたことは無いね。見る人が満足するファイトをお届けするよ。

 フューリーには、本人が口にしている程のパワーが無いし、俺ほどの連打も無い。第1戦で感じたけれど、アイツの拳は枕みたいなもんだ。フューリーは俺をノックアウトするだのとあれこれ喋っているが、何を意味するのかさっぱり分からん。まぁ、こちらは試合当日が楽しみで仕方ないね。ヤツのデカい体、全体を狙っていく。カットする程度じゃなく、確実にパンチを当ててダメージを与えるよ。

 今回の勝利は、他の試合と違って特別な意味がある。第1戦の引き分けは物議を醸した。それを我々は楽しんだ部分がある。ゴングが鳴ったら、何かが起こるぜ。楽しみにしていてくれ」

Photo:Frank Micelotta/FOX Sports
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 ワイルダーは、こんな慎重さも窺わせた。

 「フューリーのような選手と戦う際は、絶対に気を抜いてはいけない。十二分な準備が必要だ。リングでの時間が非常に速く過ぎるんだ。ヤツはスキルを武器にKOを狙ってくるだろうから、そこは考慮するよ。

 我々は精神力も技量もトップファイターだ。お互い、リング上で遊ぶことはせずに徹底的に戦う。だから間違いなく、グレイト・ファイトになる。今日はこうして言葉遊びをしているけれど、リングに上がったら、俺たち2人は殺し屋のメンタルを持って対峙する」

Photo:Frank Micelotta/FOX Sports
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 一方のフューリーは次のように述べた。

 「試合に向けては準備万端。トレーニングキャンプは順調に運んでいる。ケガも無いし、言い訳もしないよ。日々、この一戦に自らを捧げている。前回のワイルダー戦で、自分はアウトボクシングを試みた。周囲の人々は、私の勝ちは無かったと言う。まぁ、自分も負けに近いドローだったように感じている。

 我々はヘビー級のなかでも、大柄だ。自分は20度、KO勝ちを飾った。つまり、ノックアウトの仕方を理解しているんだ。自分にパンチ力があるか無いかなんて問題じゃない。闘志と決意をもって、ワイルダーに向かっていく。このファイトに関しては、強い気持ちが必要だ。それは個人的なものではなく、トレーナー陣、カットマン、栄養士にも求められる。私は自分のチームのメンバー全員にレベルアップを求め、それを仕事として来た。」

Photo:Frank Micelotta/FOX Sports
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 「ハードパンチャーへの対処法は理解している。後退させることなんだ。ワイルダーは私の攻撃を受け、バックステップせざるを得なくなるよ。2ヶ月前のルイス・オルティス戦でのワイルダーはリラックスして戦い、非常にいいパフォーマンスを見せたが、今回の彼は勝者にはなれっこない」

Photo:Frank Micelotta/FOX Sports
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 「ワイルダーが素晴らしいパンチ力を持ち合わせていることも、歴代のヘビー級チャンプと比較してグレイトな部類に入ることも認める。彼が嫌いだとしても、尊敬に値する選手だ。でもね、私は本物なんだよ」

 ゴングまで、どちらがより己を追い込めるか。ご存知のように現在のヘビー級は、WBCのベルト以外の全てをアンソニー・ジョシュアが保持する。2月22日の勝者は近い将来、統一戦としてジョシュアを相手にするであろう。最後に笑うのは、誰か?

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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